51.ルナメイツオフ会 at サキ's ハウス(後)
「今日は色々作ろうと思うから、買う物も多くなるのよね。だからみんな、手伝ってもらっていいかしら」
「もちろん。それにボクも1品作るし、みんなで分担した方が早いかもね」
今日はメンバーが1人1品作るということになっているので、それぞれが作ろうと思っている料理の材料を買うということにした。彩矢華はどうやら何品か作るみたいだけど、まあ本人がやりたがってるしいいんじゃないかな?
「さて、どこにあるかな」
ボクが作ろうと思うのは、鶏ももの1枚焼き。難しそうだけどコツを掴めば意外と簡単だから丁度いいんだよね。
「鶏もも・・・あ、あった。やっぱり高いなぁ」
地元と比べて物価が高いのは仕方ないから、受け入れるけど。高校生の頃だったら絶対手が出てないと思うよね。
その他香草や付け合せの食材、調味料を購入。その後はみんなの買い物の手伝いをして彩矢華の家に帰還。
「さて、それじゃ各自始めて行きましょうか。時間かかる人から作って行きましょ」
「じゃあ私鶏もも漬け込みますね」
これは少しばかり想定外だったんだけど、燈香が唐揚げを作るということで鶏もも被りが発生。まあみんな焼きと揚げなら大丈夫という結論に至ったんだけどね。
あ、そうだ。呟きしよう。
『みんなでご飯作ってるよ〜。それぞれで作るからどうなるか楽しみ〜』
よし。と、燈香の仕込みが終わったみたい。次にボクの仕込みをさせてもらうことにした。
鶏ももの皮を下にして広げる。手で触って、筋とか軟骨の残りとかがあれば取り除いて。そうしたらいくつか切れ込みを入れていく。こうしないと、中の筋が加熱と共に縮んで、焼き上がりが不格好になってしまうから。そしたらここで下味の塩胡椒を少し振っておこう。
「紅葉〜、じゃがいも茹で終わったよ〜」
「は〜い。ありがとう、お姉ちゃん」
お姉ちゃんが野菜を茹でるということで、お願いしてじゃがいもを一緒に茹でてもらった。これで付け合わせも下準備できたね。
真莉矢と咲良は、2人で炊き込みご飯を作るみたい。咲良が具材を手早く刻んでいて、手際の良さにびっくり。
「それじゃ、あとは紅葉と燈香だけね」
「私は2度揚げするので、1回揚げたあとに先輩がお料理して下さい。私、隣で見てますから」
「あ、うん。いいけど、油飛ぶかもしれないから気をつけてね?」
「はいっ!」
返事はすごくいいんだけど、やや心配だなぁ。
さて、コンロが空いたので鶏ももを焼こう。まずは火を付ける前にオリーブオイルをひいて、鶏ももを皮を下に置く。それから火をつけて、弱火でじっくり火を通して。この時、皮全体をぱりっと焼きたいので重しをする。今日は彩矢華に許可をとった上で使わないフライパンで重しをさせてもらった。時々火の通りを確認して、側面が白くなってきたらひっくり返す。そうして裏面もじっくり焼く。全体、特に中まで火が通ったら肉を上げて、食べやすい幅にカット。そしたら、鶏肉のうまみが染み込んだ油でじゃがいもを焼こう。よくレストランとかで皮付きのじゃがいもを焼いたやつがあるけど、それを作るつもり。
「・・・よし、完成。燈香、お待たせ」
本当に横でずっと見学してた燈香(途中で油が跳ねて直撃してた)に譲る。
「はい!ではラスト、行きます!」
キッチンに2度揚げのいい音が響く。
「お腹のすく音だねぇ」
「そうね。それじゃ、待ってる間にお皿とお箸出しましょうか」
「はいなのです」
ダイニングではみんながお茶碗とかお皿を出してくれてる。ボクはというと、燈香のアシスタント。細かく言うと2度揚げ前の肉を油に投入する作業。
「・・・はい、完成です!」
「いや〜、壮観だねぇ」
「そうね〜。それにみんな上手だわ〜」
テーブルの上には、みんなの作った料理が並んでいる。ボクの鶏もも焼きに燈香の唐揚げ、お姉ちゃんの野菜のコンソメスープ。真莉矢と咲良のあさりの炊き込みご飯に、彩矢華の作ったサラダとえのきの肉巻き、卵焼き。すごい量に見えるけど、これを6人で分けて食べるからそうでもないかも?
「あ、そうだ。せっかくだし写真撮って呟く?」
「いいわねそれ。それじゃ1回画角から外れましょ」
みんなが映ってないのを確認してぱしゃり。
『お料理完成!どれもこれも美味しそう〜!』
これでよしと。
「それじゃ、手を合わせて。いただきます」
「「「いただきます」」」
味は言わずもがな、最高だったよ。食事中も色んな話で盛り上がって、正直今までで1番楽しいご飯の時間だったかも。
その後はお風呂。なんだけど、彩矢華のお家のお風呂が広いからということで、2人で入ることに。いや、ボクは1人でいいんだけど、彩矢華と真莉矢はいつも2人で入ってるって言うし、みんな異議なしって言うからいつの間にかそうなってた。なんでだろ?
「私、先輩と入りたいです!」
「私はいいよ〜」
「あれ?珍しい。お姉ちゃんが譲るなんて」
「まあ、私は家でいつも入ってるからね〜」
「・・・なんか、すごい負けた気がします」
燈香、気のせいだから気にしないようにね。
======
「ふう、いいお湯でした」
正直、お風呂の中でのあれこれは人様に言えるような内容ではなかったのでスルーする。
「おかえりなさい。2人とも、布団とベッドどっちがいい?」
「ボクはどっちでも〜」
「私もどちらでも構いませんよ」
「はいはい。それじゃあ、私と真莉矢が部屋のベッドで、みんなはお布団ね。客人に布団で寝させるのも気が引けるけど」
まあそれはボクたちがお邪魔しているので、ボクたちが布団なのは構わないから大丈夫だと思うよ?
「電気消すよ〜」
「おやすみ〜」
荷物を置いた部屋とは別の部屋に布団を敷いて消灯。色々と疲れていたからか、気が付いたら寝てたし朝になってた。
なんか両サイドが重たい気がするんだけど、気のせいだと思いたい。そう思いながら起き上がると、燈香とお姉ちゃんが引っ付いてた。そりゃ重いわけだよ、ウン。
2人を起こさないようにそっと部屋を抜け、洗面所で顔を洗って目を覚ます。リビングに行くと咲良と真莉矢が談笑してた。
「おはよう、2人とも。早いね」
「おはよう、紅葉ちゃん。あたしと彩矢華はいつもこのくらいの時間には起きてるわよ〜」
「私もこの時間には起きて、瞑想してるのです」
咲良のモーニングルーティンがすっごく気になるけど、スルーした方がいい気がする。というか一条家、どんな家庭なんだろう。
その後も色々お喋りしてたら、ねぼすけさんたちが起きてきた。
「おはよう、みんな」
「おはようございます・・・」
「おはよう。顔洗っておいで?特に燈香、目閉じてるわよ」
顔を洗いに洗面所へ行く2人。
「せっかくだし、どこかで朝ご飯食べる?」
という提案が発端となり、コーヒーショップへ。それぞれがコーヒーやカフェオレなどと共にサンドイッチをいただいた。
その後、彩矢華と真莉矢の案内で色々な神社や観光地を周り、あっという間に帰りの新幹線の時間が迫ってきた。
「それじゃ、またやりましょ」
「うん。次は2人がこっちにおいでよ。九州は色々あるし」
「そうね〜。次はそうしましょ〜」
「じゃ、またね」
新幹線に乗り込み席へ。咲良と燈香は、始めは景色を楽しんでいたけど、やはり疲れたのかぐっすり眠ってる。かく言うボクも眠くなってきて、お姉ちゃんの肩を借りて寝てたみたい。みたい、というのは気が付いたら小倉駅を出発していたから。
そして博多に到着し、お姉ちゃんは乗り換えて実家へ。ボクと燈香もそれぞれ乗り換えて帰宅。
『帰ってきたよ。またやりたいな〜』
という呟きで、今回のオフ会に関する呟きは最後にしようかな。今までの呟きにもたくさんの人が反応してくれた。ありがたいね。




