34.ここをキャンプ地とする!2
「ふう、お待たせしましたなのです」
「おかえり~。思ったより早かったね。じゃ、サクラも戻ってきたし行こっか」
「りょーかいですっと」
「まああと十メートルくらいだしね。頑張りますか!」
そうして正面に見えるお社、その本殿か拝殿であろう建物へ向かう。どうやらこっちは完全な木造みたいだ。
「おや、ここへ村の民ではないお客人が来るとは珍しい。見たところ旅の者とお見受けしますが?」
「どうされましたかな、旅の方。おっと、名乗るなら自分から、ですな。いやはや年を取るとそんな基本的なことも忘れていけない。儂はゼント、この村の村長を務めさせてもらっております」
「わたくしはアンズと申します。先祖代々このお社を護る巫女です」
「して、旅の方。いかがなされましたかな?」
「え~、なんて言うのがいいのかな?」
「どうだろ?まあオーソドックスに根を張る地を探してる~とかでいいんじゃない?」
「それでいっか。え~と」
かくかくしかじかうんぬんかんぬん・・・。
「おお、それはそれは。このような辺鄙な地が皆様に合うかはわかりませんが、お気に召して頂けたら儂らとしてもありがたいものですな。アンズ殿は・・・どうされた、アンズ殿?」
「ん~、なんでしょう。この方・・・モミジ殿からコナラ様と同じ香りというか、雰囲気を感じるんですよね」
「ほう?コナラ様と?しかしそのようなことがあり得るのですかな?」
「まあこの世界には神と呼ばれる者がたくさんいますから」
「え、ボクは神とかじゃないですよ!?」
突然あんたも神か?なんて言われても困るよ。
「そうでしたか。失礼しました」
「アンズ殿も珍しいこともありものですな。皆様にはごゆっくりしていっていただきたいものなのですがな、今はちと面倒なことになっておりましてな・・・」
「なにか、あったんですか?」
「ええ、我が村のあるヒノモト地区。その隣を治めておるレジャノという貴族がおりまして、そやつが我が村を領地に入れろと横暴なことを言っておるのです」
「なるほど。と、いうことはここは領地ではないということですか?」
「そうですな、昔も昔、儂らのご先祖様の時代にこの地にコナラ様がやってこられたそうで、その頃はパルミージャ家、レジャノの家名ですが、その貴族はいなかったのでこの地をヒノモトと名付けられたといわれております。それから後になってパルミージャ家がやってきた際に一度今と同じようなことがあったそうですが、その時はコナラ様が直々に交渉され、独立を守ったのだとか。時がたち今、また同じような事態になっているのです」
「そうなんですね。でもそれならコナラさんにやってもらえばよいのでは?」
「あー、そのことなんですが。コナラ様は今少々調子が優れないそうで、当時の4割程度の力しか出せないと」
「ありゃりゃ。でもさっき交渉したって言わなかったかしら?」
「コナラ様が言うには、交渉(物理)とのことです」
「つまりぶん殴ったってことね」
「いやはや、長話をしてしまいましたな。もしやするとそろそろレジャノのやつが来てしまうかもしれませんな」
なんてゼントさんがフラグめいたことを呟いていたら、案の定。
「村長~!レジャノが来ました~!」
「やはり来てしまったか。皆様は巻き込まれぬようここにおられてくださるか?」
「いや、ボクたちも行きますよ。多分ボクたちの方が強いので」
「あとなんか腹立ちますからね」
「ぶっ飛ばすのです?」
そんなことを言いながら石段を下りると、いかにもといういで立ちをした男が数十人の兵士らしい人々を連れてたっていた。




