第40話 ロディ、ドロップ品を見る
翌朝、というより昼に近づく時間に目が覚めたロディとナコリナは、すでに日が高いことに気づいて慌て、急ぎ身支度を整えた。宿屋が好意で残しておいてくれた朝食を食べてから、急ぎダンジョンへと向かった。
ダンジョンはボスの状況を確認するまでの間新規の入場が制限されていたが、ロディとナコリナはギルド長から許可をもらっていたため入ることが出来た。ただし2層安全地帯までだ。
◇◇
「ロディ!ロディなのだ。本当に生きていたのだ!」
「ゴフッ!」
ダンジョンを進み安全地帯の部屋に入るや否や、ロディを目ざとく見つけたレミアが弾丸のように突っ込んで来て、ロディはレミアの頭をお腹で受け止める羽目になった。
「レ・・・レミア。目覚めたんだね。それにテオも。2人とも元気になって良かった。」
お腹の痛みに耐えながらロディはレミアの頭をなでる。見ればテオも立ち上がって笑顔でこちらを見てる。
「何を言うのだ。こっちのほうが心配したのだ。目が覚めたらロディがいなかったのだ。エマは街に行っていると教えてくれたが、それでも心配だったのだ。」
「そっか。レミアは俺を一生懸命治療してくれたんだもんな。ありがとう。レミアのおかげで俺はこの通り元気だよ。」
「えへへ、良かったのだ。」
レミアは、満面の笑顔と少し涙ぐんだ目でロディ達を迎えたのだった。
一方エマは頬を膨らませて怒っていた。昨日想定していた予定から大幅に遅れていたためだ。
「遅ーい!もう昼過ぎだよ。どうなったのか心配だったんだから。」
「ごめんねエマちゃん。昨日はギルドでいろいろあったから。それについて今から話すわ。」
ナコリナがエマをなだめるのだった。
◇◇
「・・・ってことは、あいつらは処罰されるってことなんだな。」
「どんな罰かはまだ決まってないけれど、間違いないわ。」
「当たり前なのだ。あんなことをしておいて、逃れられるわけないのだ。」
「ちゃんと判断してくれたのね。ギルド長に感謝しなくちゃ」
ゴルザたちとの顛末を聞き、彼らが処罰されることになったと聞いて3人は喜びをあらわにする。
後の話にはなるが、ゴルザたちの処分はこのようになった。
主犯のゴルザは冒険者資格停止と永久追放。ジャイケルは3ヶ月の冒険者資格停止。そしてヘンケルは、”処罰なし”となった。ヘンケルは実際何もしておらず、しかも最初に自白をした為、取引の結果罰を全く受けないことになったのだ。
ロディにとってヘンケルは意識の外にあったため、正直どうでもいい話だった。
5人の話は魔石の話からドロップ品の話へと移行した。
実はあのオークキングは魔石のほかにもドロップ品を残していた。高ランクの魔物はドロップ品を残しやすいという。その恩恵を今回は受けた形になる。
そしてオークキングのドロップ品が何だったかというと、
「オークキングの鎧と防具か。」
ドロップしたのは、鎧上下とアームガード、レッグガードという防具だった。よく見るとあのオークキングが付けていた防具にそっくりだ。
「でもこの防具、少し大きくないか?」
ロディが見た所その防具はかなり大きく、それこそ通常のオークが着れるくらいのサイズだ。5人の誰ともサイズが合わないのは明白だ。
しかしエマがロディに得意げな顔を向けた。
「ところがそうでもないんだな。見てて。」
エマはアームガードをテオに手渡し、テオはアームガードを腕に付けた。
すると、アームガードはみるみる縮んでいき、テオの腕にぴったりの形に変化したのだった。
「うわ、大きさが変わったわ。」
「これってどうやら装着者の体のサイズにぴったりに変化してくれるのよ。私やレミアが着けても、やっぱりぴったりに変化するわ。」
「もしかして、かなりレアな物なんじゃないか。」
「それにこれは金属じゃなく何かの革で出来ているので、柔らかくて装着後も動きやすいわ。」
「凄い。最高のドロップ品よ。」
とんでもない物がドロップしたものだ。さすがはオークキング。ドロップ品の格も違う。
「じゃあこれは、テオが着ければいいな。」
「え、俺が?」
「そうさ。今回のオークキング討伐は、間違いなくテオが一番の功労者だ。」
「でも、俺は・・」
テオは遠慮がちにうつむいた。
「テオ、大丈夫だよ。」
テオの懸念していることを、ロディは見当がついていた。なので自信をもってテオに勧めることができる。
「前に防具の話をしたときにテオが嫌がっていたのは、あのギフトで体が大きくなると防具が壊れてしまうからじゃないのか。」
「ああ、そうだけど。」
「ならこの防具はうってつけじゃないか。この防具は装着者に合わせて大きさが変わる。ならギフトで体が大きくなったテオにもピッタリのサイズに変化してくれるはずだ。」
「そうだわ、その通りだわ。」
ロディの考えにエマも同意する。
元々テオの戦い方は体を使って戦う接近戦で、それゆえ生傷が絶えない。しかし、いざという時にギフトで体が大きくなるため防具の破損を嫌がってこれまで防具を着けていなかった。
しかしこの防具ならばその心配はない。それに柔らかい素材の為、スピードを持ち味とするテオの動きを妨げることも少ないだろう。
「でもいいのか、俺がもらって・・・。」
「いいさ、みんなもいいよな。」
「もっちろん。一番頑張った人がもらうのは当然よ。」
「テオにぴったりの防具ね。」
「これはテオのためにドロップしたと思って間違いないのだ。私がこの防具を着けても似合わないのだ。」
みんなテオが使うことに異存はない。防具はテオのものとなった。
「そうか・・・。ありがたく使わせてもらう。次はオークキングにも負けねえぜ!」
テオの顔にはやる気が漲っていた。




