27.海外でも多少の知名度があるそうで
実家にて・・・
「そうだ紅葉、あなたこの前のイベントで大活躍だったみたいじゃない?国内でも知名度高い熟練と一緒にラストアタック決めたって」
「なんで知ってるのって、そりゃ運営だから当たり前だよね・・・」
公式配信で目立ったから、知名度は多少上がったらしいというのは知っていたし、あのシーンを撮影していたのが身内だったと知った今、さらに恥ずかしいけど。
「海外のSNSで見たんだけど、紅葉ちょっと有名になってるみたいよ。ほら」
「えっ?」
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『』は外国語の訳とする
『なあ、今ジャパンのTRFの公式放送を見たんだが、最後の3人は何者だ?』
『ああ、あのハンサムな奴とクールな姉ちゃんとキュートな嬢ちゃんのことか?男の方はスバルって奴で、界隈では有名な配信者だな。他の二人は知らない』
『姉ちゃんはアカギだったと思う。彼女もジャパンでは有名だな。しかし俺も嬢ちゃんのことは知らん。すまないな』
『誰かあのコのこと知ってる奴はいるか?もしかして、本当に一般のプレイヤーなのか?』
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『ジャパンの友人に聞いて分かったんだが、あの嬢ちゃんも一応配信者らしい。モミジって名前らしいが、ほぼ無名らしい』
『マジかよ?あのコ、あの強さでなんで?』
『どうやら配信スタイルが冒険しないタイプらしい。URL貼ったから見てみろよ』
『ワオ、このコの配信は平和だな!』
『私こんな配信が見たかったみたい。冒険の配信には飽きたのよね』
『このコ、強いだけじゃなくてセクシーだな。俺は好きだ』
『気になっただろ?なんと今日も配信があるんだそうだ。見に行かないか?』
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「って感じで、海外での知名度が上がったみたいよ。良かったわね」
「恥ずかしい気もするけどね・・・」
知らぬ間に知名度が上がっていたとは。それも海外でだなんて思ってもみなかった。
確かに、たまに外国語のコメントが流れていたので海外の視聴者もいることは知っていたけど、そういう経緯があったんだなあ。
「海外でも紅葉みたいな配信スタイルを欲しがってる層は一定数いるのよね。ただ、その層に”だけ”合わせた配信をしてても見る人が増えないのも事実。配信と一口に言っても大変でしょ?」
「まあ、それはある程度予想はできてたから。それよりも視聴者がヒートアップしないかの方が心配ではあるけどね。なんで伸びないんだーって。一番簡単な解決策は冒険とかの配信もすることなんだろうけど、それで今まで見てもらえてた人たちが離れないか心配なんだ」
配信スタイルを一貫して冒険しないというものから、少しは冒険もする、にしてしまえばそっちの層から視聴者を呼び込めるとは思う。でも、それで前から見てくれてた人たちが離れて行ってしまったとしたら、それは本末転倒だと思う。
「杞憂だと思うけどねぇ・・・。そういえば、あなたのアバター、妖狐でしょう?それでもう六尾って、レベルキャップ解放したのほんの一月前とかなんだけど、どうやってそんなに早くレベル上げしてるの?」
「あー、それはもうとことん洞窟型のダンジョン?にこもってレベリングするんだ。上手くいけば大体四日くらいでレベル上がるから」
「ふーん、その洞窟がなにか特別なのかしら?」
「なんだろ、外とかよりも暗い分レア個体が見つけやすくなってるからかな?あと召喚スキルで頭数を稼いで殲滅するとか」
「あー、あの辺のスキルね。でもあれ、ゲームバランスぶっ壊れるからって相当コストかかるようにしたんだけど?」
確かに最初の方は狐たちもまだ弱くて、ボクの最大MPも少なくて苦戦したんだっけ。
「最初は苦労したけど、狐たちのレベルがあがってやられにくくなったから。あとはMP回復アイテムを常備したりとか」
「なるほどね。考えてあるわけね。・・・そうだ紅葉、あなたそういうの配信でやったら?こうすると楽、ここがおススメ、こんなこともできるよーみたいな。それならいろんな層を呼び込めるんじゃない?」
「おお、確かに。でも、まずはギルドのメンバーにそういうのをやってもいいか聞かないと。ギルマスだからって勝手にこうするって決めたら独裁みたいになっちゃうし」
今まで思ってもみなかったアイデアに目から鱗ではあるけど、だからといって勝手にするのはまずい。まずはみんなに確認してみて、許可が出れば試験的にやってみようかな。
「まあ、その辺はゆっくり考えるといいわよ。どうせ大学始まったら4年くらい結構自由な時間ができるんだし、あなたのやりたいことをするといいわよ。あ、たま~になにかバグとかバランスの不満とか報告してもらえると助かるわ。やっぱりプレイヤーの意見を聞きたいから」
「わかったよ。まあ一週間後には向こう戻るし、メンバーには連絡してさっきの話の可否を聞いておくから」
「ありがとう。あ、そうそう。まだ企画であがっている段階なんだけど、ストーリーなりクエストなり、形は決まってないけど、ホラーの要素も入れてみないかって企画があるのだけど、さすがにスキップはできるようにした方がいいわよね?」
「そうなの?確かに、怖いのが苦手な人はスキップできるようにした方がいいかもね。コンセプトはどんな?」
「予定では和風ホラーになる予定。ただ稲荷がね、あの方幽霊とか苦手らしいから、フソウ村で実装できないから別に作らないといけないの。まあ私としても10年くらい前に流行ってた和風ホラー系、作ってみたかったのもあるし、問題ないわ」
「そうなんだ。でも大丈夫?その情報まだ未発表でしょ?」
「・・・ネタバレ禁止で☆」
「全く・・・」
いくら身内だからって、そういうことは言わない方がいいだろうに・・・。それにしても和風ホラーか。どんな感じになるんだろう?怖いのが苦手な人はスキップできる予定らしいし、まあ大丈夫かな。え?ボクはホラー大丈夫なのかって?まあ、想像したら足は震えるよね、ウン。
今回は結構見え見えの伏線を張りましたが、全部回収出来るだろうか・・・、と不安であります(-_-;)




