第16話 ロディ、隠し部屋に入る
「「「宝箱だ!」」」
冒険者の誰もが夢見る、ダンジョンの宝箱の発見。
それが目の前にあり、3人は興奮が抑えきれず大騒ぎしていた。
「すごいすごい!宝箱、見つけちゃった。」
「いつかはそんなことがあればいいなと思ってたけど、まさかこんなに早く見つけるとは。」
「ロディのギフト様様ね。」
一通り騒いだところで、少し落ち着いたロディがなだめにかかる。
「ちょっとみんな落ち着いて。騒いだら魔物が寄ってくる。それに中を見てみないとぬか喜びのかもしれないよ。」
「あ、やば。ダンジョンで騒いだらダメだよね。」
「確認せず騒いじゃうなんてはしたなかったわ。ごめんなさい。」
(・・・ん?このくだり、なんだかデジャブがある。・・・気のせいかな?)
3人はとにかく中に入って宝箱を開けようと思った。のだが・・・
「入っても大丈夫かしら。」
おそらく初めて発見したであろう隠し部屋に最初に入るには用心するに越したことはない。
ロディはまず魔石を取り出し、中にひょいっと投げ入れた。単純な罠だけじゃなく、魔力に反応するかもしれないと考えたのだが、
「・・・何も起こらない。」
「初級ダンジョン第1層だからひどい罠なんて無いとは思うけど。」
「閉じ込められたりしないかしら。」
「どのくらいの時間開いているのかな。」
しばらく待っていたが扉が閉まる様子はない。
「あの上のブロックが開閉スイッチのようだね。」
「もう1回やると閉じるのかしら。ちょっとやってみましょう。」
ナコリナがまた椅子に乗ろうとしたので、ロディは椅子を支えようとしたが、さっきの事を思い出して急に立ち止まり、
「エマが支えてくれないか。」
と、お願いした。
「ロディどうしたの?体調悪いの?」
「い、いや、そうじゃないけど・・・ゴニョゴニョ」
「?」
ナコリナは怪訝そうに首をかしげていたが、そこへ笑いをこらえきれないような顔をしたエマが真相を教えた。
「お姉ちゃんが椅子の上に立って、お兄ちゃんが椅子を支えている姿を想像してみてよ。」
「え?」
ナコリナはしばらく椅子を眺めていたが、はっと気付いて、顔を真っ赤にしながらお尻を手で隠した。
「・・・ロディのエッチ。」
「不可抗力だったんだよ!」
ナコリナのジト目の視線に、必死に弁解するロディ、そしてそれを小悪魔な笑顔で見つめるエマがいた。
なんとかナコリナをなだめて、ようやく隠し部屋の事に戻る。
ブロックに再度魔力を流すと、消えていた壁が再び現れた。もう1度魔力を込めると、また壁が消える。どうやらこのブロックは魔力に反応するON/OFF兼用のスイッチの役割らしい。
スイッチ以外で扉が動く様子はないので、思い切ってロディが1番手で入ることになった。
ロディは用心しながらゆっくりと中に入った。1mほど中に入っても何事も起こらない。
「大丈夫みたいだ。」
ロディが振り向いて2人に入ってくるように言った。
ナコリナとエマは頷いて部屋に入ってくる。
「どうやら何も仕掛けが無い普通の隠し部屋だったようね。」
「・・・索敵にも反応しないし、魔物が宝箱に擬態してもいないようだ。」
「じゃ、宝箱を開けましょうよ。」
3人はそろってそれぞれ3つの宝箱の前に進んで行った。
と、その時、
「キャッ!」
突然、ナコリナの悲鳴が響いた。ロディとエマが慌ててナコリナの方を見ると、ナコリナは忽然と消えていた。
「ナコリナ!」
「お姉ちゃん!」
見ると、ナコリナがいた付近の床に穴が開いている。
慌てて駆け寄る2人。そしてそこで2人が見た光景は・・・
「・・・イタタタ。何なのこれは。」
1mの深さの落とし穴の底で、尻もちをついているナコリナの姿がそこにはあった。




