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36.アンドロメダでの配信

『アンドロメダ』のヒエイ村に拠点を置いてから数日、非公式の掲示板やWikiにどのギルドがどこに拠点を置いているかなどが書き込まれはじめ、一部ではGvGのバトルが発生したらしい。ボクたちは相当に辺鄙な場所にいるためまだどことも戦闘していないけれど、いつかは戦うことになるんだろう。


また、ボクたちのところでもあった、貴族という存在はやはりゲームとしてはプレイヤーからは不評なようで、SNSでは貴族等の面倒なシステムを修正してほしいという意見が散見された。開発・運営であるお母さんにそのことを聞いたところ、


『あんまり箱庭に手は入れたくないけど、ああいった意見が多くなったら修正も考えるわ。第一小説みたいに完全に貴族社会が出来上がってるわけじゃないし、貴族の始まりみたいな状態だから大丈夫だとは思うんだけどね』


と言っていた。


なら大手のギルドはどうしているのかと思ったけど、どうやら『外の人』という伝承を作ったことでプレイヤーの立場が初めから高くなるように調整されているそう。そのため貴族や統治者と交渉して一部地域または全域の統治権をプレイヤーが持つ形が多い。お母さんも言っていたように、多くのいわゆる貴族は富裕層が権力をもった状態みたいで、多くの地域ではすんなり統治できているみたい。


それと、プレイヤーがウノやトレスなど、従来のマップで遊んでいる間、そのアンドロメダの住人たちで内政などをしてもらうことで統治者が居なくなる事例を無くしているんだそう。


ただ、ボクたちのところでもあったように、一部すんなりいかない地域もあったようで、その時はどうしているかというと、ちゃんと運営は考えているみたいで、イベント戦闘で勝てば問答無用で統治できるらしい。

そういったシステムや調整が入っているにもかかわらずさっきも言ったように文句を言う人たちは、開発がセリフやイベントまですべて設定されているゲームをした方がいいんじゃないかな?


=====================


「なるほどねえ。私たちのとこも面倒なことになってるけど、他にもあったのね」


「それで、今日はどうするの?こっちで配信してみる?」


「確かに、前回はここを目指して走り回ってて、コメントとか碌に見れなかったしね」


「あまり戦闘とかの配信はしたくないですけどね」


「そうなのです。視聴者の皆さんは私たちのこの雰囲気がいいって言ってくれてるのです」


「それはそうね~。あたしもあんまり人前で戦闘とかはしたくないわねぇ」


「じゃあこっちでも配信はのんびりするってことで」


「素材とかも新しいのあるし、あと新要素で完全手動で料理できるようになったし、料理配信とかもやってみたいかも」


「その前に、まずはここの紹介でもしておこうか。他のギルドへの牽制とかも含めて」


ボクたちの拠点をあえて紹介しておくことで、他のギルド、特にまだ拠点の決まっていないギルドが気づかず立ち入ってしまいバトルになる事故を防ぐことができるかもしれないし。


「あ~、そうね。私たちから仕掛けることはなくても、向こうから事故って仕掛けられたらたまったもんじゃないしね」


お姉ちゃんも賛同してくれた。


「じゃあ、今日はそうする?」


「異議はないのです」


「あたしもよ~」


「私もそれがいいと思います」


決まりだね。


=======================


その日の夜・・・


「いらっしゃいませ、今日はアンドロメダからお送りしています」


『前回探し求めてたとこ?』

『待 っ て た』

『ここどこ?』


「ここは前回に配信で辿り着いたところよ。『ヒノモト』って地方の『ヒエイ』って村らしいわ」


「ネーミングは偶然らしいわ~」


『嘘ぉw』

『日の本てw』

『比叡かいw』


「みんながツッコミたいのもわかるよ。ボクも最初は耳を疑ったから」


まあホントは耳じゃなくて身内(稲荷)を疑ったんだけど。


「今日は他のギルドさんが間違えて立ち入らないようにここを回っていくわ」


『そっか、拠点に別ギルドが入ったらGvG始まってまうもんな』

『牽制大事』

『観光したい』


「観光はどうだろ、個人なら入れるのかな?まあ、どっちにしろ今は駄目だけど」


「では、早速行くのです。まずはここ。拠点と、隣にはお社があるのです」


『他のとこにもある神殿みたいなもんか』


「ここにはコナラっていう人がいるけど、今日はお留守みたいね~」


『それもNPCなんか?』

『まあ他のとこにも神って恐れられるNPC?はいるし』

『いろんなとこにいるもんな』

『結構いるよな。ボスみたいな扱いされてるやつもいるし』


「え、そうなの?皆、他にはどんな神がいるか教えて?」


『知ってる、というか情報が出てるのは、西の方の山の中に『ラギアス』っていう巨鳥がいる』

『東の遺跡には『カマロ』って馬がいるらしい』

『あと南側の海岸には『ウィンディー』っていう人魚の美女がいる。あと補足、『ラギアス』は不死鳥らしい』


その外にも、数多くの神獣らしき名前や神様らしい名前を教えてもらえた。さらには、現地の住人の話ではまだまだ見つかっていない神が数多いるんだとか。


「はえ~、私たちの常識がまるで通じないわね、ここは」


「そうだね。あ、ここは村長さんの家だね。お邪魔しちゃ悪いし、素通りってことで」


「こっちに行くと鍛冶師の住まいがあるんだそうですよ。まだ訪れたことはないですけど」


『ちらちら映るNPCの種族が豊富なのは珍しいな』

『↑確かに、割と人族と亜人って別れて住んでるイメージ』

『多様性のカマタリ』

『塊だろw』


「言われてみれば、ここには色んな人たちがいるね」


「まあ、私たちの種族がバラッバラだし」


そういえばそうだった。ボクたち、鬼族を除いて全員種族違うんだった。


「次にこの辺りは農地みたいなのです。お米が植えられてるのです」


『稲作してるんや!?』

『川沿いの一部地域ではしてるっぽいぞ』

『作物は現実と同じ・・・ゲームだからいくらでもご都合主義ができるわけか』


「それで、ここが村の正面入り口ね。まあ、周りは竹林だらけだから防衛性能は高いね」


『入るにはここを通らざるを得ないわけか』

『てかなんでユリちゃんは飛んでるん?色々見えそうなんだが?』

『・・・黒か』


「ん?ああ、だって歩くより楽だもん。飛び続けるのは魔力使い続けるけど、拠点内は無限だし。あと見られようが触られようが襲われようがここはゲームだからかまわnあいったあ!!」


あっぶな~、サクラを見ざる聞かざる状態にしといて正解だったよ。突然ぶっとんだこと言い出すお姉ちゃんには狐火を火力2割増しで叩き込んでおいた。


『それ以上はいけない』

『妹ストッパー入りましたーw』

『貞操観念!』

『年頃の女の子がそんなこと言うなw』

『勘違い野郎が沸いてまう・・・』

『わたくしたちで守らなきゃ』


視聴者からも怒涛のツッコミ(一部除く)が入る。全く、お姉ちゃんは何を言い出すかわからないのが怖いんだ、本当に。


()()、そんなこと言っちゃ駄目でしょ!」


「ごめんて。・・・てか今なんて言った?」


「え?駄目でしょって」


「いや、その前」


「お姉ちゃん?」


「いやさっき姉様って」


「言ってないよ?空耳なんじゃない?」


どうしたんだろ。別に変なことは言ってないんだけどなあ。


「なのかなあ?」


「ユリさん耳が遠くなったのです?」


「だ~れがおばあちゃんよ!」


「そこまでは言ってないです」


『今確かにモミジちゃん姉様って言ったよな?俺だけか?』

『本人が違うって言ってんだから違うんだろ』

『俺は何も見ていないし聞いていないぞ』


「まあ、この話は放り投げるとして。続き、行こうか」


「そうね、このままだと埒が明かないものね」


その後、ヒエイ村を回り、道中会った住人と二言三言交わした後拠点へ戻ってきた。


「という感じで、ヒエイ村の紹介でした。今日の配信はここまでにするよ。次回は・・・どうしよっか?」


『ノープランなのねw』

『決めてないんか~いw』


「どうしようか?ここで連日配信するってのもねえ」


『クワトロでやったらどうですか?』


悩んでいるとそんなコメントが目に入った。


「そういえばまだクワトロ行ってないんだった」


「あ、そういえば私も」


「あたしもね~」


「なら折角だし明日はクワトロで配信しよっか」


『道中は配信しないの?』


「私たちのもともとのスタイルとして、極力冒険しないというのがあるのです。しばらく冒険はしないでおきたいのです」


「そうなんだよね。最近見始めてくれた人は知らないかもだけど、ボクたち、特にボクは一人の頃から冒険配信はしていないから。今後もよっぽどのことが無い限りはその方針で行こうと思うので、ご理解をお願いします」


『まあそれがモミジちゃんらしさではあるから』

『やっぱ女の子たちが仲良さそうに喋ってるの見るのが良いんだわ』

『多分冒険を求めてる人はあんまいない説』


「・・・と、言うわけで。今日の配信はここまで。次回はクワトロの街からお送りする予定だよ。またのお越しをお待ちしています」


「ありがとうございました~」



「・・・配信切れたよ~。にしてもモミジ、挨拶とかでは敬語にしたのね」


「そうだね。その方がむしろやりやすく感じるから」


「成長かしら~」


「どうだろ、ボクもわかんないや」


まあ、視聴者やメンバーからの印象は悪くないし、このまま続けていこうかな。


=========================


「一瞬あの子が出ていましたね。あの子が紅葉の体に入ってかなり経ちますが、私ができることは目覚めたあの子を嗅ぎ付けて奴が来ても紅葉諸共喰われてしまわないように支援すること・・・。もどかしいですね、直接手を出せないというのは」


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