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第13話 ロディ、一安心する

「行くわ!」


 ロディは家に帰って、エマにインク草の採取の話をするや否や、即答が帰って来た。


 ロディの心当たりとはエマの事だった。彼女のパーティは採取をメインにこなしていて、最近Eランクに昇格したと聞く。インク草の採取なら適任だろう。


「お、おう、そうか。ありがとう。」


 エマの勢いに押され、逆に引き気味になるロディ。


「じゃあ今度彼女に会ってもらうけど、彼女から「ダメ」と言われるかもしれない。それだけは先に言っておくよ。」

「ダメでも私は絶対お兄ちゃんについていくわ。妹枠として、オプションと考えてもらっていいから。」

「やる気なのはうれしいけど、それはやめてくれよ。彼女しか知らない場所だし、採取に行けなくなるじゃないか。」

「お兄ちゃんに近づく悪い虫から、私が守る。」

「今回はアオイロスズメバチの討伐じゃないから、虫は退治しなくていいんだけど。」

「いいえ、虫よ。インク草を餌にして獲物を取り込もうとしているわ。」

「インク草に群がる虫・・・。そんな虫いたかな?危険が無いか調べてみるか。」


 イマイチかみ合わない会話だったが、とにかくエマの了解を得た。


「その人、ナコリナって名前だったわよね。覚えたわよ。お兄ちゃんに手を出すとか、覚悟してなさい。ふふふ・・・。」


 なんか妹から黒い何かが出ている気がする。目の錯覚か?

でも、やる気を出しているようだし、まあいいか、と気楽に考えることにしたロディだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 数日後、インク草採取予定メンバー顔合わせと事前打ち合わせのために街の中央にある広場に集合した。

 エマとナコリナの気が合うかどうか、少し不安だったのだが・・・


「・・・でね、あそこのお店はチーズケーキが絶品なのよ。休日には行列ができるくらい。」

「そなんですか!うわー、食べてみたいです。」

「今度エマちゃんも一緒に行く?友達がバイトしてるから割引が効くんだ。」

「本当ですか?是非是非連れて行ってください!あ、私の友達も誘っていいですか?スイーツ好きの子がいて。」

「もちろんいいわよ。」

「やったー、楽しみ。」


 ・・・あれ?なんだか拍子抜けするくらい仲良くなってる。まったくいらぬ心配だったようだ。

 しかし自分との時もそうだったけど、ナコリナは知らない人と打ち解けるのが得意だな。まあ二人とも明るい性格が似てるし、馬があったんじゃないかな。


 ロディは少しほっとして当たりを見た。

 広場はたくさんの人が行き交い、佇み、会話している。街の中心に位置していて場所柄人が集まりやすく、そのため周りに屋台や露店などもたくさん並んでいる。

 メルクーの街は、大都市ではないがそれなりの中堅都市で、商人の行き来も多いため、いろいろな品物が集まりやすい。


「何か飲み物でも買っておいてあげようかな。」


 そう思って彼女たちを置いて移動し、屋台を見回っていたところ、


「あの・・すみません。」


と、声をかけられた。


「え、僕?」


 ロディが振り向くと、二人の少女がこちらを見ていた。

 彼女たちは、エマと同じくらいの年くらい。冒険者の服装をしているので、鑑定の儀の後に冒険者になった初心者といったところだろうか。


 そんな事を考えていると彼女たちのうちの一人が少し前に進み出てきた。


「もしかして、冒険者ギルドのロディさんですか?」

「え、そうだけど。会ったことありましたっけ?」


 知り合いだったか、と思いだそうとしたが、ロディは彼女たちに全く記憶が無い。彼女たちは、お互いを向いて「やっぱり!」「キャッ、本物だ」とか言っている。


「あの、ゴメン、記憶にないんだけど。」

「はい。初めてお会いします。けど私たちは以前冒険者ギルドで見かけました。」

「冒険者ギルドで、そうなんだ。」

「噂のロディさんに直接お会いできてうれしいです!」


と、目を輝かせながら言ってきた。


「え、噂?」


 俺の噂・・・・って何だろう。

 あれか?魔法が使えないとかじゃないかな。それとも、ギフトが意味不明とか。いずれにせよあまりいい噂じゃないんじゃないかな。


「なんかよくない評判が出回ってるようだね。」


 しかし彼女たちは、一瞬ポカンとした表情をしたが、すぐに二人とも首を振って否定してきた。


「そんなことないですよ。とてもいい評判です。」

「女の子たちの間では、ロディさんに会いたいって子がたくさんいます。」

「ロディさんって冒険者ギルド職員だけど、ギルドに行っても表にはほとんど出てこないですよね。」

「私も1,2度しか見かけたことないですし。」

「なので私たちの間では”幻のロディ”と噂されていて、ロディさんを見かけたらその日はラッキーなことが起こるとも言われています。」


 交互にまくしたてるように話してくる二人にロディはうろたえるように少し後ずさる。


「ま、幻の・・」


 彼女たちの言葉の中の気になるワードに気づいた。


(何その恥ずかしい二つ名は。まるでツ〇ノコみたいな珍獣か、占いのラッキーアイテムか?魔法を使えないと、こんなことになるのか。)


「今日はお暇ですか?」

「私たち、森に採取に行くんです。」

「よかったらご一緒しませんか?」

「お願いします。」


 ツープラトンでロディに畳みかけるように迫る少女たち。目は少女ではなく肉食獣のそれだ。

 珍獣かラッキーアイテムって、そこまで女性に人気なのか?


「え、・・あ、ごめん。今日は用事があって人を待たせてあるんだ。じゃあ。」


 このままいるとヤバい。本能が危険を察知したのか、ロディはそう言うと素早く二人からは急ぎ足で離れた。

 後ろから、


「あ、待ってください。」

「家の住所だけでも教えてください。」


 とか聞こえてきたが、頭の中にアラームが鳴っているので聞こえないふりをして逃げ出した。


 エマとナコリナのそばにたどり着くと、すでにガールズトークは終わっているようで、しかもエマはロディを待ち構えて腕組みをしていた。



「はー、女の子たちに迫られて大変ね、お兄ちゃん。」

「え、見てたの?」

「ここからも見えてたわよ。慌てて逃げる所もね。」


 エマはやれやれと言った仕草をする。


「お兄ちゃんはファンがいるからこうなるのも当然かも。」


俺にファン?初めて聞いた。女性に好かれる要素って何かあったか?あ、もしかしてアレか?


「珍獣のファンって、結構いるもんだね。」

「珍獣・・?お兄ちゃん何言ってるの。また天然が炸裂してるの?」


 エマがあきれ顔でロディを見る。

 そこへナコリナもしたり顔で会話に加わる。


「ロディにファンの子がいるのもわかるよね。この容姿だし、人気高いから。」


 珍獣人気なのは残念だが、嫌われるよりはましか。


「そうか、俺、人気高いのか。」

「お、ロディもようやく自分の高スペックさが分かってきたかな。」


ナコリナの言葉をエマは即座に否定する。


「絶対勘違いしてると思うケド・・・。」


 このあと近くの喫茶店に入り、インク草採取について詳細を話し合いをし、ロディの休日に合わせて日帰りで森に行くことが決まったのだった。

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