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06 血に飢えた人喰いネズミは実在した‼

☆前回のあらすじ☆

皆さんは手続きでの待ち時間はなにしてます?

翌朝、パチッと電灯のスイッチを切り、とりあえず昨日一週間借りることにした宿の部屋を後にする。昨日服を預けた公衆浴場に行った後朝食を食べることにした。


「(さあて何を食うか、焦るんじゃない俺は腹が減っているだけなんだ)」


文字が少ししか読めないので自身の嗅覚を頼りに食事処を探す。イタコト村を出てからトカゲの丸焼きや野草など、まともな料理を食べていない。


「あ~今日の飯はここにすっか」

「おう!」


冒険者らしき二人の男たちが店に入っていく。


「(ここにするか)」


彼らの後に続き、店に入り一番近くの席に座る。そして剣をテーブルの上にドサッと置いた。


「注文は?」


「安くて腹持ちがいいものを」


ウェイトレスが水と大きなパンと皿を持ってきてテーブルの上に置いた。そしてシェフがフライパンを持って厨房から出てくる。ベチャベチャとお玉で皿に盛られたのはチリコンカンのような豆料理だった。トマトやスパイスの匂いが腹の大きな音を響かせる。


「………」


あまりの空腹に半ば奪うようにフライパンごと受け取る。カコンカコンと皿に盛られた料理をお玉でフライパンに戻し、硬くて大きいパンを千切り頬張る。そしてフライパンから直に料理を食べる。


「(面白い人ね~)」


一心不乱に料理を食べ続けていると一人の魔法使いが向かいの席に座ってきた。彼女はメリメリッとパンを千切りそのパンで勇者の顎をくいっと持ち上げる。


「貴方、転移者ね、私が手伝ってあげましょうか?」


黒目を下に向けてみるとその人は顔に大きな傷のある妖艶で赤紫のロングヘアーの魔法使いだった。


「(急になんだ?怪しいな、新人狩りか?)」


「昨日ギルドで見かけて気になって~って…、一旦食べるのやめていただけるかしら?」


フライパンに残ったソースをパンできれいに拭き取って口に入れる。


「わかりました。よろしくお願いします」


「急に興味を持ってくれたわね…シェレラよ、よろしく」


ひとまずシェレラと携帯電話を買いに来た。遠くの人と通話できるのはありがたい。


「いらっしゃいませ、本日は携帯電話の購入と契約との事ですのでまずはこちらから本体をお選びください」


「アンテナ付き携帯電話か…アンテナ長くないか?」


ベルトのバックルに差し込んで変身する機能のある携帯電話があればいいなと少し期待したが、そう都合の良いものがあるはずはない。あまりこだわりがないので、いちばんシンプルなものを購入した。


「私の電話番号はこれよ」


シェレラが電話番号の書かれた革製の小さな手帳をくれた。


「電話番号を教えてもらったらしっかりメモしておくのよ」


スマートフォン世代の勇者にとっては、アンテナ付き携帯は祖父母の家の屋根裏で見かけるような骨とう品だ。シェレラに使い方を簡単に教わり、その後シェレラとギルドにやって来た。


掲示板を見ると多くの依頼書が重なり合って貼ってある。


「これにしましょう。難易度の割に報酬がいい」


シェレラが一枚の依頼書を剥がして手に取る。


☆地下下水道のネズミ退治☆

Eランク難度

内容:地下下水道でカダバネズミを30体討伐

注意:行方不明者が増えています

報酬:16000ピクニ


「うわ…綺麗にしてもらった服がまた汚れそう」


ちなみに今までの買い物から大体1ピクニ=0.5円程と思われる。


「早速受け付けに持っていきましょ」


受付嬢さんに依頼書を渡した。


「こちらですね」


クエストと冒険者を記録する。全国共通ギルドでは情報が全ての支店に伝わるからどの支店でもお金であれば報酬を受け取れるらしい。


「それでは、お気をつけて」


早速現場に向かう、まずは排水路に降り、脇の道を上流の方に歩くと地下下水道に入ることができる。入り口は暗く人を寄せ付けない雰囲気だ。


「この中に入いるのか……シェレラ先輩なんか明かり持ってませんか?」


「持ってないわ」


「仕方ない……師匠には悪いが」


ロングソードに布切れとロープをきつく巻き、オイルライターの中のオイルを染み込ませた。いわゆる松明である。


「いいのかしら?剣を松明にしてしまって」


「どうせ狭い地下下水道のなかでは、ロングソードはうまく振れないから」


松明の明かりを頼りにじめじめした臭くて狭い道を進んでいく。しばらく進むと十字路になっていた。


「シェレラ先輩どっちに行きます?」


「二手に分かれましょう。私は右から貴方は左から行けばカダバネズミの群れを挟み撃ちにできるから」


「シェレラ先輩はここに来たことがあるんですか?」


「ええ、Dランク冒険者のときはしょっちゅうここに来てたわ」


腰の後ろに取り付けておいたナイフを抜き、先程と同じように松明を作る。


「これを使ってください」


「ありがとう、あと携帯電話を通話中にしておいた方がいいわ、途中で着信音がなるとネズミに気付かれる」


「わかりましたでは後ほど」


携帯電話を通話中にして先に進むとあることに気がついた。


「(ヤベェ…武器がねぇ、いや無いことはない)」


魔法小袋に入っている武器になりそうなものは刃渡り12cmほどの小型のナイフのみ。とりあえずこれを武器にする。しばらく進み右に曲がり、さらに進んで右に曲がると大きな浄水装置のある広い空間に出てきた。そしてネズミの大群が目に入った。


「(途中で何匹かネズミを殺したけど、どれがカダバネズミかわからないな…)」


浄水装置に誰か腰かけている半透明の少女が見える。そのことをそっと電話越しにシェレラ先輩に伝える。


「シェレラ先輩、どうぞ」


「私もすぐ浄水装置のとこに着くからちょっち待ってて」


「何かいる、今俺の前でにらめっこしている」


「色白でぺったんこな()か?」


「聞こえると怒るぞ」


「じっとしてて、害は加えない」


すると突然大量のネズミが少女の回りに集まってきた。


「うわぁぁぁー!」


「もしもし?何があった?」


ネズミの大群が半透明の少女を守るように、大波のように襲ってきた。悲鳴を聞いたシェレラも来た道を走って引き返す。


「「うおぉ!」」


十字路でシェレラと合流し、そのまま入り口まで走り抜けた。幸いにもネズミはここまでは追ってこないようだ。ゾロゾロと気味の悪い音が下水道の奥に戻って行く。


「ハァハァ、今日は帰りましょ、明日の昼にまたここに集合ということで」


「了解」


身体から腐った悪夢のような臭いがする。宿に帰る前にまた公衆浴場に行った。

読んでいただきありがとうございます

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シェレラ

身長 177cm 体重 ヒミツ♡ 属性 青

固有魔法 無し

顔に大きな傷のある妖艶な赤紫のロングヘアーの魔法使い。酒と金と男が好き、めっちゃ強くて結構世話焼き。

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