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第54話 ロディ、テイムを試みる

更新遅れてすみません。私事により時間が取れず、更新できませんでした。

久しぶりの更新、お楽しみください。

「どうしたんです、師匠。もう少しでボスを討伐できるんですよ。」

「そうだぜ、このまま回復しないうちに一気にやっちまわないと。」

 

 ロディは怪訝そうに、テオは不満そうにフェイに言った、

 それに対しフェイは足早に5人の前までやってきて、そして口を開いた。


「あわてるな。ここまでで、おぬしらがボス討伐を成し遂げたと認めよう。ボス討伐は完了じゃ。」

「「「「「は?」」」」」


 まだ倒しきらないうちにボス討伐完了が言い渡され、5人は一様に驚く。


「そ、それじゃあ、ボス戦はこれで終わり。ですか?」

「うむ、そうじゃ。」

「なんでだ?まだ倒しきってないのに。」

「ここまで来て最後までやらないのはおかしいのだ。」

「そうよ。せっかく討伐寸前まで来てるのに辞めるなんて、後味が悪いわ。」


 5人が口々にフェイに不満を述べる。しかしフェイはそれを聞きながらも首を横に振るだけだった。


「まあ待つんじゃ。ここで止めたのには理由があるんじゃ。」

「理由?」

「そうじゃ。」


 フェイはそう言うと5人の横を通り過ぎて、スタススタとヒュージスライムの前に歩み寄っていく。


「フェイさん、危険です!小さくなったとはいえ近づくと攻撃があるかも・・・。」

「なに、心配はいらん。もう攻撃はないんじゃ。」

「え?」


 エマの注意の声を軽く流し、フェイはヒュージスライムの目前まで近づいて止まった。

 もうヒュージ(巨大)ではなくなっているスライムは、相変わらず中央の核をぶるぶると震わせている。

 フェイはそれをじっくりと見て確認し、そして5人に振り向くとこういった。


「このスライム、どうやらテイムできるかもしれんぞ。」

「「「「「え!テイム?」」」」」


 フェイの発言に、ロディたち5人は驚きしかなかった。

 フェイがテイムできるかもしれないといった対象は、ダンジョンボスであり、しかも大型のヒュージスライムなのだ。信じられないのも当然だ。


「フェイのおっさん、適当なこと言うなよ。ダンジョンボスをテイムできるなんて聞いたことねえぞ。」

「私も聞いたことないのだ。」

「ほ、本当にテイムできるんですか?」

「いや、分からん。可能性があると言っただけじゃ。」

「「「「「えーーーーー!?」」」」」


 単なる可能性だけで討伐を止めたフェイに、5人は非難の視線を浴びせる。


「うーむ、それほど美女に見つめられると、楽しくなってくるわい。ふぉっふぉっふぉ。男のは要らんのじゃがのぅ。」


 そんな空気もどこ吹く風。フェイは相変わらずマイペースだった。


「テイムはな、ほとんど成功しないんじゃ。それこそ千分の一くらいの成功率じゃ。周りにいる冒険者でも、魔物をテイムしている者など見たことなかろう?」

「ええ、そうです。テイムが成功したら、ギルドで驚きのニュースとなるくらいらしいですし。」


 ナコリナの言う通り、確かにテイムは珍しく、テイムしている魔物を連れている冒険者はめったに見かけない。

 メルクーでギルドに勤めていたロディでも、テイムしている冒険者は一人しか知らない。それほど珍しいのだ。


 テイムが珍しい理由は、その難しさにある。

 テイムするための魔法陣は、『魔法陣全集』に収められているので、誰でも覚えることは可能だ。

 けれども、その成功例は少ない。なぜならテイムするための条件が明確にわかっていないからだ。

 まず魔物がかなり弱まっていることは必須条件だ。しかしそれ以外はわからないのが実情である。

 一説には、相互の相性があるようだが、これは確かめようがない。

 弱った魔物に対して何度も試してみて、本当に稀にテイムできる、といった具合だ。

 この「低確率」という情報が浸透しているおかげで、テイムの魔法を覚えている冒険者の数は非常に少ない。


 しかし、テイムが困難である中でも、比較的テイムしやすい魔物と言うのが存在する。

 それがスライムだ。

 ロディが知っている人も、テイムしている魔物はスライムだった。

 ただ、スライムをテイムする人は少ない。

 スライムは言わずと知れた『最弱の魔物』だ。だからよほどのもの好きでない限りテイムしようと試みない。いわば不人気の魔物なのだ。


「本当にテイムできそうなんですか?」

「無論、根拠はあるぞぃ。あれじゃ。」


 そう言ってフェイが指さしたのは、スライムの核だった。


「・・・そういえば、スライムのテイムの条件を見たことがあるわ。」


 しばらく考えこんでいたエマがおもむろに口を開いた。


「その条件ってなんだ?」

「スライムの核が動いていること。」

「!」


 5人は一斉にヒュージスライムを見た。

 スライムの核は、変わらず小刻みに上下左右に頻繁に動いている。


「この核が動き続けていると、テイムの確率が高いらしいのよ。つまり・・・」

「今、もしかしたらヒュージスライムをテイムできるかもしれないってこと!?」

「その通りじゃ。」


 フェイはニコニコと笑って言った。


 スライムは核が見える。その核が震えるように動いていればテイムの確率が上がるらしいのだ。

 他の魔物ではこうはいかない。ほとんど液体のスライムのように核が動くわけではないであろうし、そもそも核が見えない。

 そういうところもテイム成功率が低い理由でもあるわけだ。


「たしかに、スライムとはいえダンジョンボスをテイムするなどとは前代未聞じゃ。しかし、条件的には可能性が見えておる。

 というわけで、このヒュージスライムにテイムをやってみる価値があると思うんじゃ。

 ロディ、おぬしはテイムの魔法を覚えておるじゃろう。」

「はい。師匠にいただいた魔法陣で覚えています。」


 ロディはフェイから魔法陣全集に載っている88の魔法陣すべてをもらって魔法を覚えている。その中にテイムの魔法もあった。


「では、やってみるとよい。」

「師匠がやるのではないのですか?」

「何を言うか。これまで討伐してきたのはおぬしたちであろう。最後に横取りするような真似は出来んよ。それにな、」


 フェイはヒュージスライムを向いて言った。


「今のヒュージスライムはロディの魔力が大量に体に取り込まれておる。じゃから、ロディの方が相性がいいじゃろうて。」

「わかりました。やってみます。・・・みんなもそれでいいかい?」


 ロディは4人の顔を見渡しながら言った。


「もちろんよ。ロディしかできないわよ。」

「ロディなら問題ねえよ。面白いことになりそうだな。」

「マイハニーのロディならいいのだ。」

「お兄ちゃんならできる。やってみてよ。」

「わかった。」


 みんなの声援を受け、ロディはヒュージスライムに向き直る。

 ロディには、ヒュージスライムは相変わらず赤っぽく見えている。そして核も相変わらず揺れ動いている。

 このスライムが何かを期待しているかのように感じるのは、ロディの気のせいだろうか。


「いきます。」


 ロディはヒュージスライムに向けて右手を突き出した。

 ロディとスライムの間に魔法陣が浮かび上がる。

 テイムの魔法陣だ。

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