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【ジャン視点】


 ブチ切れた。我を忘れて知らないお嬢さんを二人もひっ叩いてしまった!!


 女性に手を上げることは貴族として最悪の行為。これはヤバいかも。パーティー会場に居合わせた参加者は俺を見てヒソヒソと話している。流石に殴るのはやり過ぎたようだ。


 俺は振り返りガーネットを見ると、彼女は目に涙を浮かべていた。


 あ、もういいや。ガーネットを泣かせたコイツらに更に追い込みをかけて一生後悔させてやるぅ!!!


 するとパンツスーツにポニーテール姿のモリナガさんが俺に歩み寄り耳打ちする。


「殿下、見事な采配です。これであのお二人の家が取り潰されることもありませんし、エリザベート様の謀略もいなすことができますね。お二人の家には至急私から文書を送っておきます」


 どういうことだ?俺は再び殴った女二人を見る。


 そうか、この子達は子爵家の娘だ。それも六貴族筆頭公爵家であり、エリザベート・フォックス嬢の生家でもあるフォックス公爵派の子爵家。


 王家とフォックス家は水面下で対立をしている。

 つまり今回の件は俺もしくはガーネットの父、叔父上が不敬罪で二人の家を取り潰すことを狙ったエリザベート嬢の策略。


 家を潰すというのは簡単にはできない。潰された家にも縁者や家臣がいるし属する派閥の長はそれを守る責務がる。


 状況によっては内乱なる可能性がある案件だ。


 おそらく、今回の件を切っ掛けにフォックス家は王家と表面化で対立すること狙っていたのだろう。つまりこの二人はエリザベートに利用されただけ……。


 だが俺が二人を殴った。しかも学園の夜会という公式の場で。

 貴族としては前代未聞、最悪の行為であるが故にこの二人からすれば最悪の恥辱を受けたことになる。

 これ以上、追い込を掛ければ流石にやり過ぎになり王家は世間的に正当性を失う。


 だからこれで幕引きとなる訳か。


 あっぶねー!めっちゃ追い込み掛けようと思ってた!


「君達、今日は帰りなさい。大ごとにはしないから」


「殿下、あんまりです!私達は殿下を思って行動したのに」


「そうですよ殿下!女性を殴るなんて酷過ぎます!」


 二人は泣きそうな顔で訴えかけてくる。だから俺は彼女達の耳元で小声でささやいた。


「君たちはバカだな。どんな理由があろうとも王家に連なる六貴族のガーネット嬢を侮辱することは許されない。国の法で君達の家を取り潰すことだってできるのだよ。それを平手一発で治めたんだ。これ以上の口答えは君達の家族を不幸にする」


「「…………」」


 二人は青い顔をして黙ってしまった。そして足がガクガク震えだす。

 家を取り潰すと、かまを掛けてみたが、そこまでのリスクは想定していなかったようだ。エリザベートにいいように言われたな。


「「し、失礼しました」」


 二人は深く頭を下げるとこの場から去っていた。


 俺はエリザベートを睨む。

 彼女は薄っぺらい笑みを浮かべていた。


「うふふふ~~ん、 流石は殿下ぁ~、 お見事ですぅ~」


「エリザベート嬢、君は本当にからめ手が得意だな」


「あっらぁ~~ん? なんのことかしらねぇ~ん? 私、し~らない♪」


 本音を吐く積りはないようだ。彼女はニヤニヤ笑っている。確信犯だろう。


 史実では王家とフォックス家が争うのはもう少し先だ。だが警戒しておかないとな。



「ジャンッ! 風呂に行こうッ!!」


「いかねーよ!」


 状況が全く掴めていないエリザベートの婚約者アフレッドがアホなことを言って来る。因みに彼も六貴族の一人。

 つか、コイツなんでいつも俺を風呂に誘ってくるの? 一緒に行ったことないけど、行ったらどうなっちゃうの俺ッ!?


「すまない。 ガーネット嬢と二人になりたいのでこれで失礼するよ」


 俺は肩を落としているガーネットの手を握る。


「外の空気を吸いにいかないか?」


「うん」


 頷く彼女の手を引いて俺達は会場の外へ向かった。






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