37.新たな街を目指して
「みんな来たね〜?じゃ、行こっか」
「はーい」
今日は配信をお休みして、アプデで追加された新マップ、クワトロへ行くことに。今までは1人でやっていたマッピングなので、どんなことがあるか楽しみだな。
「時間はいっぱいあるんだし、ゆっくり行きましょ~」
「そうね、マリアはどことは言わないけど大きくて走りづらいものね」
「も~、サキだってレベルが上がるごとにむっちりしてきてるの知ってるんだからね?」
「しょうがないじゃない、最初はそんなこと知らなかったんだから!」
「はいはい、二人ともいちゃつくのは後にしてね~」
「「すいませんでした」」
まあ仲がいいのはいいことだよ、うん。というか否定しないあたり平常運転か。
「あ、そうだ。ボクはいつも道中のワープポイントを全部解放しながら行くんだけど、みんなはどうなの?」
これは大事。もし一直線に街を目指している人がいた場合、どっちに合わせればいいか分かんないからね。
「私は一気に走って街まで行ってるのです。ワープポイントはその後なのです」
「あたしたちはのんびり色んなとこを回りながら街まで行ってたわね~」
「私は先輩と同じ感じですね」
「私はいつも空飛んで一直線に街行ってたな~。正直な話翼があればワープポイント解放する必要もなかったし」
わお、てんでばらばら。どうしようか、速い方に合わせるべきか、ゆっくりな方に合わせるべきか。
「あの、モミジさん。私は他のみんなに合わせるのです」
「私もたまには歩いて行こうかな~って」
サクラとお姉ちゃんがそう言ってくれたおかげで、今日の方針が決まった。
「そう?じゃあ、今日はゆっくり歩きながら行こうか」
「「「は~い」」」
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数十分後、いくつかのワープポイントを解放しつつ歩いていると、次第に景色が変わり始め、さらに進むと雪景色になってきた。どうやら『クワトロ』地方は雪国らしい。
「う~、だんだん寒くなってきたわね」
「大丈夫?サキ。上着ある?」
「え~っと、あったあった。おしゃれ用と思って買ったモコモコのやつが実用になるとは思ってなかったわ」
「雪国だからね~。あたしもそろそろデバフつきそうだから着るわ~」
マリアも上着を着用した。あの驚異の胸囲に対応してる服、あるんだ。
「みんな、寒くない?大丈夫?」
「「「大丈夫(よ~)(なのです)」」」
みんなデバフ回避はできてるみたいだね、よし。
「まさか実際に寒さを感じるとは思ってなかったな~。現実の体が風邪をひくことはないとはいえ、あんまいい気分にはならないもんね~」
「そうね、ユリの言う通りよね。私たちが高校生の頃とか、まさかこんなことができるようになるだなんて思ってもみなかったわ」
そんな世間話を挟みながら更に歩いていると、ワープポイントや洞窟などを発見した。
「この洞窟、灯りが設置してあるけど何用かしら?」
「もしかすると吹雪いた時の避難所かもしれないわね~」
「奥に鉱石がかなりの量あったのです!採ってきてもいいです?」
「そっか、サクラちゃんは本職鍛冶師だものね~。いってらっしゃい。危なくなったら呼んでね?」
「はいなのです!」
心底楽しそうに洞窟の奥へと走っていったサクラ。そういえばサクラは鍛冶師だったね。
「じゃあ、サクラが戻ってくるまで一応周りに注意しながら一休みしましょうか」
「そうだね。マップを見た感じ・・・大体クワトロ地方の半分くらいまで来てるのか」
「思ったより早かったわね~。最初の頃、それこそウノからドスに行くときはもっと時間がかかったし、もっと休憩してたんだけどね~」
「それはマリアのレベルが上がって、ステータスが上がったからじゃない?」
「そうかしら?まあユリって割とそれっぽいこと言うし、そうかもしれないわね」
「なんか失礼じゃない?あとは・・・あれかな、おっぱいの重さに体がついてくるようnあにゃっ!?」
「お姉ちゃん、今は配信外だからいいけど、下ネタは控えてね?」
「あーん、妹にチョップされた~」
「これがあるからユリの言うことはそれっぽい止まりなのよ・・・」
「ただいま戻りましたなのです!・・・どうしたのです?」
「あ、おかえりサクラ。これはお姉ちゃんが甘えてるだけだからほっといていいよ」
「わかったのです。ほっとくのです」
聞き分けのいいというか、扱いに慣れてきたというか・・・。サクラもだいぶお姉ちゃんの扱い方を学んできた感じだね。
「お~?家では私によく甘えてくるくせに言うようになったね~?」
「んなっ、その話はしないでよ!」
「へ~、それは気になるわね~?」
「な、なにさ・・・」
「いやあ?可愛いな~って」
「う・・・だってしょうがないじゃん、普段は一人暮らしなんだから、人肌恋しくなる時だってあるんだから・・・。ああもう、この話はなしなし!いくよ!」
「逃げたわね~」
恥ずかしいのでさっさと移動しようそうしよう。
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それから更に数十分歩いたところで道中のワープポイントは解放し終え、ようやく街の近くまでやってきた。
「もうすぐだね。さて、街についてまずすることは?」
「はい、服を見に行く!」
「そうだね、おしゃれは大事だね、でもそれより先にしたいことがあるね」
「はい、美味しいものを売ってる店を探す!」
「そうだね、腹が減ってはなんとやらっていうもんね。でもそれより先にあるね」
「はい、娼館があるかさgいったあ!!」
「おばか!」
「まずは拠点を探すんじゃなかったのです?」
「サクラはボケないでくれたね・・・。ありがとう、いいこいいこ」
「ふにゅ、くすぐったいのです」
「みんな、出るときに言ってたじゃん。どの街でも活動できるように拠点を探そうって!」
「「「ごめんなさい、ふざけました」」」
「・・・何も言わなくてよかった~」
トウカ?もしかしてふざけようとしてた?
「とりあえず街の中を色々見て、いい感じの物件があったら拠点にするって形でいいかな?」
「そうね、ばらけて迷子になるよりはいいわね」
それからしばらく街を散策することに。
「あれ?あそこは・・・」
「どうしたの、ユリ」
何かを見つけて駆けていくお姉ちゃん。
「娼館だ!」
「「「はあ?」」」
え、まさかほんとにあったの?うそお?
「あ、ちょっと!」
お姉ちゃんは一目散に中に入って行ってしまった。
「はあ~。サキ、マリア、サクラをお願い。ボクちょっとあのバカ姉を引きずり戻してくる」
「「いってらっしゃい・・・」」
そうして娼館らしき建物に突入する。
「もう、お姉ちゃん!・・・ええ・・・」
中に入ると、そこかしこの部屋から水音が聞こえてくる。こんなところ、一刻も早く出ないと変になってしまうだろう。
「さっさとでるよ!」
「あ~、もう少しこの音色を聞かせて~」
「殴るよ?」
「すいませんでした早く出ましょうそうしよう」
はあ、危なかった。
「あ。おかえり~。で、どうだった?」
「顔が赤くなってるけど、もしかして・・・」
「い、いや大丈夫。ちょっと音が響いてただけで」
「それ、大丈夫なの?」
「でさ、入ったらこんなのが手に入ってたんだけど」
そういってお姉ちゃんはなにやら黒い布を取り出した。
「たぶんモミジも持ってるとおもうんだけど・・・」
「え?・・・ほんとだ」
インベントリのすみっこにあった。詳細を見てみると、
〈娼婦のドレス〉
近年増えてきている娼館で働く娼婦たちが身に着けるドレス。女性の性的魅力を最大限引き出すつくりになっており、また行為中に邪魔にならないよう、簡単にずらせるようになっている。
「なあにこれえ」
「まあ、手に入っちゃったものは仕方ないし、もし誰かとヤりたくなったら着れば?」
「うわ、捨てれないし。まあもったいないから取っとくけど・・・」
「意外とそういうとこあるのね、モミジも・・・」
「まあユリの妹だものね~」
なんか風評被害食らってる気がするのは気のせいかな?
「さ、さて、拠点探し再開しますか」
「あ、それならちょうど良さそうなの見つけたよ。二階建てで、一階部分が飲食店っぽい感じで二階が居住スペースっていうの」
「・・・いつの間に見つけてたの?お姉ちゃん」
「ん?娼館を見つける五分前くらいに・・・あ」
「へえ?じゃあ拠点候補地は見つけてたけど、娼館を探すために黙ってたってこと?」
「ほ、ほら性欲って三大欲求の一つだし、居所を見つけるのがあんまり早くてもあれかなと思って・・・」
「ふうん・・・。マフラーホールドと腕ひしぎ十字固め、どっちがいい?」
「すいませんでした勘弁してください」
「やっぱモミジは怒らせちゃいけないって再認識したわ」
「そうね~。そもそもユリが学ばないってのもあるかもだけどね~」
「やっぱり師匠なのです。あの威圧を教えてほしいのです」
「今日もルナメイツは平和だな~」(現実逃避)
「・・・ふう、まあ今回はボクも見つけきれなかったのもあるし、不問にするよ。で、その見つけた物件に連れてって?」
「あ、うん。こっちこっち~」
そういわれて来た道を戻ること数分。
「ほんとにあった・・・」
「なんで見つかんなかったのかしらね」
「ま、まあ多少入り組んでるから~」
「ここなら今後何かするってなってもスペースはあるし、いいかなって」
「そうだね・・・、うん、スペースも拡張性も十分あるね。じゃあ、ここでいい?」
「これ以上探す気がなくなるわ」
「ここでいいと思うわ~」
「いいと思うのです」
「私は先輩が良ければ」
「そ、そう・・・。じゃあ、ここにするね」
お値段はすこし張るものの、今までの貯金から出しても余裕がある程度だったので問題なく購入。
「おっけー、買えたよ」
「よし、じゃあ私明日早いし、先に落ちるわね」
「あたしも~」
「そう?じゃあ、今日はこれで解散にしようか。みんなお疲れ様」
「おつかれ~」
「失礼するのです」
「おやすみ~」
「モミジ、甘えたかったらいつでもおいで~」
「お姉ちゃんはたまに胸の調教してくるじゃんか・・・」
「姉の特権だ!」
「はあ、おばか」
まあそれを拒否しないあたりボクもたいがいお姉ちゃんのことが大好きなのか、それともそれだけそういうのが好きなのか。うん、前者であると信じようそうしよう。
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