46 最後の騎士団
☆前回のあらすじ☆
酒は飲んでも飲まれるな
汽車にゆられ、窓の外をぼんやり眺めていると、夢の島植物園のガラスドームが見えた。しかし今はドーム上部のガラスは撤去され、骨組みを工事しているように見える。
「大丈夫かな?」
「さあ、どうでしょう」
復旧工事中のドームは後方に消えていった。
「話は変わるけど、アスさんたちが交戦した魔族ってどんな奴だった?」
「そうですね…老いた男性のような印象の魔族とガラの悪い魔族でした。固有魔法はそれぞれ磁力を操る魔法、事故を引き起こす魔法です」
「なるほど…ハンドモルタルを撃った時に起きた爆発はそいつのせいかな?」
「おそらく」
事実、最後の爆発によってウチミク第二製鉄所は完全に使用不能になってしまった。この依頼をした責任者も爆発するとは思っていなかったらしく、報酬は支払われなかった。
「そういえばメイドの魔族は見た?」
「いえ、そんな魔族は見てないですね。なんかありました?」
「いや、その魔族のせいで化け物と戦うことになってね…まあ、率直に言うと警戒している」
「そうなんですね…」
そんな話をしている間も汽車は走り続け、約4時間後にアヨガン駅に到着した。
「さて勇者さま、どこか行きたいところはありますか?」
「とりあえずギルドかな。オヤコトで行けなかったからね」
勇者一行は腹ごしらえに味噌煮込みうどんと手羽先を食べ、全国共通ギルドのアヨガン支店に向かった。
「儂は先に宿に行っているぞ」
「ああ」
宿の確保はシェンティアに任せて残りの4人でギルドに入った。窓口に行くと眼鏡をかけた小柄な女性が対応してくれた。彼女は勇者のエンブレムを見るなり目を丸くして慌てている。
「いっ…いらっしゃいませ勇者さま!…握手いいですか?」
「えっ…あぁ、どうぞ」
「それでは…」
ギルドの職員さんは恐る恐る勇者の差し出した手に触れる。
「うっひょ~!生勇者の手に触れているー!はぁ、はぁ、剣や銃を握るごつごつとした手、きもちぇー!(いつも新聞で勇者さまの活躍は見ています。これからも頑張ってください)」
「そ…そうですか。とりあえずギルドカードの確認をお願いします」
「あっ、すみませんでした。すぐに確認します」
勇者、アスペラ、ルーデのギルドカードは機械に通され、情報を読み取られている。結果はすぐに出た。最後に確認してから多くの魔族と戦ってきた勇者のランクは一つ上がっていた。
「え~、勇者さまがBランク、ルーデさんがSランク、アスペラさんもSランクですね。昇級おめでとおうございます。昇級特典は口座に振り込んでおきますか」
「お願いします」
用事が済んだ勇者はついでにクエストの掲示板を見ることにした。アヨガンは人の多い都市なので強盗に盗まれた宝石や誘拐された人の奪還クエストが多い印象だ。
「物騒だな」
「そうですね」
そんなクエストの中でひときわ目を引くものがあった。それは次の目的地であるアラハギゲスにある騎士団が出した依頼だった。
☆最後の騎士団長☆
Aランク難度
内容:現騎士団長の御子息と超大型ワイバーンの討伐
注意:Aランク以上の冒険者限定の募集となっています
報酬:200000ピクニ
「これパーティー全員がAランク以上じゃないとダメかなぁ?」
「聞いてみたらどうですか?さっきの鼻息を荒くしている受付嬢さんに」
「よし、聞いてくる!」
勇者は先程対応してくれた受付嬢のいる窓口行った。すると彼女はまだ鼻息を荒くしていた。
「ふひひ~もう手を洗わない…」
「…いや、ちゃんと洗ってください。汚いですよ」
「ひゃい⁉いつから聞いていたんですか⁉」
「『ふひひ~』から」
「ああ、すみませんでした。…ところで、どういった御用ですか?」
「このクエストについてなのですが…」
掲示されていたクエストの張り紙を見せて説明をした。
「これは~、わかりませんね。説明が雑すぎます。一度向かってみてください、取り敢えずアスペラさんがこのクエストを受けたことにしておきますので」
翌日、勇者一行はアヨガンから馬車に乗り騎士団のあるアラハギゲスに向かう。のどかな田舎道を馬車で進むこと5時間、目の前に騎士団の木造の庁舎や訓練場が見えてきた。
「着きましたね、勇者さま」
「皆、行くよ」
「ハイ」「ああ」「んじゃ」
「緊張はしていないようだね」
門の番をしている騎士に冒険者であることを伝え、庁舎の中に案内され入ると、騎士団長の部屋に通された。中は落ち着いた空間で勇者は校長室を思い出した。
「初めまして校ちょ…じゃなくて、騎士団長…さん?」
「初めまして。君たちが依頼を受けてくれたことをうれしく思う。早速だが以来の内容は理解しているな?」
「はい」
「それなら話が早い、すぐに用意を…」
騎士団長はあまり愛想のよくない人なのだろう。だが、同時に真面目な人なんだと理解した。
「あの!」
「なんだね?」
勇者は騎士団長の話を遮る。勇者は今Bランクだからだ。
「自分はまだBランクの冒険者です。それでもこのクエストに参加してもよろしいでしょうか?」
「このクエストはAランク以上の冒険者しか受けれないようにしたはずだが」
「受けたのはSランクのアスペラです」
騎士団長は少し考えた。そしてため息をついて口を開けた。
「分かった。なら少し手合わせ願おう。それで考える」
「わかりました」
騎士団長は少し微笑んで言った。
「準備が出来たら訓練場に来るように」
これからテストが始まる。
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