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家鳴り【短編ホラー】

作者: モモモタ

 かつて住んでいた家では、家鳴りがすごかった。夜、天井からビシッと言う音がしたかと思うと、何かが落ちたような音が廊下からする。家鳴りは所謂湿度の変化によるものと言われており、それ自体が怪奇現象とは私自身も思っていない。普段からよく聞こえていたため、気にも留めていなかったが……あの時は違った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 深夜。仕事を終え、帰宅した我が家は真っ暗で、妻も、子供もすでに寝入っている。起こさないように静かに食事をし、入浴し、ぼけーっとテレビを見る。深夜番組はどれも通販番組ばかりで、面白みがない。仕方なくもう寝ようと思い、寝室に行こうとした時。



「ん?」



 ギシッと言う音が天井からする。誰かが起きているのかと思ったが、この上は2階で、誰も使っていない部屋のはずだ。まぁいつもの家鳴りかと思い、気にせず電気を消し、2階の寝室へ上がる。階段を上がり切り、寝室の扉に手をかけた直後。



 ダンダンダンダンッ!!



「え!?」



 突然階段を誰かが駆け上がる音。驚いて振り返るが、そこには誰もいない。



「な、何だよ……」



 怖くなり、寝室へ逃げ込む。



「はぁ、はぁ……!」



 妻と子供はぐっすりと熟睡しており、静かな寝室で私ひとりが激しく息を荒げている。



「い、今のなんなんだよ……!」



 廊下につながる、扉を見る。その向こうには誰もいないはずだ。このまま布団に潜り込めばいいのに、私は扉を開けてしまった。そこには……



「………」



 何もいなかった。暗闇には誰もおらず、今の音は誰だったのか。どうであれ、私は開けるべきではなかった。



 ダダダダダダダッ!!



 今度は、寝室の中から走る音がする。驚いて振り返るが、何もいない。妻と子供、どちらも起きる気配はない。起こした方がいいだろうか。これはもう家鳴りとは言えない。



「お、おい起き」



 ダンッ!!



 天井から音。



 ドンッ!!



 壁から音。



 ダダダダダダダ!



 部屋の中を走り回る音。何もいないのに、音だけはしている。恐怖で動けない私は、ただただ震えることしかできず。



 パァン!



「ひぃ!?」



 甲高い音ともに、部屋の中のガラスがすべて割れる。流石に妻と子供も驚いて飛び起き、事の異常さを知る。何があったか聞かれたが、私には何も答えることはできなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 あれから、私達はすぐに引っ越した。あんな体験はもう起きていない。けど……たまに聞こえる家鳴りの音を聞くたびに、思い出してしまい、考えてしまう。あれは、一体何だったのか。



                    完

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