52.アンドロメダの神々と交渉
『彼奴がアクションを起こし始めました』
という桔梗からの報告を受けて、アンドロメダでの決戦に備えようと思う。あそこには神と呼ばれる存在がいっぱいいて、言葉を話すのも結構いるらしい。
「・・・で、探しに行こうと思ったんだけど・・・」
アンドロメダ中に分散しているだろうし、手分けして探し回ろうという話になっていた。なっていたんだけど・・・。
「どうした旅の者。ぽかんとして」
「そうじゃぞ。儂らとて動くこともあるわい」
「あのですね、御二方。下位存在にとって、妾たちが集うのは異常だって何度も説明しましたよね?」
「そうじゃったかのう。かかっ、長生きしておると昔のことなど忘れてしまうからの。許せ」
「はぁ・・・。ごめんなさいね。この2人、この世界の最古参だからちょっと常識がないのよ」
目の前のご老人2人を叱る女性。それだけでなく、他にも何人も集まっていた。そして多分、みんな神。
さらに、その脇には。
『こら、ラギアス。背中に乗るでない』
『良いではありませんか、カマロ。普段の姿ではともかく、今のワタクシは小鳥程度の大きさなのですから』
『まったく、仕方ない。誤っても鬣を毟るでないぞ?』
『仲がいいわねぇ、あんたらは』
『何を言いますか。あなたとルリの仲には負けますとも』
『あたいらは親子だからねぇ。あんたらとはまた違うだろう?』
『お母様の言う通りだと思います。私たちは親子喧嘩はしますが、痴話喧嘩はしませんから』
こんな感じで、喋る動物たちが沢山いる。小鳥と馬、狼の親子を筆頭に、それこそ何十、いや百以上いるかもしれない。
「あの、これは・・・?」
「む、置いてけぼりにしてしまったか。すまぬな。儂はキロ。そんでこっちのばあさまはセンチという。なに、今日集ったのはそこの新人に挨拶しにきただけじゃ」
「妾たちの都合がつく日が中々無くて、ちょっと遅くなってしまったのよ。ちなみに、ここには今いる神と精霊獣が全員集まってるわよ」
「・・・まあ、探しに行く手間が省けたね」
「そうね。ちょっと拍子抜けな感じはするけれど」
全員との挨拶を終え、早速相談してみた。
「ふむ、怨念の塊とな」
「それもかなり強大ときた。我々としてはそちらで何とかせい、と言いたいが」
「そこをなんとかお願いしたいのです・・・」
「ふ、そのような顔をするでない。対象が新人である上に、それを放置すれば儂らも危ういやもしれぬ。ならば協力せん理由はなかろう」
「そうですね。妾たちも怨念だとか、瘴気というのは天敵です。出来ることはやりましょう」
「皆さん・・・ありがとうございます」
桔梗が涙目で言った。まあ彼女にとっては自分を殺しにくる存在の撃退に協力してくれることを約束して貰えたんだから、感極まっちゃうよね。
「そういえば、その時が来たとして、他のプレイヤーはどうするの?」
「う〜ん・・・。正直、何もしなくてもいいと思うよ。多分何も知らない人にとっては、あっちの精霊獣さんとかの1種だと思うだろうし」
「まあ確かに、精霊獣に喧嘩売って全員リスポーン送りになった人達はいっぱいいますし」
「それに、もし倒して貰えたんだったらそれこそ万々歳じゃない?それならここまで来る前に片付くから」
ボクたちが他のとこで色々やってる間に、ほとんどの地域が色んなギルドの統治下になったみたい。だから、その敵が来るまでの間にどこかのギルドのプレイヤーが倒してくれればそれでよし。そうでなくても弱らせてくれたらありがたいんだけど。
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「では、そのような手筈で。来たら分かるように、儂らも眷属たちを忍ばせておくわい」
『あたいも傘下の狼たちに警戒させておくよ。もし来たらここに置いた分身経由で報告するからね』
「はい、皆さんありがとうございます」
「よいよい。我々も可愛らしい新人の為ならなんでもしてやるわい」
「全く、キロは若い子にはとことん甘いねぇ。ま、助けてやるからしっかりおやり」
そう言って神たちは一瞬で消え、精霊獣たちも去っていった。カマロと呼ばれた馬はあっという間に走り去ったし、狼親子はそれについて行って、ラギアスと呼ばれた鳥は小鳥サイズから文字通り巨鳥に変化し、優雅に飛び去っていった。
「あの・・・すみませんが海まで送って頂けませんこと?」
と美人な人魚さんに頼まれ、海まで抱っこしていった。
「ありがとうございますわ。ちゅっ」
「なっ」
「ふふ、またお会いしましょう?」
去り際に頬に柔らかい感触を付けられて、慌ててる間に潜っていってしまった。なんか悔しい。
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私が紅葉に入って20年近く。彼奴・・・怨念の塊に堕ちた大蛇のことですが、私だけでなく紅葉をも狙うようになっていたら・・・。いえ、悪い想像はやめましょう。私のやるべきことは、何十年にも渡る因縁に決着をつけること。でももし紅葉に危険が迫るのなら、その時は・・・私の全てを使ってでも潰してみせる。
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