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プロローグの勇者  作者: 黒板係
色街編
58/77

58 淫 the end

☆前回のあらすじ☆

マーテルの強さは愛の強さと比例する

 どんなに暗い夜でもいつかは明るくなる。マーテルを討伐して最初の夜明けが来た。


「う~ん…ん?」


目が覚めると宿のベッドの中だった。どうやってここまでたどり着いたのか記憶がない、他の部屋は静かで人の気配がしない、とりあえず服を着替えネウダナクから最も近い館に向かうことにした。


「………!」


館の前に着くと、そこにいた存在によってここが現実世界ではないことが分かった。


「あら、来たのね」


そう言って優しく微笑むのはマーテルだった。ゆったりとしたワンピースを着ており敵意は全く感じなかった。彼女はただぼんやりと建物を眺めているだけだ。


「ここはどこ?」


「どこかしら…強いて言えば私の走馬灯?」


確かに目に映る風景は白みがかり視界に入っている範囲以外はぼやけているように感じる。


「わたしはこれから煉獄に行くけど、一緒に行く?」


「いや、遠慮するよ。アスさんたちが心配だ」


「…そう、さっき何人かの冒険者や私の仲間たちが先に進んでいったけど、その中にあなたと一緒にいた人達はいなかったから安心しなさい」


マーテルは何もない方向に向き直る。


「ありがとう。あなた達のおかげで私を含め大勢が呪いから解放されたわ」


歩き出したマーテルの姿はすぐに見えなくなった。そして体がふわっと浮く感覚を覚えたと同時に意識を取り戻した。


「あっ、勇者さま目が覚めたようですね」


「うっ…酷い臭いだな」


周囲には腐った皮膚や内臓が散らかっており、銃兵隊が総出で清掃活動を行っている。べたべたした地面から起き上がると辺りの様子がはっきり見える。怪我をしている冒険者や死亡した冒険者は丁寧に担架で運ばる。一方弱っているサキュバスは殺され死体は生ごみのように処理されていった。


「……………宿に戻ろう」


傷は塞がり、折れた骨も治っている。手伝いが面倒というわけではない、ただ自分が何者なのかよくわからなくなってしまったのだ。


「お帰りなのじゃ」「オカエリナサイ」


「…ただいま」


部屋に戻ると何かをするわけでもなく、バタッとベッドに伏した。


「……………」


その日の夜、結局一日中何もできずベッドにいた。何度かアスペラたちが食事を持ってきたり、遊びに誘ってきたりしたが気分が乗らず動くことが出来なかった。


「あぁ…気分が悪い」


ガチャン


部屋の窓が静かに開いた。そして入ってきたのは以前会った青髪のサキュバスだ。


「しょぼくれてるわね」


「余計なお世話だ」


「そんなこと言わないで、手紙を預かっているから」


そう言って白い封筒を手渡す。中を見てみるときれいな字が並んでいる。


『勇者殿

 拝啓

  気温が高まり黒南風(くろはえ)が木々をざわめかしているこの頃でございますが、天候に負けずにご活躍のことと存じます。

  さて、先日はサキュバスクイーンの討伐、もとい新型ウイルスの終息に尽力いただき、誠にありがとうございます。私はサキュバスに自宅を乗っ取られた故、この件につきましては情報が拡散されると私の立場や勇者様の命に関わる可能性があるのでどうかご内密にしていただけると幸いです。  

  私はペンを持つことが出来ないため近くにいた冒険者に代筆を頼みました。私は勇者様の旅路を邪魔することはないと約束しますのでどうぞよろしくお願い致します。

                                 敬具

                       配下帝序列一位 エクエス 』


「…なんだコレ?」


「…さあ?」


二人で顔を見合わせ首をかしげる。状況は意味不明だが意味は分かる、とにかく配下帝序列一位の魔族とは交戦しなくて済みそうだ。


「まあ、届けてくれてありがとう。ところでサキュバスの被害はどんな感じだ?」


「こっちは館内に銃兵隊がなだれ込んできて壊滅よ、みんなどこかに飛んでいったわ」


「そう…」


勇者も沢山のサキュバスを殺している。ギルドで受けた依頼とはいえ、どんな顔をすればいいのか分からない。


「あなたが暗い顔をする必要はないわ。それは同族の役目、余計に哀れまないで頂戴」


そう言って青髪のサキュバスは夜の闇に消えていった。


「……………」


翌朝、宿を出てネウダナクを後にすることにした。街の入り口近くで馬車を借りようとすると見知った顔の御者がいた。


「おっ、お客さん。また会ったな」


「無事だったのか」


「薬を作れるサキュバスがいてな、何とかこの通りさ。乗っていくかい?どこまででも乗せていくぜ」


あの白衣を着たサキュバスのことだろうか、館があんな状態になっても搾精や研究を続けていたのには何か大事な理由があるのだろう。


「ああ、よろしく頼む」


勇者、アスペラ、シェンティア、ゴーレムちゃんの4人が馬車に乗り込む。


「どこまで?」


御者が目的地を聞く。


「勇者さま、どこに行きますか?」


「場所は決まっている。エルクまで頼む」


「あいよ、結構遠いな」


ネウダナクを後にした勇者一行は次の街に向かう。

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