26.実家に帰省
久しぶりの投稿な為、拙くなっている部分もあると思いますがご容赦ください・・・。
現実世界では夏も過ぎ半袖では肌寒くなってきた頃、長期休暇を利用して、実家へ帰省することにしたボクは、駅で列車の到着を待っていた。既に家族には連絡しているし、配信の方もお休みをもらうことを伝えているので大丈夫・・・な、はず。
『11番乗り場に、列車が到着します。危ないですから、黄色い線の内側までお下がり下さい』
「あ、もう来るのか」
到着放送が流れたことで漸く列車がもう来ることに気づき、やや慌てて号車案内の場所に並ぶ。配信活動を始めて初の帰省なので、果たして両親にボクのことがばれていないか、それが1番心配だ。
やがて発車の時間になり、発車のメロディーの後に列車が発車する。今までは旅費を全て家族にもらっていたので、自分のお金(投げ銭のおかげ)で切符を買って実家に帰るという謎の達成感に浸りながら、乗り換える駅までの鉄道旅を寝ながら楽しんだ?のだった。
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『まもなく、新鳥栖、新鳥栖です。JR線はお乗り換えです・・・』
下車する駅の到着放送が流れ、荷物の用意と車内で飲み食いした軽食やお茶のカラをまとめる。駅に着いたらゴミ箱に捨てておかなくちゃ。
「さて、乗り換えしないと」
ここからは在来線に乗り換える。別の路線に乗り換え、しばらく乗って最寄り駅へ。そして最寄り駅で降りたら今度はバスに乗り換えて実家へといった中々の長旅。
「ちょっときついけど頑張るかぁ」
なんだかんだ実家への帰省は楽しみだしね。
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「つ、着いた・・・」
時間はそれほど掛かっていないけど、何度も乗り換えを繰り返したせいかかなり疲れた。
実家のインターホンを押し、家族が出てくるのを待つ。
「はーい、今行きまーす・・・あ〜、紅葉!お帰りなさい!」
「わぷっ、ただいま、お母さん」
扉を開けるなりボクに抱きついてきたお母さん。お母さんは背が高く、美人さんで、胸がでかい。またもや抱きつかれた時に顔が胸に埋もれて呼吸が苦しくなった。
・・・ボクにもその血が流れてるはずなんだけど、いやまあ学校ですれ違う同級生たちよりはあると思うけど、お母さんみたいにもっと大きくならないかなぁ、と密かに思っていたり。
「ほら、あがって。荷物持つわよ」
「え、荷物はいいよ。重いし」
「そう?なら私はお父さんたち呼んでくるわね」
そう言っていそいそと呼びに行ったお母さん。ボクのことを待っていたのが丸わかりなので嬉しくなるね。
「おぉ、紅葉、帰ってきたとね」
「お帰り〜」
「お帰りなさい」
リビングで歓迎してくれているお父さんとお姉ちゃん、それと・・・
「・・・どちらさま?」
「おや、私が認識できるようになりましたか?」
「はい?」
「あら、紅葉も稲荷様が見えるようになったの?」
「へ?え?稲荷様?」
「もう、咲希は説明不足なんですから!それに私のことは様を付けないでと何度言ったら・・・。紅葉さん、私から説明させていただきます。私は稲荷。あなた方の本家に当たる一族が管理する神社の御神体に当たる存在です」
「え?・・・えぇえぇぇ!?」
「まあ、最初は驚くよね〜。私も最初に気づいたら知らない人がいたからめっちゃびっくりしたもん」
「あの時の百合華はホントに驚いとったからなあ。俺は昔から見えてたからなんとも思わんかったけど」
「え、てことはボクが小さい頃からいた・・・んですか?」
「敬語は無くていいですよ。はい、紅葉さんが生まれた時から見守っていましたから」
「そうなんだ・・・」
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「それにしても稲荷、あなた私のゲームに入りたいとか言ってたけど、実際入って何してるの?」
「ああ、それでしたら色々とやらせてもらっていますよ」
「あれ?お母さん新しくゲーム作ってたの?」
お母さんはゲームの製作会社の社長で、社員の案でゲームを作り出すこともあれば、お母さんが案を出すこともあるんだとか。
「そうよ。タイトルは結局何になったんだっけ・・・ああそうそう、『TRF』だったかしら」
・・・ん?今なんかすごい馴染みのある名前が聞こえた気が。
「お母さん、なんて?」
「だから『TRF』よ?」
「・・・えぇー」
驚くことが多過ぎて叫ぶ気にもならない。まさか配信させてもらっているゲームが身内の作ったゲームだったとは・・・。社名が違ったからそんなことはないと思ってたんだけどなぁ。
「あれ、言ってなかったっけ?」
「聞いてないよ、お姉ちゃん・・・。開発元の名前も違ったじゃん・・・」
「あ~、まあ数年前に社名変わったからねぇ。その頃にはもう紅葉一人暮らし始めてたし。まあ調べなかった紅葉の落ち度ということで」
「ぐうの音もでません・・・」
ん?ということは・・・
「あのー、稲荷さん?」
「はい、なんでしょうか?」
「TRFの神社で会ったイナリって・・・」
「・・・てへぺろっ」
「やっぱりかぁ・・・。あのこと配信で言ったら他の人か『そんなの知らない』って言われて動揺したんだからね?てかボクのこと知ってたのならなんで初対面みたいな接し方したの?」
「それはほら、ロールプレイというものですよ。それに、私が一方的に個人情報を喋るわけにはいきませんしね」
「ま、まあそれは確かに・・・」
(紅葉のやつ、うっかり配信って言ったことに気づいてないなあ。まあお母さんには既にバレてるんだけど。私も含め)
「そういえば、私TRFのプレイヤーデータとかの閲覧ができるんだけど、不正対策とかでね。それで・・・このモミジって子、紅葉?」
「ンん〜?ナンノコトデスカネ・・・」
「図星なのね。身長高くしてるけどスリーサイズがほとんど同じだったからもしかしたらって思ったけど、おっぱいだけちょっと大きくしちゃって」
「・・・・・・」
恥ずかしいので無言でお母さんを叩く。力がなさ過ぎて多分ぽかぽか程度にしかなってないけど。
「バレてたみたいだねー、紅葉」
「・・・ちょっと部屋で休んどくね」
この場にいたらもっと恥ずかしい暴露とかされそうなので早々に逃げることにした。お父さんも目合わせないようにしてたし、気まずいじゃんか。
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数時間後・・・
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「紅葉ー、ご飯だよー。起きといで〜」
「はーい」
時間が経って冷静になり、その頃には夕飯の用意も済んでいたようでダイニングへ。
『アプデで追加されるマップか。ボクは海が追加されるといいな・・・』
「って、おぉい!!」
「あ、紅葉やっと来た。ご覧の通り家族全員紅葉のチャンネルは履修済みでございます」
まさかテレビに内蔵されたアプリからボクの配信が大画面で流れているなどと、誰が想像できようか。
「なんで言ってくれないのお姉ちゃん・・・」
「なんでって・・・黙ってたほうが面白いから?」
「殴っていいかな?」
「まあまあ、二人ともそのくらいにして。紅葉がこういった配信をしてくれてるの、感謝してるのよ。配信してる人たちって、冒険だったり、強敵との闘いを軸にした配信がほとんどなんだけど、私たち開発側としてはいろんな遊び方をしてほしい、戦いをしなくても楽しめるっていうのがコンセプトなの。ただ、配信者たちがみんな冒険してると、どうしてもプレイ傾向がそっちに寄っちゃうから。その点紅葉みたいに冒険以外のことを主軸にした配信してくれると、他のプレイヤーも冒険をしない遊び方っていうのを知ってくれるかなって」
そうだった、お母さんは真面目な話を急にしてくるんだった。いきなりこういうことを言われると怒るにも怒れないから調子が狂う。
「だから、できればこれからも続けてほしいって思ってるの。私たちにとってはありがたいから」
「まあ、続ける気ではあるよ」
「よかった。そうそう、紅葉はなにか聞きたいことはない?プレイヤーの意見を聞きたいんだけど」
質問したいことはいろいろあるけど、お母さんでも分からないこともありそうだしなぁ。
「TRFってさ、露出の多い服とかたくさんあるけど大丈夫なの?色々と」
「まあ、昔から露出の多い衣装は色んなゲームであったし、今のところ性被害の報告とかも出てないから大丈夫と思うわよ。ああ、それと新しいAIはどんな感じ?自律思考型AIを導入したんだけど」
「すごい自然だよ。普通にボクとコミュニケーションがとれるし、なんならセクハラしてくるし」
「良かった、バグも起きてないみたいね。実は今開発中のエリアで、全NPCが自律思考型AIで、生殖とかも導入させてAIが作った世界、って感じのものを開発中なんだけど、うまくいきそうね」
そんな機密を喋っていいんだろうか・・・。
「じゃ、この話はこの辺にしておいて、ご飯たべましょ」
「うん、そうしよ・・・」
かなり久しぶりに投稿するので今まで読んで頂けていた方がおられるかは分かりませんが、学業とバイトの多忙に慣れ、少しずつ書く余裕ができたのでぼちぼち(モチベーションが回復した時に)再開したいです。




