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第11話 ロディ、ナコリナに呆れられる

 1層の一角に5m四方の小部屋があり、3人はそこで昼食をとることにした。

 この部屋にも魔物が来ないわけではないが、入口は一つしかないので対応はしやすい。ダンジョンでの休憩は、安全地帯でない場合はこういった場所で取ることが普通だ。


「それにしても、ロディの『収納』はほんとに便利よね。」


 昼食のサンドイッチを右手に、スープカップを左手に持ちながら、ナコリナが感心する。彼女の持つスープは、暖かそうに湯気がたっている。

 このサンドイッチとスープは宿『木漏れ日亭』にお願いして作ってもらったものだ。収納に入れておけば時間が止まるため暖かいままの食事がいつでも可能になる。


「本当。これだけでもお兄ちゃんがパーティに引っ張りだこになるわね。」


 エマもスープを飲みながら同意する。

 ダンジョンを攻略するパーティが直面する問題の一つに「食事」がある。

 1日2日くらい潜る場合は問題は小さいが、中級、上級になると階層も多くなるため、攻略しようとする場合、その予定日数分だけ食事などを用意する必要がある。

 ダンジョンは倒した魔物は消えてしまうため、魔物の肉を利用することも出来ない。なので真相を攻略する予定のパーティは、荷物運び専用のポーターを雇ったり、途中で物資を集積するためのキャンプを作ったりと、とんでもなく大変である。深層の攻略の敵は魔物だけではないのだ。


「いずれこの収納魔法も公表できれば、多くの人が使えるようになるさ。」


 ロディは未来の予想をさらりと言う。しかし、そうするためにはロディの身を守れるくらいの力を持たなければならない。

 Aランク冒険者、それがロディの目標で、それが叶えば様々な事を自由にやれるようになるだろう。


「さて、第1層の魔物とも戦ってみて危険も無いようだし、午後からはロディの魔法の練習をメインにしましょ。」


 部屋を出発する前、3人は午後はロディの魔法の練習にあてることに決まった。

 ただ、ロディの魔法は慎重に使わなければならない。他の冒険者に見られたら秘密がバレてしまう可能性がある。

 そのため、索敵はエマとロディが交互に常時発動させておくことにした。


 しばらく迷宮を進むと、エマの索敵に何かがかかった。


「前方から3体。たぶんゴブリン」

「他は?」

「反応無いわ。」

「じゃ、ゴブリンが現れたら魔法を使いましょ。」

「OK。最初は『普通』にファイヤーアローを撃つよ。」


 まもなくゴブリンが通路奥から視界に現れる。

 ロディは落ち着いてゴブリンが近づくのを待つ。

 10mまで接近したとき、ロディは


「ファイヤーアロー!」


 と唱えた。

 と同時に、空間に現れた白っぽい炎の矢がゴブリンに向かって飛んで行った。そして瞬く間にゴブリンを3体とも一直線に貫いた。

 

「え?」

「は?」

「おお?」


 ロディの放ったファイヤーアローは、ゴブリンを貫いた後もしばらく飛び続けたが、進むほどに小さくなり、やがて消えていった。

 ゴブリンを見ると、ファイヤーアローの通り道だったであろう部分が、およそ1mの円形にえぐられたように体が無くなっていて、その周辺は焼け焦げていた。


「・・・何なのこの威力。」


 呆気にとられていたナコリナは、ようやくそれだけつぶやいた。


「はー、お兄ちゃんの魔法を見るといつも驚かされるわね。」

「いや、俺もここまで威力が上がってるとは思わなかったよ。」


 ロディの修正魔法に少しは免疫がある兄妹はすぐに落ち着きを取り戻して、新しく見た修正魔法の感想を言い始める。


「ちょ・・・ちょっと、待ってよロディ。何なのあのファイヤーアローは。」


 ようやく正気に戻ったナコリナがロディに詰め寄る。


「うん、修正魔法は今までの魔法の10倍以上威力が出るみたい。まあ、全部ためしたわけじゃないけど。」

「なんでそんな落ち着いてるの?あれはファイヤーアローじゃないわよ。まるで竜のブレスみたいよ。」

「お姉ちゃん、修正魔法を見たことがあるんじゃないの?」

「見たわよ。見たけどあんなに威力があるようには見えなかったわよ。」


 ナコリナもロディの魔法は見ていたが、それはダントンとの戦いのときだけで、しかもダントンのギフトの力が高く魔法が効きにくかったせいで、ロディの修正魔法の威力が正しく分かっていなかった。


「ちょっと、次はファイヤーボールでやってみてよ。」


 ナコリナは一度見たことのある魔法をリクエストした。


 次に現れたのはグレーウルフ。おあつらえ向きに1体だけで現れた。

 ロディは周辺に別の冒険者がいないことを確認して魔法を唱えた。


「ファイヤーボール!」


 ロディの白いファイヤーボールはヒュッという音と共に飛んでいき、グレーウルフに着弾したかと思うと、一瞬で火だるまにした。


「グオォォォォ・・・」


 グレーウルフは断末魔と共に、瞬く間に消し炭に変化した。

 その光景を呆然と眺めていたナコリナは、やっと納得したように頷いた。


「・・・これが本来の威力ってわけね。これは絶対秘密にしとかなきゃいけないわ。」


 ファイヤーボールもファイヤーアローもケタ違いすぎる。他の冒険者に見られたらただじゃすまないだろうことは容易に推測できる。


「・・・ちなみに、エアカッターだったらどうなる?」

「魔物相手に使ってないけど、多分10m先まで真っ二つになりそう。」

「サンドウォールは?」

「とんでもなく硬くて時間がたっても崩れない。」

「ウォーターボールは?」

「凄くでかい。」

「でしょうね。」


 ナコリナはロディの魔法のすごさと危険性を再認識せざるを得なかった。

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