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48. 怪異物語 結(1)

かくして、最上階の音楽室に辿り着いたボクたち。


「いい?開けるよ!」


風里が開けた扉から中を覗くと、ソレはいた。


「うわあ、キモ・・・」


「ビルとは比較にならないわね」


「正直これの相手したくないのです」


ビルの時は天井から肉塊が垂れ下がっていたけれど、ここはその比じゃない。音楽室全体が肉壁のようになり、その中央に巨大な肉塊が鎮座していた。


「こいつを倒せれば、もしかしたらね」


「まあ、これで帰れると信じましょう。勿論、2人もね」


帰れる人数に、風里と四宮さんも含めるサキ。そういえば、もし帰れたとして、2人はどういう扱いになるんだろう?元の日本に帰るのか、TRFに来るのか。これはルートによって変わるのかな?でも、ちらっとコメント見た感じ、四宮さんの登場がルート分岐っぽいもんなぁ。


「準備はいい?いくよ!」


「とつにゅう〜!」


「うひぃっ、気持ち悪い!」


室内はぐにゅぐにゅとした感触の肉壁で覆われているから、走りづらいし気持ち悪い。


「私は飛べるし」

「頑張れ〜」


「あ、ずるい!」


空を飛べるサキとお姉ちゃんはこの感触に苦しめられることなく進んでいる。ずるいと思うなぁ、あれ。


「まずは小手調べ、と!」


トウカが刀を振り抜くも、肉塊にダメージを与えることはできなかった。肉塊がグニュンと斬撃を吸収したから。


「切れないですね。でもダメージは通ってるみたいですよ!」


「なら物量で勝負だね」


(紅葉、いえこちらではモミジでしたか。私を召喚できませんか?)


ボクの中にいる桔梗さんがそう語りかけてきた。どうだろう、4人は既に召喚してるから、ただの狐しか召喚出来ない気もするけど・・・。


「ものは試しって言うし、召喚」


すると、桔梗さんと同じく真っ黒な狐が召喚され、そのまま人型に・・・桔梗さんになった。


「これで私も加勢できますね」


『5人?体?目!?』

『どれだけ召喚するんだこの子は』

『これまた美人になって』


「あ、あなたは・・・」


桔梗さんの気配を感じ取った景たち4人が動揺している。無理もないか、いきなり進化状態で召喚扱いになってるんだし。


「桔梗様!目覚められたのですか!」


あれ?思ってたのと違う?


「説明は後でにしましょう。今はこの邪気に溢れるモノの対処が先です」


説明を求めるボクの視線を感じたのか、そう言った桔梗さん。


「でも、簡単には行かなそうなんだよね」


「これだけ頭数があれば何とかなる気がしますけどね」


まあ、言われてみればズルに近いけど5人増やせたもんね。ごり押しすれば行けるかな?


「それじゃあ、物量で押し切りましょうか〜」


マリアが矢継ぎ早に射ち続ける。ミリ単位ではあるけどダメージが通っているみたいで、無敵って訳じゃないのが確定。


「なら、ボクたちもやろうか。みんな、各個に攻撃!」


「はい!」


景たち5人がそれぞれに攻撃。というか全員で殴っているから結構なスピードで削れてる。


『これはボスが可哀想w』

『不憫なボス』


「もしかしたらこれで終わりじゃないかもしれないし、温存しておこうかな」


ということで、扇でチマチマ叩くことに。みんなもスキルはあまり使わずに、通常攻撃を多様するようになった。


「反撃がほとんど無いし、どう考えても第2形態あるわよね」


ものの数分のうちに、肉塊の体力ゲージが全損した。


『あっけなw』

『やったか!?』

『フラグ乙』


すると、肉塊が突如蠢き出した!


「うわ、キモっ」


「なんか、心臓みたいね」


そして肉塊が爆発四散した。


「うわっぷ!」


「あーもー、最悪!」


「べたべたになったじゃないの!」


まさかこうなるとは予想もしていなかったので、弾け飛んだ肉片を被ってしまった。


「あそこ、何かいるのです」


「どれ?」


「あ、ほんとだ。人影?」


肉塊があった場所の真下に何かがいるのが見える。暗いのでよくは分からないけど、多分あれが第2形態なんじゃないかな?


『GYAAA!』


「うわっうるさ!」


「来るよ!」


こうして戦闘が始まった・・・んだけれども。


『最早リンチ』

『ボスが可哀想』

『数の暴力』


何が起きたかって、敵は一体。それも、1人しかターゲットしないみたいで、誰かを狙ってる間に他の人がぼこぼこにしているというとてもボス戦とは思えない光景になっていた。


「私ターゲットされた!」


「オッケー、じゃあその間に攻撃するわ」


とまあこんな感じで、連携を取りまくったおかげでみるみるうちにダメージが通っていくもんだから、ボスが可哀想になるくらいフルボッコになっているんだよね。


「もう残り1割まで減ってるわね」


「え、もう?もう少し骨があるかと思ったんですけど」


「多分私たちオーバーパワーなんだと思うわよ?」


「可哀想ですけど手加減はしないのです」


「さっさと終わらせちゃいましょっか」


『ただの数の暴力なんだよなぁ』

『無慈悲w』

『お慈悲は無いんですか・・・?』


「これで終わりっ!」


最後の一撃が入って、体力ゲージが全損した。すると、ボスが蹲り、震え出した。


「なんかヤバそう。ていっ!」


ちょっと危なそうだったので蹴り飛ばす。すると、壁に叩きつけられたボスが爆発した!


「うわっ、危なかった〜!」


「ナイスです先輩!」


「また爆発するのね〜」


『爆発オチなんてサイテー!』

『最後まで爆発多めでお送りしております』

『これでクリアか!?』


「あ、見て、あそこ!」


風里が指さした方を見ると、爆発跡に歪みが発生しているのが見えた。


「この歪み、もしかして」


「本当に帰れるとは・・・」


「山神さん、これは?」


「あ、そういえばかおは見たことなかったっけ。この異界に巻き込まれる時、この歪みが発生して、そこに吸い込まれてこっちに来るみたい。わたしたちは例外だと思うけど」


「とりあえず、先陣は任せて。突入〜」


お姉ちゃんがいつの間にか潜っていてびっくり。止める間もなかった。


「大丈夫そう・・・みたいだね」


「よし、他の怪異が気づく前に突っ込めー!」


みんなで歪みに突っ込んでいく。歪みを抜けるとそこは、クワトロの拠点だった。


「戻ってきた〜!でもなんでここ!?」


「拠点にワープするってことなのかしら〜?」


「ここは・・・?」


「あ、風里も四宮さんもこっちに来るんだ?」


「うん、そうみたい。日本じゃなさそう?」


「でも、あの異界じゃないだけ万々歳よね、山神さん」


「そうね。少なくともここは平和そう」


<イベントクリア>

<TRUEEND:これからも2人で>

<TRUEEND達成おめでとうございます!>


「やったー!クリアー!」


『初見でトゥルーエンド達成おめでとー!』

『88888』

『流石にこれは投げ銭させろ下さい』


「というわけで、無事イベントクリアすることができたところで、今日はおしまい。またのお越しをお待ちしています」


「ばいばーい」


『乙でしたー』

『乙メイツ〜』

『おめでと〜』

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