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第10話 ロディ、エマに怒られる

「ただいまー。」

「おかえり、お兄ちゃん」


 もう夕暮れ時になってあたりが暗くなったころに、ロディは家に帰ってきた。家ではエマが台所で夕食を作っている。家中にいい匂いが漂っている。

 エマは料理も得意なため、自然と料理はエマの担当ということになった。というよりロディが作る料理はお世辞にもおいしいとはいい難いものらしい。

 ロディは、エマの笑顔にいつもほっこりとして、一日の疲れも飛んでいきそうな気持ちになる。


「夕食まだできていないから、着替えてきてね。」

「うん、そうするよ。」


 そう言って部屋に戻ったロディは、着替えてすぐにリビングに戻ってくる。

そしてテーブルの椅子にどっかりと腰を下ろした。


「あー疲れた。」

「講義難しかったの?」

「そうだね。それもある。」


講義のこと、今後の勉強のこともあるが、それより最後のアレが精神的に疲れた。


「それも?・・・・ん~、あやしい。」


 何かに感づいて怪訝そうな顔をしたエマが、料理を中断してロディに近づいてくる。そしてロディの服のそばで鼻をクンクンと鳴らした。


「な・・・なんだ一体。」

「・・・女の人のにおいがする。それも一人や二人じゃなく。」

「え?」


ロディはエマの勘の鋭さにドキリとした。


「今日の講義で一緒になった女性に迫られた?」

「そそそ、そんなこと、・・少しはあるけど。」


しどろもどろののロディを見てエマはため息をつく。


「はー、やっぱり。自覚無いでしょうけどお兄ちゃんって『年上ホイホイ』なのよね。」

「『年上ホイホイ』?なにそれ」

「お兄ちゃんはそこにいるだけで年上の女性が近寄ってくる特殊能力ってこと。いわばギフトね。」

「そんなギフト聞いたことないけど。」

「はぁ、当たり前でしょ、この天然。」

「え、僕何かへんなこと言った?」

「別に。あきれただけですっ。」


エマはお玉を手に持ったまま、やれやれと言った感じで手を広げる。


「で、どうだったの?」


エマが話題を変えてきたと思ったロディはほっとした。


「うん、魔法陣の歴史と、インクとかの作り方を習ったよ。すごく難しそうで・・・。」

「違うわよ。そんなこと聞いても私わかんないから。」

「え、そんなことって・・、じゃあ何?」

「もちろん、お兄ちゃんに近寄ってきた女性のことよ。」

「まだ終わってなかったのその話。」

「当り前じゃない。」


話題、変わってなかったデス。

どうやらエマは魔法陣よりもそっち系の話が好物らしい。困ったもんだ。


「特に話すようなことは無いんだけど。」

「えー、教えてくれないの?教えてよ。」

「教えるほどのもんじゃないよ。」


あからさまに残念な顔をしたエマは、しかしすぐに気を取り直したように言った。


「仕方ない。このエマさんがお兄ちゃんに起こったことを推理してあげましょう。」


エマが手に持ったお玉をビシッとロディに向ける。


「推理って。分かるわけないだろ。」

「それがわかるんだよ、トムソン君。」

「誰?トムソン君って。」

「私の脳内にいる助手のことよ。」

「なんだそれ?変なの。」

「いいのいいの。『こんな助手がいたらいい』って頭の中でひらめいたんだから。それより今日のお兄ちゃん推理よ。」


 エマはロディの言葉を聞き入れず、エマ探偵の推理(あてずっぽうとも言う)を披露するつもりだ。

エマが顎に手を当ててしばらく考えている様子だったが、そのままおもむろに語り出した。


「ロディという男が参加した今日の講義は、講師は女性で受講者は自分以外全員妙齢の女性だった。」

「!」

「そしてロディは講義の後にそのお姉さん方に話しかけられて、お茶に誘われた。」

「!!」

「でもそれだけじゃない。隣に座った女の子と仲良くなった。まあロディという男ならくらいの出来事はあるだろう。」

「!!!」


エマの語った推理(?)は、見事に正解だった。


「・・・お前見てたんじゃないのか?」

「フフフ、私の推理力にかかればこのくらい簡単・・・て、当たってるの?ウソ!本当に?」


当たったロディも驚いたが、当てたエマの方がより驚いていた。


「実はあの場にいたとか?」

「そんなわけないでしょ!『お兄ちゃんあるある』を思いつくまま言っただけのに・・。」

「なんだよその「お兄ちゃんあるある」って。」

「似たようなことがこれまで何度かあったでしょ。」

「そんなことは無・・・・・・いや、あるか?」


そういえば女性に囲まれたり、隣の女性が話しかけてきたりすることは結構あるかも、とロディはぼんやり思い出した。


「もうお兄ちゃん、女性とのアクシデント発生確率高すぎ。信じらんない、女たらし。ハーレム体質!」


驚いて目を丸くしていたエマだったが、しかしすぐに兄にジト目を向けて言った。


「濡れ衣だ。なんだよその「女たらし」とか「ハーレム体質」とかって。」

「自分の胸に手を当てて聞いてみてよ。あーあ、もう馬鹿らしくなったわ。さて、料理の続きをやりますか。」


エマはくるりと後ろを向いてキッチンに向かった。が、途中立ち止まって、再び振り返った。


「最後に一つ聞いときたいんだけど。」


振り向いたエマは、またジト目になっていた。


「え、何?」

「もしかして、講師の女性にも講義後に迫られたりしてない?」

「それはない。」


ロディは即座にきっぱり否定した。

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