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プロローグの勇者  作者: 黒板係
兵港街編
60/77

60 転移者

☆前回のあらすじ☆

剣に主従関係を叩き込まねば…

 朝、一人部屋の大部分を占領しているベッドから立ち上がり、窓を開けて大量の朝日と潮風を部屋いっぱいに入れる。心地の良い朝、しかしなんだか体が重い。洗面所で顔を洗い、鏡を見ると首に時限爆弾が取り付けてあった。


「…なんでだよ」


懐中時計を改造して作ったであろう起爆装置の針の進む方向から、おそらくこの時限爆弾は約11時間後に爆発すると考えられる。


「…ご飯食べよ」


皆で朝食を食べようとのんきに考えてアスペラ達の部屋の扉をノックする。


「あっ…。勇者様にも爆弾が…これどうしましょう」


どうやら全員の首に時限爆弾が取り付けられたようだ。だが、こういう時こそ落ち着かないといけない。


「無理に壊そうとするなよ。爆発するといけないから」


とりあえずローブで爆弾を隠しながら朝食を買いに行った。そして部屋に集まってこれからのことを相談することにした。


「「「…どうしようもない」」」


時限爆弾の構造なんて見当もつかなかった。しかしここで勇者に妙案が浮かぶ。


「シェンティア、固有魔法でこの時限爆弾の設計図を見れないか?」


「っ!やってみるのじゃ」


シェンティアの固有魔法は絶対的な真実(テクレディス)、効果は持っている書物に欲しい情報を転写するというものだ。早速固有魔法で爆弾の設計図を転写するとみるみる浮かび上がってきた。


「う~む…よく分からんの」


「勇者さま、構造分かりますか?」


「ああ、なんとなく。だがこれを見る限りではベルトの部分にもなんかの線がある、それに外から解除出来ないようご丁寧にプリント基板で作られている。この国にプリント基板とか作る技術あるのか…?」


そして結局。


「「「どうしようもない!」」」


作戦変更だ。この爆弾を作ったやつを探すことにする。時限爆弾が爆発するまで約10時間、手分けしてエルクの街で犯人の手掛かりを探そう。


「さてと…地図によればこの先は造船所か」


ガチャン…、ガチャン…。ゴゴゴゴゴ………


造船所からは部品を切り出し、磨き、組み込む音、木造船の船体に船釘を打ち込む音が響き渡っている。その中の一つから聞き覚えのある音が聞こえてきた。


ガコン! ガコン!


音を聞き分け、片隅にある小さな造船所の中を覗くとそこには…


「魔力採掘機!」


カチャ…


魔力採掘機を見つけたと思ったその時だった。勇者の右側のこめかみに銃が突き付けられた。


「お前…何者だ?」


「フッ…通りすがりの勇者だ」


パシッ!  ダン!


勇者は視線を向けることなく右手で銃口をはじく。敵が慌てて発砲したのを合図に短剣を抜き喉を切り裂く。


「グハッ…オゴ…」


「ん?」


何かがおかしい、完全に動脈を切断したはずなのに血が噴き出てこない。よく見ると血液と共に何か人工物が飛び出している。


「ショットシェルか…?」


「あぶねぇ…久しぶりの致命傷だ」


この一瞬で気になる点がいくつかある。本人に聞くためにもここはまず話し合いでどうにかしたい。


「ちょっといいか?何故銃を向けた?そしてその傷、何が出ている?」


「ふぅ…ふぅ…。あぁちょっと待て」


相手も落ち着いてきたようだ。大きめの角が2本生えた渋い顔の男、オールバックを整えている。これで冷静に会話ができる。


「俺は…プロディ。配下帝序列七位の魔族…だ」


「そう…。俺は72番目の勇者、質問に答えてくれるか?」


「ああ、銃を向けた理由は分かるだろ?俺は魔族だ」


「分かるよ」


「傷から出てきたのはショットシェル、散弾銃の弾だ。俺の固有魔法レッドバレットは血をショットシェルに変えることが出来るんだ。止血もできてなかなか便利だ」


そう言い終えると、プロディは振り返り歩き出した。


「待て!」


「何だ?質問には答えただろ」


「最後に聞きたいことがある」


何とも言えない気味の悪い感情が襲う、精神が融け燃えそうだ。


「言ってみろ」


「お前、()()()だろ?」


何故か鼓動が速くなる。胸が苦しい。


「何故そう思う」


「その銃のこと、お前は()()()と日本語で言った。俺の耳にはこの世界の人間の声は日本語に聴こえている。だが、お前は()()()と言ったんだ。ショットガンじゃない」


プロディはばつが悪そうな顔をして少し考えた後、口を開いた。


「…迂闊だった。ああ、その通りだよ。俺の名前は漆原零士(うるしばられいじ)、秋田の人間だ」


この世界に転移して初めて、自分以外の転移者に出くわした。嬉しい気持ちはあるが零士は敵だ。そして、自分にも角が生えたという事実が重くのしかかる。


「……………」


その時だ、遠くからボロボロに怪我をしたアスペラ達が走って来た。


「勇者さま、銃声が聞こえましたけど大丈夫ですか?」


「ああ…」


「ゴシュジン?」


悲しさと悔しさが襲う。もう、どうしていいか分からない。だが、プロディは倒さなくてはいけない、それだけは理解できた。


「全員、戦闘に備えろ。配下帝プロディを倒す!」


「「「はいっ!」」」


しかしプロディは乗り気ではないようだ。


「ちょっと待て、降参だ。やはり同族は殺したくない」


カシャン…


そう言って散弾銃をこちらに投げ渡してきた。


「どういうことだ?」


「お前は自分が何者なのか知りたくねぇか?」


「ああ…?」


「…その様子じゃ考えたことないみたいだな」


「…?」


「『転移とは何か』とな」

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ナタレ

身長 176cm 体重 67kg 属性 無

固有魔法 無

水兵隊の水夫長でありバルナ上等水兵の上官。これと言って特徴のある男ではないが、特徴がないということは兵士としては模範的ということだ。ブランダーバスの扱いに長けており弾の装填がとても速い。

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