第52話 ロディ、収納魔法を調べる
グライムス氏の部屋から帰って以降、ロディたちはいろいろ忙しく動いた。
まずあの部屋の”所有権”だが、すべてロディのものということになった。
「一緒に見つけたものだし、二人にも何か分配したいんだけど。」
しかし、エマは
「お兄ちゃんが持ってるんだったら私が持ってるのと同じ」
と言い、ナコリナは
「ロディの秘密を守るって約束したんだから、これ以上秘密を増やさないで。」
と言って結局二人とも何も受け取らなかった。
仕方が無いので部屋の荷物ほぼすべてをロディが『収納』にしまっておいた。2人にはあとで何かアクセサリーでも買ってプレゼントすることにしようとロディは思うのだった。
収納魔法は人目に付かないところでいろいろと試してみて、様々なことがわかってきた。
まず必要魔力だけど、覚えるための魔力量はかなり必要で、ナコリナの魔力量ではギリギリダメだった。
「悔しいー!私もザゼンして魔力量を増やすわ。絶対に『収納』を覚えるんだから!」
失敗しても前向きなナコリナだった。
その一方で、使う時の魔力はさほど必要ではなく、入れる物体のサイズに比例するようだ。
一度入れたら以降魔力は必要なく、何もしなくてもそのまま収納空間にとどまり続ける。逆に取り出すときには、入れる時と同じ量の魔力が必要になる。
結論として、”収納”魔法を覚えることが出来ればそれ以降使用する魔力量は小さくて済むため、何度でも使うことが可能、とわかった。
入れたものをどうやって取り出すのかというと、取り出すものを頭に思い浮かべればよい。
また収納空間全体をイメージすると、入っているものすべてが頭の中に思い浮かぶので、その中で取り出すものをセレクトすることも出来る。
この空間の収納量は結局不明だ。
グライムス氏の部屋の物はすべて入れることが出来て、さらに余裕があったために、街に帰っても土嚢とか樽とかを片っ端から入れていったが全く終わりが見えなかったため、あきらめた。
おそらく家1件分は詰め込んだが、それよりもっと入るということになる。それだけ分かれば当面は問題ない。
収納の際に手を触れる必要はなく、自分の周囲1mくらいであれば離れていても収納できた。また取り出すときも1m以内の任意の位置に出せる。ただ、離れている場合は少し魔力量が必要になるようだ。
収納できるものは、物体であれば問題ないようだ。しかし生物は収納できなかった。また生物でも死体は収納できたのので、狩りで獲物をしとめた時には収納魔法が大活躍するはずだ。
それと、なぜか植物も入れることが出来た。植物はOKで、生物はダメ。何が基準になっているんだろう?『動く』ということが重要で、異空間内で動くための魔力やエネルギーか何かが関係しているかもしれない。
収納空間の中の時間はどうやら止まっているようだ。熱いお湯を入れて、一晩たって取り出しても湯気が立っていた。
収納魔法で分かった事はこんなところだ。
◇◇
監査によりギルド長のデルモスが王都に連行されて以降、ギルドは目に見えて雰囲気が良くなった。
すぐに新しいギルド長が着任したが、この人は前々ギルド長でギルド総長のユースフと関係が深い人で、ギルド総長の肝入り人事のようだ。
事実、着任以降彼はユースフ時代の制度、仕組みに戻すべく手を打ってきた。
そのため、見る見るうちにギルド内の風通しが良くなり、職員も冒険者も安心して街での活動ができるようになった。
一時、他の街に移り住んだりして減ってしまった冒険者の数も徐々にではあるが戻りつつある。
そんな中、ロディもギルドの一員として、街との絆を再生すべく懸命に働いた。
ギルド職員一丸の努力の甲斐あって、前ギルド長更迭の半年後のには改革業務が一息つける状況になった。
すでに季節は夏も終わりになっていた。




