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第2話 ロディ、御者に出会う

「あ、ちょうど来たみたいです。」


 キシリヤはそう言って、彼女を呼ぶ声がした店の方へと歩き出す。

 店に戻ると、カウンターの前に若い男がいた。どうやら彼があの声の主で、荷物を運ぶ馬車の御者らしい。


「やあ、キシリヤちゃん。今日もかわいいねぇ」


 その男はキシリヤを目に止めるや否や素早く手を広げて歩み寄ってきた。それをキシリヤは慣れたように少し体を傾けてするりと躱す。


「何で避けるの!?」

「当り前でしょ。毎回毎回抱きつこうとして。」


 男が口をとがらせて不服を言うと、キシリヤは怒りと呆れを混ぜ合わせたような口調であしらう。この慣れてる感じはどうやらいつもの事のようだ。


「軽いスキンシップじゃん。いいじゃないか。」

「なにが「軽い」よ。ちっとも軽くないわよ。しかも他人の前でしょ。自重してよ。」


 キシリヤはロディたちに視線を向け、その仕草で初めて気づいたかのように男はロディたちを振り向いた。


「おー、お前たちが今回の護衛か。」


 そう言った男は、人懐っこそうな笑顔を浮かべてつかつかと歩み寄ってきた。そしてロディに向かって手を差し伸べた。


「俺の名前はアレク。この店の品を運ぶ時の馬車の御者をやってるんだ。よろしく。」

「あ、ああ、俺はロディ。よろしく。」


 ロディはアレクと名乗った男の勢いに戸惑いながらも握手で応じる。

 アレクは20歳前後。おそらくロディとほぼ同い年であろう。髪は明るいブラウンで、さほど長くはないがボサボサでまるで整えていない。背格好もロディと同じくらいだが体格は男の方が一回り大きく見える。


「俺はアレク、よろしく。」


 ロディの次に後ろにいたナコリナたちに順々に握手して回るアレク。彼の初対面とは思えない親しげな行動に少し戸惑いながらも全員が自己紹介をした。


「やあ、このパーティは女性が多くてしかも美人ばかりだな。気合が入るぜ。」


 と、笑顔をさらに輝かせながら言った。彼の鼻の下がやや伸びているようにも見える。

 パーティーメンバーの3人の女性はというと、1人を除いてちょっと微妙な表情をしている。

 1人を除いて、の1人とは、レミアである。レミアは「私の美貌ならば当たり前なのだ。」とつぶやきながらもご満悦である。

 ただ、アレクの「美人ばかり」の発言の中に、見た目が『子供』のレミアが入っていたかどうかはちょっと疑問だが、とロディは思う。


「あーあ、美人を見るとすぐ調子に乗っちゃうんだから。今回は大事な品なんだから大丈夫かしら?」


 アレクの様子を見てキシリヤはため息をつく。どうやらアレクは結構女好きのようだ。キシリヤの話から、こういったことは日常茶飯事らしい。

 ロディたちは、「なんだかフェイさんに似ている」と全員が心の中で感じるのだった。


「おっと、もちろん仕事は疎かにはしないさ。ロスゼマさんの作ったものを壊したり取られたりしちゃ、あとで何言われるか。」

「ロスゼマさんをご存じなんですか?」


 ロスゼマの名前を聞き、反射的にナコリナがアレクに問いかけた。

 アレクはナコリナを向いてニッと笑って自慢げに言った。


「もちろんさ。ロスゼマさんはそんじょそこらの奴に自分の荷を預けることはしないよ。ちゃんと自分のお眼鏡にかなったヤツじゃないと首を縦に振らないんだ。そして俺は、そのお眼鏡にかなってるのさ。」


 ロディたちはロスゼマを思い出す。確かに自分の作ったものを粗末に扱ったら容赦しない、そんな雰囲気がある。それだけ自分と自分が作ったものに誇りを持っているのだ。


「俺はロスゼマさんに何度も会ってるし、荷運びを任せられるまでには信頼してくれてるんだぜ。」

「へえ、そりゃすごいな。」


 ロディは素直に感心したが、アレクは少し怪訝そうな顔をしてロディに近づいて胸を指でつついてきた。


「何言ってんだ。お前らも直々に護衛を言いつかって来たんだろ。お眼鏡にかなってんのは同じだよ。」


 ロディはあっ、と思った。それは気づいていなかった。自分のことは意外とわからないこともある。はたから見る方が正確に認識できるのだろう。

 でも、とロディは思う。


(直々に言いつかってきたわけじゃないんだがな。ここに来るまでどんな用か知らされてなかったし・・・。)


 そう思うと、信頼されているようでうれしい反面、だまし討ちされたような複雑な気持ちになるのだった。


 それにしても、とロディはちょっと気になることがあった。


(アレクって誰かに似てる気がする。いや、フェイ師匠に似てるってわけじゃない。それは女好きのところだけ。なんだか外見、そして雰囲気、見たことある気がするんだけど・・・)


 ロディは思い出そうと記憶を探り始めようとしたのだが、キシリヤの


「じゃ早速、荷物を載せるわね。みんなも来て。」


 という声に、思考を中断して動き出したため、「あ、ちょうど来たみたいです。」


 キシリヤはそう言って、彼女を呼ぶ声がした店の方へと歩き出す。

 店に戻ると、カウンターの前に若い男がいた。どうやら彼があの声の主で、荷物を運ぶ馬車の御者らしい。


「やあ、キシリヤちゃん。今日もかわいいねぇ」


 その男はキシリヤを目に止めるや否や素早く手を広げて歩み寄ってきた。それをキシリヤは慣れたように少し体を傾けてするりと躱す。


「何で避けるの!?」

「当り前でしょ。毎回毎回抱きつこうとして。」


 男が口をとがらせて不服を言うと、キシリヤは怒りと呆れを混ぜ合わせたような口調であしらう。この慣れてる感じはどうやらいつもの事のようだ。


「軽いスキンシップじゃん。いいじゃないか。」

「なにが「軽い」よ。ちっとも軽くないわよ。しかも他人の前でしょ。自重してよ。」


 キシリヤはロディたちに視線を向け、その仕草で初めて気づいたかのように男はロディたちを振り向いた。


「おー、お前たちが今回の護衛か。」


 そう言った男は、人懐っこそうな笑顔を浮かべてつかつかと歩み寄ってきた。そしてロディに向かって手を差し伸べた。


「俺の名前はアレク。この店の品を運ぶ時の馬車の御者をやってるんだ。よろしく。」

「あ、ああ、俺はロディ。よろしく。」


 ロディはアレクと名乗った男の勢いに戸惑いながらも握手で応じる。

 アレクは20歳前後。おそらくロディとほぼ同い年であろう。髪は明るいブラウンで、さほど長くはないがボサボサでまるで整えていない。背格好もロディと同じくらいだが体格は男の方が一回り大きく見える。


「俺はアレク、よろしく。」


 ロディの次に後ろにいたナコリナたちに順々に握手して回るアレク。彼の初対面とは思えない親しげな行動に少し戸惑いながらも全員が自己紹介をした。


「やあ、このパーティは女性が多くてしかも美人ばかりだな。気合が入るぜ。」


 と、笑顔をさらに輝かせながら言った。彼の鼻の下がやや伸びているようにも見える。

 パーティーメンバーの3人の女性はというと、1人を除いてちょっと微妙な表情をしている。

 1人を除いて、の1人とは、レミアである。レミアは「私の美貌ならば当たり前なのだ。」とつぶやきながらもご満悦である。

 ただ、アレクの「美人ばかり」の発言の中に、見た目が『子供』のレミアが入っていたかどうかはちょっと疑問だが、とロディは思う。


「あーあ、美人を見るとすぐ調子に乗っちゃうんだから。今回は大事な品なんだから大丈夫かしら?」


 アレクの様子を見てキシリヤはため息をつく。どうやらアレクは結構女好きのようだ。キシリヤの話から、こういったことは日常茶飯事らしい。

 ロディたちは、「なんだかフェイさんに似ている」と全員が心の中で感じるのだった。


「おっと、もちろん仕事は疎かにはしないさ。ロスゼマさんの作ったものを壊したり取られたりしちゃ、あとで何言われるか。」

「ロスゼマさんをご存じなんですか?」


 ロスゼマの名前を聞き、反射的にナコリナがアレクに問いかけた。

 アレクはナコリナを向いてニッと笑って自慢げに言った。


「もちろんさ。ロスゼマさんはそんじょそこらの奴に自分の荷を預けることはしないよ。ちゃんと自分のお眼鏡にかなったヤツじゃないと首を縦に振らないんだ。そして俺は、そのお眼鏡にかなってるのさ。」


 ロディたちはロスゼマを思い出す。確かに自分の作ったものを粗末に扱ったら容赦しない、そんな雰囲気がある。それだけ自分と自分が作ったものに誇りを持っているのだ。


「俺はロスゼマさんに何度も会ってるし、荷運びを任せられるまでには信頼してくれてるんだぜ。」

「へえ、そりゃすごいな。」


 ロディは素直に感心したが、アレクは少し怪訝そうな顔をしてロディに近づいて胸を指でつついてきた。


「何言ってんだ。お前らも直々に護衛を言いつかって来たんだろ。お眼鏡にかなってんのは同じだよ。」


 ロディはあっ、と思った。それは気づいていなかった。自分のことは意外とわからないこともある。はたから見る方が正確に認識できるのだろう。

 でも、とロディは思う。


(直々に言いつかってきたわけじゃないんだがな。ここに来るまでどんな用か知らされてなかったし・・・。)


 そう思うと、信頼されているようでうれしい反面、だまし討ちされたような複雑な気持ちになるのだった。


 それにしても、とロディはちょっと気になることがあった。


(アレクって誰かに似てる気がする。いや、フェイ師匠に似てるってわけじゃない。それは女好きのところだけ。なんだか外見、そして雰囲気、見たことある気がするんだけど・・・)


 ロディは思い出そうと記憶を探り始めようとしたのだが、キシリヤの


「じゃ早速、荷物を載せるわね。みんなも来て。」


 という声に、思考を中断して動き出したの「あ、ちょうど来たみたいです。」


 キシリヤはそう言って、彼女を呼ぶ声がした店の方へと歩き出す。

 店に戻ると、カウンターの前に若い男がいた。どうやら彼があの声の主で、荷物を運ぶ馬車の御者らしい。


「やあ、キシリヤちゃん。今日もかわいいねぇ」


 その男はキシリヤを目に止めるや否や素早く手を広げて歩み寄ってきた。それをキシリヤは慣れたように少し体を傾けてするりと躱す。


「何で避けるの!?」

「当り前でしょ。毎回毎回抱きつこうとして。」


 男が口をとがらせて不服を言うと、キシリヤは怒りと呆れを混ぜ合わせたような口調であしらう。この慣れてる感じはどうやらいつもの事のようだ。


「軽いスキンシップじゃん。いいじゃないか。」

「なにが「軽い」よ。ちっとも軽くないわよ。しかも他人の前でしょ。自重してよ。」


 キシリヤはロディたちに視線を向け、その仕草で初めて気づいたかのように男はロディたちを振り向いた。


「おー、お前たちが今回の護衛か。」


 そう言った男は、人懐っこそうな笑顔を浮かべてつかつかと歩み寄ってきた。そしてロディに向かって手を差し伸べた。


「俺の名前はアレク。この店の品を運ぶ時の馬車の御者をやってるんだ。よろしく。」

「あ、ああ、俺はロディ。よろしく。」


 ロディはアレクと名乗った男の勢いに戸惑いながらも握手で応じる。

 アレクは20歳前後。おそらくロディとほぼ同い年であろう。髪は明るいブラウンで、さほど長くはないがボサボサでまるで整えていない。背格好もロディと同じくらいだが体格は男の方が一回り大きく見える。


「俺はアレク、よろしく。」


 ロディの次に後ろにいたナコリナたちに順々に握手して回るアレク。彼の初対面とは思えない親しげな行動に少し戸惑いながらも全員が自己紹介をした。


「やあ、このパーティは女性が多くてしかも美人ばかりだな。気合が入るぜ。」


 と、笑顔をさらに輝かせながら言った。彼の鼻の下がやや伸びているようにも見える。

 パーティーメンバーの3人の女性はというと、1人を除いてちょっと微妙な表情をしている。

 1人を除いて、の1人とは、レミアである。レミアは「私の美貌ならば当たり前なのだ。」とつぶやきながらもご満悦である。

 ただ、アレクの「美人ばかり」の発言の中に、見た目が『子供』のレミアが入っていたかどうかはちょっと疑問だが、とロディは思う。


「あーあ、美人を見るとすぐ調子に乗っちゃうんだから。今回は大事な品なんだから大丈夫かしら?」


 アレクの様子を見てキシリヤはため息をつく。どうやらアレクは結構女好きのようだ。キシリヤの話から、こういったことは日常茶飯事らしい。

 ロディたちは、「なんだかフェイさんに似ている」と全員が心の中で感じるのだった。


「おっと、もちろん仕事は疎かにはしないさ。ロスゼマさんの作ったものを壊したり取られたりしちゃ、あとで何言われるか。」

「ロスゼマさんをご存じなんですか?」


 ロスゼマの名前を聞き、反射的にナコリナがアレクに問いかけた。

 アレクはナコリナを向いてニッと笑って自慢げに言った。


「もちろんさ。ロスゼマさんはそんじょそこらの奴に自分の荷を預けることはしないよ。ちゃんと自分のお眼鏡にかなったヤツじゃないと首を縦に振らないんだ。そして俺は、そのお眼鏡にかなってるのさ。」


 ロディたちはロスゼマを思い出す。確かに自分の作ったものを粗末に扱ったら容赦しない、そんな雰囲気がある。それだけ自分と自分が作ったものに誇りを持っているのだ。


「俺はロスゼマさんに何度も会ってるし、荷運びを任せられるまでには信頼してくれてるんだぜ。」

「へえ、そりゃすごいな。」


 ロディは素直に感心したが、アレクは少し怪訝そうな顔をしてロディに近づいて胸を指でつついてきた。


「何言ってんだ。お前らも直々に護衛を言いつかって来たんだろ。お眼鏡にかなってんのは同じだよ。」


 ロディはあっ、と思った。それは気づいていなかった。自分のことは意外とわからないこともある。はたから見る方が正確に認識できるのだろう。

 でも、とロディは思う。


(直々に言いつかってきたわけじゃないんだがな。ここに来るまでどんな用か知らされてなかったし・・・。)


 そう思うと、信頼されているようでうれしい反面、だまし討ちされたような複雑な気持ちになるのだった。


 それにしても、とロディはちょっと気になることがあった。


(アレクって誰かに似てる気がする。いや、フェイ師匠に似てるってわけじゃない。それは女好きのところだけ。なんだか外見、そして雰囲気、見たことある気がするんだけど・・・)


 ロディは思い出そうと記憶を探り始めようとしたのだが、キシリヤの


「じゃ早速、荷物を載せるわね。みんなも来て。」


 という声に、思考を中断して動き出したため、思い出すのは後日のこととなった。

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