65 煌びやかな船上
☆前回のあらすじ☆
パーティーの始まりだ
外輪式蒸気船レジーナマリス号、この豪華客船の甲板でアスペラと勇者は手を取り合う。優雅な曲に合わせてステップを踏む。アスペラはエルフ、森の妖精だ。踊り慣れているのだろう、勇者をうまくエスコートしている。緩急のあるステップやターン、この時勇者ば別の女性に腕を引かれた。
「あっ…」
アスペラと勇者が離れる。勇者の腕を引いたのはメンダだ。彼女もまたダンスが上手であり手慣れた様子で勇者の手を取り踊る。
「わたくしの側にいてくださるかしら」
「…あぁ」
シェンティアと踊り始めるアスペラは心配していた。勇者が人外と知った今、振り返れば彼はおかしかった。異常な成長速度に耐久力、いつしかアスペラが勇者に支援魔法をかけることは無くなっていった。このままでは自分は必要なくなるのではないか。そのような思いが頭にこびりついて離れない。
一方ゴーレムちゃんは船内の立食パーティー会場にいた。レジーナマリス号に乗船する乗客は会社の重役やセレブも多い、中には老舗魔道具ブランドの創設者や海外の珍しい珍品を輸入する会社の社長もいる。ここは簡単な社交交流パーティーのようになっていた。
「ワタシはキュウジガカリではナイ!」
普段からクラシックなメイド服を着ているゴーレムちゃんは、度々ウェイトレスに間違えられながら、様々な情報が飛び交う場所で魔族の動きに関する情報を集めている。もちろんワインやご馳走を楽しむのも忘れていない。
「ウマい!」
ローストビーフと赤ワインを楽しんでいると興味深い会話が耳に飛び込んできた。
「いやぁ~いつもクンナトラ様にはお世話になっております」
ジャケットを着た恰幅のいい男性だ。彼の話している相手がクンナトラの人間のいう事だろうか、しかし話している相手の顔は初めて見る。
「ナニかオカシイ…」
確認のため、ゴーレムちゃんは客室に戻ることにした。客室に戻りメンダやミニストの荷物を調べる。
「…?」
カバンの中には何もない。そして後ろに気配を感じた。
「シクジッタ…」
振り返るとミニストが戻ってきていた。まるでこちらの動きを予想していたように。
「アナタタチはナニモノ?」
「クンナトラの…」
「チガウ!」
「…油断してましたよ。こんなにも早くバレるなんて」
ミニストが袖口からナイフを取り出したのと同時、ゴーレムちゃんが床を強く踏み跳んだ。
「速いっ⁉」
ナイフを構えようとするその腕に飛び掛かりそのまま腕を押し込むことでナイフがミニストののどを貫いた。
「グッ…」
ミニストはそのまま府ラフィラと壁に寄りかかり、ズルズルと座り込んだ。
「(シンデナイ。ツノをオッテイルけどマゾクだ)」
主人である勇者に一刻も早く伝えるために部屋に置いてあった勇者の荷物をすべてまとめた魔法小袋を掴み、部屋から飛び出そうとしたその時だ。
「行かせるものかッ!」
ミニストのローキックでゴーレムちゃんの身体が強く壁に打ちつけられる。そしてミニストは魔法小袋を奪い身なりを整え、何事もなかったかのように部屋から出ていった。
「イカセナイ…」
体を無理やり動かして後を追うために部屋から出ると、ミニストが巨大なダンゴムシのような謎の甲殻類の魔獣に足を噛みつかれていた。
「やめろォ!」
ミニストはナイフで刺そうとするがその硬い殻に弾かれてダメージが通らない。もたもたしているうちにどんどん脚が噛み千切られていく。
「フクロをナゲロ!」
「クッ…」
ブン!
ミニストが投げた魔法小袋をキャッチすると、中からトカレフTT-33を取り出しスライドを引いた。
「クタバレガイチュウ!」
パンッ! パンッ!
至近距離から放たれた弾丸は魔獣の頭部に命中したが弾かれてしまった。ゴーレムちゃんはすぐに狙いを変え、引き金を引く。
パンッ! パンッ! パンッ! パンッ! パンッ!
「グアァ!」
ミニストの膝に残りの5発を撃ち込み、脆くなったところで一気に踏み壊して引きちぎった。
「イクヨ」
「うぅ…ああ」
適当な船員にミニストを押し付け、急いで甲板に向かおうとすると、既に船内は騒ぎが広まっていた。何かから逃げる乗客をかき分けながら甲板にたどり着くと、そこには勇者とアスペラが数十人の人と戦っていた。適当な棒があれば魔法が使えるアスペラと違い、魔法小袋がない勇者はメモリア水晶の魔力や武器を取り出すことが出来ないためブーツで蹴り倒し、武器を奪って何とか持ちこたえている。
「ゴシュジン!」
ブンッ!
投げられた魔法小袋は大きく弧を描き勇者の元に落ちてくる。
「ありがとう」
パシッ
腕を大きく振り抜き、顔の横でキャッチしたと同時に意識をメモリア水晶に向け、空中に穴をあけた。
「メンダ下がって!」
穴からmp40を取り出しレバーを引く。ゴーレムちゃんが叫んだのは敵に向かって打とうとしたその時だ。
「チガウ!ソノオンナがテキデス!」
「「…っ!」」
勇者、アスペラ、シェンティアがメンダに向かい武器を構えた。船首に立ったメンダは余裕がある表情をしていた。
「わたくしは配下帝序列三位のソルム。改めてよろしくお願いしますわ」
「(いや…なんでだよ)」
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名前 ミニスト
身長 168cm 体重 58kg 属性 青
固有魔法 無
執事の格好をした魔族。性格はおとなしく基本的には温厚だがソルムの命令によってはなんでもするしどんな性格にもなれる。今回は運がなかった。




