第14話 ロディ、隠し部屋を見つける
ダンジョン2日目、3人は第2層を目指す予定だ。
すでに1層の魔物とは数多く戦い、3人で問題なく対処できると判断している。
今日行く2層目の魔物と戦い、そのレベルを見極めながら着実にダンジョン攻略を進めて行こうとしていた。
「そういえば1層は罠が無いのかな。」
「各層1か所ずつくらいあると聞いてる。でも最近1層は罠が無くなったという話で、誰も罠にかかっていないらしい。それに初級ダンジョンは、命にかかわるようなトラップは無いみたいだけど。」
初級ダンジョンには、踏むと警報が鳴って魔物が数匹出て来るとか、落とし穴(ただし1m)とか、後ろに壁が出来て戻れなくなる(ただし前方に行けば脱出できる)とか、罠というほどの罠はない。しかし、1度発動した罠はいつの間にか消えて、別の場所に別の罠が新たにできるという、『なんでだかわからないがダンジョンだし』としか説明できない現象だ。
最近は1層の罠が見つかっていないという話だが、気を付けていきたい。
「エマちゃんのスキルに罠探知は無いの?」
ナコリナがエマに尋ねるが、エマは首を横に振った。
「罠設置や罠解除はスキルとして持ってるけど、罠探知は持ってないの」
罠設置や罠解除のスキルはあっても罠探知は無いらしい。理由は分からないが、おそらく「魔物は罠を作らないから探知しない」のではないかと言われている。罠設置や罠解除は人が設置する罠前提でのスキルらしい。エマの「狩人」ギフトは基本的には森での対魔物活動のギフトなのだ。
「ねえねえ、ロディのギフトで罠が見つけられたりしない?」
「どうだろう?罠って『間違い』っていえるかどうか微妙だな。」
「やってみてみてよ。出来たら儲けものってことで。」
「魔力を使い続けるからなあ。・・・でもいいか。魔力量はだいぶ余裕があるし、ダンジョン内だけなら。」
ギフト『修正』は、魔力量はそれほど使わないが、常に使い続けているとさすがに魔力の減りが見過ごせない。
もし街中で使い続けた場合、店先の簡単な書き間違いなどがあふれていて、情報量がオーバーフローしてしまうのだ。
ということで、ロディはダンジョン内に限って修正ギフトを使い続けることにした。そしてこれがロディたちに幸運をもたらすことになる。
3人はギルドで買った地図でルートを確認し、昨日通っていないルートを優先的に2層への階段を目指して進む。
1層の魔物は、もうロディとナコリナの魔法とエマの弓矢で、近づかれる前にあらかた片付いてしまう。5匹以下ならもう危険はないだろう。
「もうすぐ階段があるわよ」
ナコリナの言葉にロディは彼女が持つ地図をのぞいた。それは何気ない行動だったのだが・・・
「あ!」
ロディは驚きの声をあげて地図をさらにのぞき込む。
「ど、どうしたのロディ?」
「地図に赤い線が見える。」
「「え!?」」
エマとナコリナは驚き、ロディは地図を受け取ってさらにじっくり見る。
「間違いない。赤い線が見える。」
「お兄ちゃん、それってギフトで見えてるの?」
「そうだろう。今は修正ギフトを発動中だから、それで見えるんだ。」
「やったねロディ。新しいギフトの可能性が見つかったわね!」
ロディのギフトの新しい能力は、地図の間違いを指定する能力だった。
「でも、昨日も地図を見てたのに、今日初めて見えたのはなんでなの。」
「多分、「範囲」に入ったから見えてきたんじゃないかな。」
「範囲?」
「その場所の近くまで来てギフトの有効範囲内に入らないと、地図の間違いがわからないんだと思う。」
この能力は、近くの事しか分からないが、それでも地図に間違いがあることが分かるだけでもかなり使える能力だと感じる。
「それで、どこが間違ってるの?」
「ここに、こんな風に四角く見えているよ。」
赤い線が見えてない2人の為に、ロディは地図上で赤い線が見えている場所を指でなぞった。
「そこなの?何もない場所じゃない。」
ロディの示した場所は、彼らのいる場所から真っすぐ進んだ通路の左わきの、何も書かれていない部分だった。そこに赤い線が四角く囲んでいる
「ひとまずそこに行ってみようよ。」
その場所はここからすぐの場所だ。3人はそれを確かめるために急いで通路を進んで行く。
そして、その場所にたどり着いた。
3人の目の前には通路の壁があるだけだ。そして、赤い線は、この壁の向こう側を示している。そこから推測されることは・・・
「これは、」
「つまり、」
「ひょっとして。」
3人は顔を見合わせ、そして喜びを満面に浮かべて、一斉に言った。
「「「隠し部屋だ!!」」」
ロディのギフトは、ダンジョンの隠し部屋を見つけていた。




