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09 VSエルフ

☆前回のあらすじ☆

オコテリスの森を

たくさん歩いたら、

ノヒン国の人を

夢中にさせた

エルフに出会えました。

ガヤガヤ


「いったい何の集まりだ?」


「プルクラと人間の冒険者さんがアスちゃんを懸けて勝負するみたい」


30名ほどのギャラリーに囲まれて勝負が始まる。


「ルールはシンプルに木剣での打ち合いのみで降参宣言で決着でいいね?」


「わかった」


渡された木剣は片手剣を模したもの、慣れていない剣での勝負に勝ち目はなさそうである。


「さあ!かかってきな」


「…………」


動けない、プルクラに隙が全く無いからだ。


「来ないならこっちからいくぞ!」


速い、一瞬で距離を詰められ高速の連撃が襲ってくる。防御するが防ぎきることができない。


「(どうしよう勝ち筋が見えない)」


カン カン ゴッ ゴッ カン


木剣がぶつかり合う音と骨を打たれる音が連続で鳴る。


「(まずいな…このままじゃ勇者さまが負ける、何とかして勝ってもらわないとな)」


不利な状況から脱することができないでいるその時、アスペラが叫んだ。


「ガンバレ-!勇者さま-!」


「えっ⁉アスちゃん俺を応援してくれないの?」


「ああ!頑張るよ」


剣に力を込め打ち込んでいく。


「おっ!急に攻めてくるな~」


しかし、攻撃は全て防がれてしまう。それに加えプルクラの攻撃はさらに速度を増す。


「うわっ!」


足が絡まり相手に背を向ける体勢で転んでしまった。


「これで終わり!」


プルクラが全力で打ち込もうと右手を振り上げる。


「(今!)」


後ろに顔を向けつつ剣をプルクラの剣を持った右手の方に向ける。


メキャッ!


骨の砕ける音、剣を全力で振りかぶったプルクラの手は、勢いそのまま待ち構える切っ先にめり込んだ。


「ぐあっ!」


「形勢逆転!」


怯んだプルクラに対して容赦なく剣を振る。


カン カン カン


「(いてぇ小指と薬指が逝った!)」


「勝てる!」


打ち込み続け勝負がつくと思われたその時!


「舐めるなよ」


プルクラは剣を左手に持ち替え神速の突きを喉にめがけて繰り出した。


「ガヒュ…」


喉が完全に潰れそのまま気絶してしまった。


ガヤガヤ、ギャーギャー!


しばらくして目を覚ますとなにやら言い争っている声が聞こえる。


「もう一度チャンスちょうだい兄さん!」


「いやしかし…勝負はついたから」


「急所への突きは倫理的にダメでしょ、今の勝負ノーカン!ノーカン!ノーカン!ノーカン」


「何を騒いでいるの?」


「冒険に行きたすぎて駄々をこねている」


「そう…なら自分からもアスペラさんを守れることを証明したいので、どうかもう一度チャンスをください」


二人でプルクラに深く頭を下げた。


「わかった...君がアスちゃんに勝ったら冒険に行くことを認めるよ」


「ありがとうございます」


広場に出てふと思ったことを聞く。


「この勝負もしかして八百長出来る?」


「いや~無理だね、兄さんは私の動きや魔法をよく知っているから、手を抜いたらバレるし勇者さまを認めてくれないでしょう」


結局真面目にやるしかないようだ。


「さあ!準備はいいですか勇者さま、私は剣の使い方がわからないので何でもありのルールにする。絶対私に勝ってください!」


アスペラが鈍器(メイス)のような杖を構える。


「わかった」


そう言ってロングソードを抜いた。お互い死ぬリスクがあり緊張が走る。


「それじゃお互い手を抜かないように」


プルクラの声を聞きて汗がにじんでくる。


「初め!」


掛け声と同時に全力でアスペラに向かって突進し、思い切りロングソードを振り下ろす。


ガン! …ドサッ


額の前方で杖で攻撃を防いだが衝撃でアスペラが尻餅をつく。しかし、その手を見て驚く。


「(左腕だけの力で受け止めたのか⁉)」


プチッ


アスペラは右手で近くに生えている雑草を引き千切り魔法を詠唱する。


「渦巻く風!」


すると、雑草から放たれた風によってブワッと二人の間に空間ができ後方にふきとばされた。


「(いてて…どうすれば彼女に勝てるか…)」


また先ほどと同じ様に突進し、剣を振り上げる。するとアスペラは、がら空きになった腹部を鈍器(メイス)のような杖で殴れるように構える。


「今だ!」


ブワッ!


防刃ローブの後ろから大量の粉のようなものが吹き出した。


「グホッ…ゲホッ…この胞子、キノコちゃんの⁉」


ワー!ワー!


背中からひょっこりとキノコちゃんが顔を出す。


「どうやって…キノコちゃんは菌糸を伸ばせる場所でないと存在できないはず」


「茹でる前のすいとんに木屑を混ぜて尻ポケットに入れておいた」


そう言いながらまた剣を持って突進する。そしてアスペラに攻撃する直前、剣から手を離し、右手を腰の後ろにまわす。


「ゴホッ…(剣は視線誘導の囮、あの手はナイフを掴んだか)」


ブン!と右手がローブから飛び出し振り下ろされる直前アスペラはそれを杖で防ぐ。


パシッ


「ナイフじゃない⁉しまった」


杖を掴むことができた。アスペラは右手の杖でガードし、左手で咳の止まらない口を押さえている。


ズドッ!


強烈な前蹴りがアスペラの腹に突き刺さり思わず杖を離してしまった。


「これで決着だ」


奪った杖を捨てファイティングポーズをとる


「上等!」


アスペラが丸腰で殴り掛かってくる。勇者はただ落ち着いて体制を低くする。そして魔法小袋からあるものを取り出した。


カチャ


魔法小袋からリボルバーを取り出し、まるでプロポーズするかのように跪いてハンマーを起こした。


「俺と一緒に冒険に行こう!」


アスペラは今まで見せたことのない満面の笑みで答える。


「はい!喜んで」


「…勝負アリだな、アスちゃんも村を出てしまうのか…」


その日の夜、エルフの里では自分の歓迎会とアスペラの送別会が同時に行われた。エルフたちは酒を飲みまくり、次々と倒れていく。明日からは新たな仲間と一緒の冒険が始まる。

読んでいただきありがとうございます

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プルクラ

身長 164cm 体重 56kg 属性 赤

固有魔法 無し

アスペラの兄で小柄なエルフの里の住民。片手剣や短剣の扱いが上手だが狩りは下手でよくアスペラに笑われている。

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