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第17話 ロディ、宝箱を開ける

「・・・落とし穴だね。底が浅いけど」

「1層の簡単な罠がここにあったんだ。」

「ちょっと、解説はいいから手を貸してよ。」


 2人が手伝って穴からナコリナを引っ張り上げると、落とし穴はすっと消えていき、普通の床に戻っていた。

 3人は罠が消えるのを見るのは初めてなので驚いていた。


「罠って不思議ね。また別の所に現れるのかしら。」

「本当、ダンジョンって不思議だ。」


 ちなみに、これ以降ダンジョン1層で再び罠が発生することになった。

 これは隠し部屋に出来ていた罠にひっかかったナコリナの功績(?)なのだろう。


「何感心してるのよ。すごく痛かったんだから。」


 ナコリナはお尻をさすりながら怒っていた。今日はナコリナ(のお尻)にとって災難な日らしい。


「ロディ、ギフトは使ってたの?」

「ずっと使ってたよ。でも罠には反応しなかった。やっぱり、罠は「間違い」じゃないんだよ。」


 ロディのギフトは万能じゃない。「間違って」いなければわからないのだ。


「やっぱり『罠探知』が必要ね。」


 ナコリナは少し怒りながら断言した。

 罠探知の魔法陣は「魔法陣全集」にも収録されている。初級の罠は大したことないが、中級以降になると危険度はUPする。いずれは取得しなければ。


 宝箱は、エマの持つ「罠解除」スキルを使い罠が無いことを確認した。


「さて、じゃあいよいよ宝箱を開けよう。」

「いよいよね。」

「楽しみ。」

「じゃあ、「せーの!」の掛け声で開けよう。いくよーーー、」


「「「せーの!」」」


 3人同時に宝箱を開けると同時に歓声が響いた。


「お、」

「あ、」

「わあ!」


 3人は箱の中の物をしばらく眺めて、そして手早く取り出した。


「俺のは革鎧だ。」


 ロディの開けた宝箱には、レザーアーマーが入っていた。今使っている物より、軽くて丈夫。一目でなかなかの品質のものだと分かる。


「私はローブだったわ。」


 ナコリナは、宝箱から取り出した白いローブを広げて見せた。ローブと言ってもそれほどの長さは無く、ブランケットみたいに腰の位置までの長さしかない。通常の長さのローブより動きやすそうだ。

 ナコリナの顔を見ると、満足いくものなのだろうとわかる。ナコリナはさっそく今のローブを脱いで、新しいローブを羽織り、くるりと回ってローブをひるがえした。


「どう、ロディ。似合う?」

「うん、すごく似合う。真新しい白が、ナコリナをすごく引き立てているよ。」

「えへへ、ありがとう。」


 ナコリナはロディの誉め言葉に少し恥ずかしがりながら笑った。


 しかし、ここに1人話の輪に加われない者がいた。いや、加わらなかったのか。


「あれ、エマ?」

「エマっちゃん?」

「な、なあに?お姉ちゃん。」


 エマは笑って応えたが、少し笑顔が堅い。その理由を2人は容易に推測できた。エマの手には、真新しい「弓」があったからだ。


「買ったばっかりだったのに・・・。」


 エマが弓に目をやってしょんぼりしている。

 エマはダンジョンに入る前日に弓を買い替えていたのだが、今回の宝箱から出た弓とかぶってしまったのだ。見た目はかなりよさそうな弓で、今持っているものより高性能だと思われるのだが、タイミングが悪かった。


「あー、・・・でも良かったんじゃないか。剣とか斧とかじゃなくて」

「うん、やっぱりエマちゃんは弓で行くべきだってダンジョン神が言ってるんだよ。」

「何?ダンジョン神って」

「知らないけど居そうじゃない?」

「居たら会ってみたいけど、居ないだろ。」


 2人はなんとかエマを励まそうと明るく振る舞っていた。


 エマも、元気が取り柄の娘だ。いつまでも落ち込んではいない。


「よし。いい弓が手に入ったんだし、これに文句言ったらダンジョン神に怒られちゃうわね。」


 そう言って、気を取り直したエマは、


「隠し部屋も宝箱も見たし、次に行こうよ。」


 と言って、入口に進んで行った。

 ロディとナコリナは顔を見合わせて安心した顔で頷く。


「よし!次はいよいよ2層初進出だ。」


 ロディの言葉と共に、3人は元気よく隠し部屋を後にした。

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