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第28話 ロディ、別れ話をする

 4層で魔物狩りを続けることにしたロディ達は、それ以降、安全地帯での1泊を挟んで2日間ダンジョンを廻り、1日ミズマで休む、という生活を3度ほど繰り返した。

 それにより、魔石やドロップ品の多くを獲得し、生活に余裕が出来て、ロディ達の貯蓄も可能になってきた。

 テオとレミアも同様にその恩恵を受けていた。彼ら分配された魔石などを換金して、それをナコリナ達が服や食べ物、拠点で使う小物などを買って持ち込んでいた。そのため、レミアたちの衣食住も大幅に改善していた。

 パーティメンバー全員が、現在の状況に満足していた。

 

 しかし、将来の事となると話は別になる。

 この初級ダンジョンは、まだ経験の浅い冒険者たちが生活するためには申し分のないダンジョンなのだろう。

 しかし、ロディ達には目標があった。ロディがAランク冒険者になり、ナコリナやエマを守れるだけの力を持つ、という目標が。そしてその目標は、初級ダンジョンでは到底到達しえない。それはロディ達には当然判っていることだった。


◇◇


 休暇の翌日、ロディ達はダンジョンの安全地帯の拠点に足を運んで、レミア達と取り留めない話をしていた。


「・・・ところでさ、ちょっと大事な話があるんだけど。」


 話の区切りを見計らい、ナコリナがレミアとテオに話しかけた。その雰囲気は、それまでの会話の内容とは異なることを予想させるには十分で、テオもレミアも話を聞こうとして、少し不安そうな目を向けた。


「前に私たちには目標があるって話したことがあったでしょ。覚えてる?」

「覚えているのだ。ロディのランクを上げる必要がある、とか言っていたのだ。」

「そう。具体的にはロディにはAランク冒険者になってほしい。いや、なってもらわないといけないの。」

「Aランク・・・」


 テオとレミアはAランクと聞いてもさほど驚いた様子はない。おそらくAランク冒険者がどれほどの力を持っているのか、分かっていないのだろう。ただ、「Aランク=すごく強い冒険者」というニュアンスは判っているようだ。


「そしてAランク冒険者になるっていう目標は、ミズマのダンジョンで活動していてはとても届かない。だから、別の街の別のダンジョンなんかを探索していかなきゃならない。もっと強い魔物を倒して、強くならなきゃならないの。」

「・・・つまり、もうこのダンジョンに来いってことなのか?」

「いずれなるわ。」

「そ・・・それは困るのだ!」


 レミアはガバッと立ち上がった。


「私はロディと一緒に居たいのだ。エマとナコリナとも一緒に居たいのだ。テオもそうなのだろう?」

「俺は・・・俺も、行ってほしくない。」


 レミアもテオも、ロディ達が他の街に行くのには反対だった。


「でもあと数日準備を整えて、最下層のボスに挑んて、それを倒したら、私たちはここにいてももう出来ることはなくなる。そうなったら、もうこのダンジョンにいる意味はなくなる。このダンジョンを出て行くことになるわ。」

「いやなのだ、いやなのだーーー。」


 レミアは泣き出してしまい、ナコリナはそんな彼女を抱きしめた。

 レミアはナコリナの胸の中で涙を流し続けていた。テオは泣き続けるレミアを見ながら歯を食いしばりながらうつむいた。

 2人ともロディ達と別れたくないのが分かる。もちろんロディ達だって別れたくはない。けれどそれそのためには越えなければいけない障害があるのだ。


 ナコリナが最年長であるはずのレミアをなだめ続ける。それを見てロディがナコリナの代わりに話し始めた。


「2人とも落ち着いて聞いてくれ。俺たちは、テオやレミアと別れたいわけじゃない。本当は一緒に冒険したいと思っているんだ。」


 その言葉を聞いて、テオとレミアは顔を上げてロディを見た。


「けどそのためには解決しなきゃならない問題がある。」

「俺たちの魔力の事か?」

「そうだ。」


 ロディはテオとレミアを見つめながら言葉を続けた。


「テオ達はダンジョンのように魔力がたくさん無いといけない。だからダンジョンの外に出て生活できない。けど魔力だけの話だったら、俺たちはそれを解決する方法があるんだ。」

「・・・それは本当か?」


 ロディの言葉にテオが半信半疑な表情で訪ねる。


「ああ、本当だ。詳しくは言えないけど自信はある。だけど、」


 ロディは一度言葉を切った。テオとレミアを見ると、少し希望の灯をともしたような目をこちらに向けていた。


「それは問題の根本解決にはならない。単なる対処療法なんだ。解決するためには原因を知らなきゃならない。」

「原因?」

「テオ達が魔力を常に必要とする体になった理由だ。その理由を話してほしい。」


 それを聞いて、テオとレミアの表情がこわばった。

 ロディは、テオ達の秘密を教えてほしいと言う。そうすれば体の事も解決できるかもしれない。


「本当に・・・本当に解決できるのだ?秘密を話せば、私たちでも他の街に行くことが出来るのだ?」


 レミアがすがるような瞳でロディを見つめる。


「絶対できる、なんて約束はできない。話を聞かないと分からないからね。だけど2人が秘密を話してくれたら、俺たちは2人の為に全力を尽くす。2人の為にあらゆることをやってみる。これは、絶対だ。」


 ロディの宣言に、エマもナコリナもうなづく。

 これは昨日の夜、3人で話し合ったことだ。今後の事、特に2人をどうするかについて。その結果がロディの言葉だった。

 テオとレミアを本当に安全な状態で外に連れていく。そのためには彼らと話し合うことが必要だった。


 少しの間があり、ようやくテオがぽつりとつぶやくように口を開いた。


「俺たちの事を話すと、ロディ達をこのことに巻き込んでしまうかもしれない。それでも、いいのか?」

「いいさ。話せないような秘密と言うんだから、それだけで危険だことは判っている。それでも俺たちは聞きたい。テオとレミアを外に連れ出したいんだ。」


(それに自分たちも大きな秘密を持ってるから、少しくらい増えてもたいしたことないしね。)


 最後の言葉は口には出していないが、ロディたち3人が同じように思っていることだ。修正魔法とその使用。隠さなければならない秘密を持っているのはこちらも同じ。ならば一緒に秘密にしてしまえば大差ないだろう。


 レミアとテオはお互いの目を見ていた。そして、テオは一つ頷いて見せた。その意味を分かったのだろう、ナコリナに寄りかかっていたレミアが自分で立ち上がって、ロディ達を見つめた。

 そして、口を開こうとした瞬間、


「あー、ぺちゃくちゃぺちゃくちゃうるせえよ。迷惑だから静かにしやがれってんだ。」


 場の雰囲気をぶち壊すような罵声が聞こえてきた。

 その声に驚き、5人は振り向く。


 5人の視線の先には、3人の男がいた。彼らはゆっくりとこちらに近づいてきている。


「あ、あいつらは・・・」


 視線の先にいた3人は、ロディ達の見覚えがある顔だった。ダンジョンに初めて入ろうとした日に、ギルド内で絡んできた、あの3人組だった。

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