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プロローグの勇者  作者: 黒板係
製鉄所編
44/77

44 鉄の地獄

☆前回のあらすじ☆

高炉の戦いを制した

 仰向けに倒れたメタリクは最後の力を振り絞っていた。


「ダメだ…傷が塞がらない」


メタリクはもう瀕死状態だが聞きたいことがあった。


「なあ、魔力流から魔力を回収する機械ってあったよな。魔力採掘機だっけ?」


「あぁ、高炉の裏にあるよ。同化していて見えにくいと思うけど」


メタリクの声は弱々しく、絞り出すような声だ。


「わかった。ありがとう」


「…悔しい。まあ、討伐おめでとう…」


メタリクの瞳から光が消えた。勇者はそっとメタリクの瞼を閉じてやった。


「………」


辺りはついさっきまで戦闘があったとは思えないほど静かだ。だがこの静けさは自分以外が動けないという意味である。とにかく今はルーデとゴーレムちゃんの状況を把握しなくてはならない。勇者は、倒れているルーデに駆け寄る。


「ルーデ!大丈夫か?」


「うん、大丈夫。だけど動けないから、悪いけど担いでくれないか?」


「任せな」


魔力体力が共に尽きているルーデを右肩に担ぎ、階段に向かって歩き出したその時、ルーデが何かに気付いた。


「勇者くん、あいつの横に誰かいる」


「ん?」


振り返ると、そこには頭に小さな角を生やしたメイドが立っている。


「はぁ~。面倒だな~、メタリク様がしっかりしていれば私の仕事が減ったのに」


そしてメイドはメタリクの死体の耳元で囁いた。


太古の記憶(ランペイジ)


するとメタリクの体が動き出した。


「そこのメイド!何をした!」


魔族のメイドはこちらに少し視線を向け、高炉から飛び降りた。


「何なんだ…」


「勇者くん、考えている暇はないみたいだ」


メタリクの体が膨らんでいる。いや、周囲の金属を取り込んで自分のものにしようとしているように見える。その光景を見た勇者は、本能的に走り出していた。階段を駆け下りてすぐに危機が訪れる。


ゴゴゴゴゴゴゴォ


巨大な物体が迫ってくる音が聞こえる。


「ギャァアァァッ!熱いぃ!痛いぃー!」


「魚の化け物⁉」


迫ってくるものにはメタリクの面影など微塵も無い。ただひたすらに苦痛の声を上げて襲い掛かってくる。熱さや痛みを感じているのはメタリクなのだろうか、この声は救済を求めるメタリクの意思によるものなのか、逃げている勇者には知る由もない。


「勇者くん追い付かれる!」


金属の魚の化け物とにらめっこしているルーデが必死に叫ぶ。


「跳ぶよっ!」


走っている勇者の視界にあるものが入った。


ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトン


「ゴシュジン!」


ゴーレムちゃんがウチミク第二製鉄所内の資材運搬に使われている蒸気トロッコ列車を動かし、モンストラム教徒の死体を轢き潰しながら迎えに来た。その列車の十両ある貨物車両のどこかしらに着地できるように思い切りジャンプした。


「うぉぉぉぉぉおおお!」


ガシャン!


「うぐっ!」


列車の最も後ろのスクラップが入ったトロッコに着地した。しかし着地と同時に数本の金属片が脚に突き刺さった。そして金属の化け物もジャンプし、地面を掘り泳いでこちらに迫ってくる。


「ルーデ!何とか先頭車両まで行くんだ!」


「ああ」


ルーデはもう体力が残っていないその体で四つん這いになって何とか進んでいる。そして勇者は脚に刺さった金属片を引き抜いた。


「俺も逃げなきゃ…って、ゴーレムちゃん⁉」


短機関銃と小銃を持ったゴーレムちゃんがこちらに走ってくる。


「タマはイッパイです!」


「ありがとう!」


ゴーレムちゃんから受け取った短機関銃のボルトを引いて化け物に撃ち込む。そしてゴーレムちゃんも自分の身長ほどある小銃のボルトを引いて弾丸を撃ち込む。


ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!


ダン! ガチャッ ダン! ガチャッ ダン! ガチャッ


「ギャァガァァァァァアァァァ!痛゛い!痛゛い!」


化け物は興奮して猛スピードで接近してくる。


「クソッ!」


ゴーレムちゃんをわきに抱えて走り出して数秒後。化け物はトロッコの後ろ半分の車両を一気に飲み込み、ルーデがいた4両目の貨物車両に食らいついた。


「あっぶね~」


大量の貨物を呑み込んだ化け物の動きは鈍くなった。しかし、この化け物を倒すことはできない。スピードが遅くなる蒸気トロッコ列車の前方の建物の上に人影が見える。


「勇者さん!これを使って!」


建物の上にいたのはノヒン国マスケット銃兵隊のフィーデスとラボリオだ。彼女らが投げてきたのはフリントロック式のハンドモルタルの差し入れだった。ハンドモルタルは榴弾を発射するマスケット銃、転移する前の世界でいうところのグレネードランチャーといったところだろう。


「ここで撃ったらみんな爆死だ!ゴーレムちゃん車両を切り離すよ」


意識のないルーデを一つ前のトロッコに移動させゴーレムちゃんと連結金具を引き外そうとするが、力不足で切り離せない。こうしている間にも化け物の口は少しづつ迫ってくる。


「クッソ、はずれねぇ!」


もう飲み込まれると思ったその時だった。


パシッ


「ルーデ⁉」


「全員で引っ張るよ!」


ルーデが意識を取り戻した!


「「「せーーーのっ!」」」


ガチャンッ!


連結金具が外れ化け物との距離がみるみる離れていく。


「これで終わりだぁ!」


バシュン!


ハンドモルタルで発射された榴弾は弧を描いて化け物の口に飛び込んだ。そして


ドン!


化け物の口で榴弾が爆発して体内にあった溶けた高温の銑鉄が爆散した。3人は先頭車両に避難して難を逃れたが、それだけではなかった。


ドーーーン! ドーーーン! ドーーーン!


周囲の建物が次々と連鎖的に爆発していく。そしてその爆風によって蒸気トロッコ列車は脱線して3人は吹っ飛ばされてしまった。


「…大丈夫か」


「ハイ…」


「何とか…」

読んでいただきありがとうございます

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エモティ

身長 150cm 体重 46kg 属性 無

固有魔法 太古の記憶(ランペイジ)

魔族の少女。まだ角の小さい下位の魔族。勇者たちの前に現れすぐに逃げていった。丁寧語を心掛けているが、基本的に口は悪いほう。

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