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プロローグの勇者  作者: 黒板係
ドラゴン狩り編
49/77

49 ワイバーンハンター

☆前回のあらすじ☆

ドワーフ少女!その名はフォルティ!

 坑道に入ってすぐだった。目の前が開け、巨大な陥没穴が見える。トロッコはその周りを螺旋階段を駆け下りるように進んでいく。


「おー!速い速い!大丈夫なのか⁉」


「大丈夫さ、トロッコにはブレーキがあるし、一番下には減速丘があってスピードがかなり落ちるから安全さ。ちなみに途中で降りるといろんな坑道に入ることが出来るんだぜ」


仕様は分かった。ただ、前方を走るグラドとルーデはこのことを知っているのだろうか?いや、最初に聞かなかったということは知っているのだろう。


バサッ バサッ


大きな羽音が鳴り銀色の超巨大ワイバーンが舞い降りてきた。その姿はまるで、このエミロホ銀山で採れる銀のようだ。


「(密閉空間じゃないから撃てる!)」


ホルスターからリボルバーを抜いた勇者が狙うのはワイバーンの飛膜だ。的は大きいが距離がある。


バンッ! バンッ!


「当たったはずだがダメージは入ってないな」


「じゃあこれを使え」


そう言ってフォルティが取り出したのは1挺のライフル銃だ。


「ウィンチェスターライフル?こんな二昔前の物どこで手に入れた?」


「そりゃぁ二昔前よ」


受け取ったウィンチェスターライフルのレバーでコッキングし弾丸を薬室に送り込む。


「(綺麗な銃だ…落ち着け。よく狙って)」


ダン!


放たれた弾丸はワイバーンの左の飛膜を貫いた。そして次々とコッキングをして撃っていくと、ワイバーンの羽ばたく風圧に耐え切れずに飛膜が破け、ワイバーンは制御不能のヘリコプターのように底に落ちていった。


「よっし!そろそろブレーキをかけるぞ!前の二人もブレーキを掛けろ!」


キィィィィィィィイイイ!!


フォルティがトロッコの外側についているレバーを引くと、木製のパーツが車輪に押し当てられ減速していく。


「クソッ!パーツが摩耗している」


フォルティがさらに力を入れてレバーを引いたその時だった。


バキッ!


古くなっていた木製のレバーが音を立てて折れてしまった。


「なぁに減速した前のトロッコにぶつかればこっちも減速するさ」


グラドとルーデが乗っているトロッコに目を向ける。すると、二人はへし折れたブレーキを持って、助けを求める子犬のような目でこちらを見ている。


「…ムカつく」


「フォルティさん落ち着いて」


しかしトロッコはどんどん速度を増していき、最下にある減速丘に突っ込もうとしている。


「フォルティさん、減速丘ってどんな物?」


「人工的に作った急な上り坂さ」


「ああ、つまり…」


「このスピードで突っ込めばジャンプ台になる!」


見えてきた。正面から見る減速丘は壁のようだ、そう思った瞬間2台のトロッコは宙に舞った。それだけではない、着地地点に大きく口を開けた超巨大ワイバーンが待ち構えている。


「(ヤバい…いや、下は水か)」


勇者は冷静に周囲の様子を見て叫んだ。


「全員トロッコから飛び降りろ!そしてルーデ、頼んだ!」


「っつ!クジラ!大ジャンプだ!」


もはやギターを弾けていない。ルーデは指で絃を適当に鳴らして海洋生物の真似事(リクイドフォルメシオ)を発動させた。そして皆は、そのクジラに飛び込むことでうまく着地をした。


「大丈夫か?」


「「「何とか!」」」


トロッコを噛み砕いた超巨大ワイバーンがこちらに顔を向ける。ここはエミロホ銀山の最下層、狭い円形の地面には腰までつかるほどの水が溜まっている。この水が無かったら死んでいたが、今はこの水で動きが鈍くなり絶体絶命だ。


グルルルルルル…


超巨大ワイバーンは満身創痍のようだ。飛膜が破れ水に叩きつけられ、浸透圧の影響で血液がどんどん流れてきている。


「ここで倒すッ!」


グラドが魔剣を抜き構える。


「あたいが援護する!不定形の土塊(モベレテラム)!」


フォルティが詠唱すると地面が足場となり、ワイバーンの首を斬るまでの一本道が出来た。グラドはその足場を使い、最短最速の斬撃を繰り出した。


「うぉぉぉおおおおお!」


ザクッ!


ワイバーンの首に一撃入った。しかしうろこが硬く全く切れていない。


「なっ、どうすればいいんだ…」


「グラド腹だ!攻撃される可能性が低い場所は斬れるかもしれない!」


「わかった(流石勇者だ、冴えてる)」


今までの経験だろう、旅の中で数十匹の魔獣を殺してきた経験が活きている。


「勇者くんワイバーンが近づいて来る!」


「よし!グラドは攻撃の準備、ルーデは合図したらあいつを押し上げて、フォルティは下がって!」


「任せろ!」 「魔力を最大限込める!」 「頑張れ!」


全員がポジションにつき、勇者の合図を待つ。じりじり近づいて来るワイバーンに怯む者はだれもいない。


「よし!今d…」


ドガンッ!ガガガガガガガ!


合図をしようとしたその時だった。突如、岩壁を突き破り巨大なカニのハサミが伸びてきた。


「何だあれは⁉」


その巨大なハサミはワイバーンの首を挟み、そのまま…


メリメリメリッ   ドサッ


驚異的な力で超巨大ワイバーンの首を砕き落としてしまった。


「「「「………え?」」」」


そして岩壁がさらに崩れ、巨大なハサミの正体が分かった。


「ドゥルムガニの特殊個体だ…」


ガガガガガガガガガッ!


怒り狂った様子のドゥルムガニはハサミを振り回し、こちらに岩を飛ばしてくる。


「全員退避ーーーーっ!」


無我夢中で線路を駆け上がり、全員なんとか生還することが出来た。

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名前 フォルティ

身長 145cm 体重 51kg 属性 青

固有魔法 不定形の土塊(モベレテラム)

ドワーフの少女。体は寸胴体型で断崖絶壁だが愛嬌のある顔と男勝りな性格で、鉱山ではかなり人気がある。固有魔法は自分の思い描いたように地面を操れるというもの。次作のメインキャラでもある。

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