16 突入作戦
☆前回のあらすじ☆
東京のガゼルと呼ばれたこの脚を舐めるなよ!
ウラトの中心から外れた静かな場所。 今は使われていない印刷所の中から複数人の声が聞こえる。
「勇者さま、突入しましょう」
「いや、まずは窓から中の様子を見よう」
板が打ち付けてある窓の隙間から中を見ると10人ほどの盗賊のような人達や角が生えた気の強そうな女性の魔族がいた。
「鍵がかかってる。用心深いな」
「レリンさんが何されるか分からないので、なんとか開けさせましょう」
「わかった」
ノックして中の人達に呼び掛ける
ドンドンドン
「すみません」
「………」
反応がない。さらに強くノックして呼び掛ける。
ドンドンドン!
「開けろ!ウラト市警だ!」
「………」
またしても反応がない。
「ダメだな…」
「勇者さま銃で鍵のデッドボルトを撃ち壊してください。突入します」
「わかった」
カチャッ バンッ
扉の鍵に穴が空いたと同時、アスペラが体当たりで扉を破壊し突入した。
「(今の銃声でヴィスもここに来られるかな?)」
アスペラと一緒に中に入ると上品な事務所のようだった。そして縄で巻かれたレリンが床に転がっている。
「た~す~け~て~!」
「レリンさんを解放してください!」
拳銃を向けると奥の椅子に座っている魔族がこちら…いや、アスペラをじっと見ている。
「あなたエルフね、美しいわ、私の物になって頂戴」
「アスさんをそんな気持ち悪い目で見るな」
「あなたは美しくないわね…死んで頂戴」
近くにいる盗賊達がぞろぞろと迫ってくる。
「勇者さま、お互い5人ほど無力化すれば勝てます。容赦しないでください」
「プリンチェ様のためだ!てめぇらー!殺せー!」
盗賊のリーダーのような男の掛け声で一気に襲ってきた。
「吹き荒れる風!」
アスペラが詠唱すると部屋の中に暴風が吹き荒れ、書類や雑貨が飛び回る。
「アスさん滅茶苦茶だよ!」
そう言いながらも銃のハンマーを起こし引き金を引く。
バンッ バンッ
「うあ゛っ!」「いでぇ」
その弾丸は二人の盗賊の腕と太股に命中した。風が吹き荒れるなか物陰に身を隠しリロードする。魔法小袋から弾を込めた予備の回転弾倉を取り出し、銃本体をハの字に折り、空になったシリンダーを取り出し入れ替える。そして雷管を六つ取り付け銃をもとに戻す。
「くらえ!」
カチャッ バンッ カチャッ バンッ カチャッ バンッ
3発の弾丸が敵の腹部に命中した。そしてアスペラもナイフを持った3人を杖でボコボコにしていた。それを見た残りの盗賊は次々と外に飛び出す。
「あ゛ぁー!」「うぐっ」
しかし外に飛び出した人達は次々と悲鳴を上げ倒れる。
「ヴィスが来たな」
部屋の中には3人の男と魔族のみとなった。
「(レリンを誘拐した3人ではない…何故だ?)」
「あら、なかなかやるじゃない。でもこの3人には勝てないわよ」
3人の男達の目からは生気を感じない。
カチャッ バンッ
魔族に向かって発砲する。しかし…
「が あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!!」
男のうち一人が腕で弾丸を受け止めた。
「アスさん、あいつらバケモンだよ」
「わかってます。全力で支援魔法を掛けるので脚を切断してください」
「わかった」
そう言ってブロードソードを抜き構える。
「3対1か…」
「さあ!その人間を殺しなさい!」
プリンチェの命令で武器を持った怪物のような雰囲気の男達が少しずつ近付いてくる。後ずさりしながら窓際に逃げる。
「(ここなら狙えるだろ)」
「があぁぁぁぁぁ!」
男がハンマーで攻撃しようと腕を振り上げる。しかしその手が振り下ろされることはなかった。
パリン シュト!
見慣れた矢、部屋の外からの狙撃、隙をついてブロードソードで両足首を切断した。
「勇者さま危ない!」
残りの二人が攻撃してきたところを、間一髪アスペラが杖でガードした。
「ごめん、油断した」
「………ウゥ…」
「アスさん?」
アスペラも襲ってきた男達のような目をしている。
「三銃士、3対1の状況は変わらないわよ」
「固有魔法か…効果は洗脳かな。厄介だな」
床に倒れている先程両足首を切断した男が目を覚ました。
「なんだこれ痛でぇよ…ちくしょう」
「これで止血しろ」
魔法小袋から包帯を取り出して男に投げ渡す。
ブンッ!
「あっぶね!」
アスペラが杖で殴りかかるのを後跳びで避ける。
「(まずい…支援魔法の効果が切れている)」
アスペラを含めた3人と戦うのは現実的ではない。
「(状況はかなり悪いな…ロングボウしか持っていないヴィスが突入してきてくれる可能性は低い。それなら…)」
魔法小袋から1本の朽ち木を取り出した。
「あら何する気?何してもこの三人は止まらないし、エルフはあなたの仲間でしょ?」
「うるせぇキノコちゃんぶつけんぞ」
ワー!ワー!ヤルヨー!
朽ち木からニョキっと生えてきたキノコの妖精が大量の毒の胞子を撒き散らした。猛毒の胞子はすぐに部屋中に拡散し、全員を襲う。
「ゴホッゴホッ…(バカな…ここにいる全員が苦しむことになるはず)」
「ゴホッゴホッ…(レリン鼻と口塞げないんだけど)」
耐えきれずにプリンチェが外に飛び出そうとする。しかしそれは想定内だった。レリンにボールペンを投げると、彼女は縛られた手でそれを持った。
「マッチはいかが!」
部屋には有機物で燃えやすい胞子が大量に舞っている。マッチで火をつけると粉塵爆発による衝撃と熱がプリンチェを含む全員を襲うはずだ。
「纏う水!」
ボールペンの先から流れ出た水がレリンとアスペラを包んだ。それと同時に部屋の中で大爆発が起きた。そして水が間に合わなかった自分と爆発をもろに受けたプリンチェは、窓を突き破り廊下に吹き飛ばされた。そして体が外に飛び出なかった人達は事務所の中で大火傷を負って死亡した。
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プリンチェ
身長 170cm 体重 53kg 属性 青
固有魔法 三銃士
魔族の女性。基本的に人間の男を見下し服従させる性格であり下位の魔族の中ではかなり恐れられている。固有魔法は強いが本人の戦闘能力は魔族の中では低い。




