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俵星玄蕃 赤穂浪士の異世界版

作者: サフミワヒロ

ブックマーク機能を利用するために会員登録しました。のでついでに私小説をアップしたまで

陰謀渦巻く幕府内では、武の技量よりも、舌鋒鋭い事が大事である。武士の策略だけがうごめく魔窟と成り下がったと言う物だろう。陰謀が陰謀を生み、そしてその陰謀で埋もれる者ばかりである。

 武士は公家に成り下がったかと揶揄される裏で仕事をする者達を囲っており、その者達は、乱波、素破、忍とか呼ばれている。そのうちの一人、山上甚雨。彼は、主君である大老吉良の一番の忍である。昨今、赤穂藩主の一歩も譲らぬ言い争いに巻き込まれ、理不尽極まりない攻撃を受けた吉良大老。紆余曲折あったものの、幕閣に手を回し、赤穂藩主に切腹をさせたが、その理不尽極まりないお上の対応に仇討ちを申し立てる藩士たち。当然受理されるわけも無い。考えてみれば、城内で白刃を抜く暴虐の赤穂藩の態度はお家断絶でも生易しいと言われている。しかし、そんな悪行を棚に上げ、赤穂藩士たちが不当に討ち入りをするのではないかとの噂を聞く。その結果山上は、情報収集に携わる事になる。

 山上甚雨は情報収集するうちに、吉良邸付近に毎度同じ時間やって来るそば屋がいることを知る。こんな場所で商売をするくらいなのだからうだつの上がらないそば屋か諜報員だろうと思っていた。案の定、店主の話を聞くうちに、山上はそのそば屋が赤穂藩士の一人、杉野十平次と知る事になる。

 相手方の仇討ち計画の動きを掴んだ山上は、さらなる調査をかけ、赤穂藩士47人が討ち入りを検討しているのが事実であると突き止めた。相変わらず、蕎麦屋に身をやつしながら杉野は情報収集をしている。本来ならば情をかける必要は無いが杉野の塗炭の苦しみを聞くと、山上は何を思ったか、槍の極意を一つ教える事にした。河原に並べられた水止めの俵を、連続で突き投げ伏せる。奥義の要を伝えると、杉野自身も上手くやりきる。喜ぶ杉野は、山上に名を問うてきたので、俵星と、水止めの俵にかけて偽名を名乗った。言葉をつなげ、山上は、杉野に「お主、ただ者ではないな。よほどのことがあって、腕を磨いているのだな」と、鎌をかけると、その言葉は、正鵠を射たようで、杉野は顔色を変えた。ただ、それ以上問い詰めることはせず、杉野が名のろうとするのも止めさせた。

 さらに、そば屋に足を運ぶ山上、討ち入りが明日である事を知っている。当然、自身の君主である大老吉良にはその事を伝え、返り討ちにする手筈は整えていた。その頃には、杉野に俵星先生と呼ばれ慕われる山上。杉野は、正確には言わないが、討ち入りの仲間達に、ともすると辞意を洩らそうとする事があると問わず語りに臭わす。このままそば屋をやりながら着の身着のままで生きていたいともいう。しかし、山上は杉野に発破をかける。武士として生まれたからには、己で判断をしたことをやり通さなければ、生涯決まりの悪い生き方をする事になる。家の為に生きるのが武士であるのだと。

 翌日深夜は初雪となった。降り積もる雪の中で山家流陣太鼓が鳴り響く。その禍々しい音は、討ち入り開始の合図でもある。聞きつけた山上は、吉良邸より飛び出す。先頭にいるは、大石良雄。当然、主犯である大石の事は事前の調査で分かっていた。ここでも山上は、何を考えたか、討ち入りをするのは改められよ、無分別に踏み込めば、完膚なきまでに叩きのめされることになると助言をする。当然断る大石。すると列の後ろから、雪を蹴立てて走りよる一人の浪士。先生と大音声をあげる。先生に伝授された槍の奥義の通り、命を惜しまず、名を惜しみます。名が廃る事が武士の恥であるならば、勝てぬ戦と分かっていても必ずや吉良の命を取ってみせます。

 山上は、その一言を聞き自分が武士でない事を悲しく思った。戦の表舞台にたてず、諜報という裏の部分で生きる影である事。山上は最後に自分の本当の名を名乗ろうとする。忍びが名を名乗るときは、死ぬときか、君主を裏切る時。つまりは、助勢に加わると申し出る山上の言葉を杉野が止める。俵星先生、我らは、幕府からひどい扱いを受けるでしょうが、この仇討ちは善悪に関わらず事実だけを後世に必ずや伝えて下さいと。

 その夜の仇討ちは、失敗する。吉良邸には数百の鉄砲が並べられていた。討入る浪士47人を全て瞬時のうちに絶命させる。しかし、大老吉良上野介は、台所で暗殺されていた。勝利を納めたはずの吉良邸は混乱するばかりであった。その翌年、吉良邸のすぐ隣の横綱町では、俵星玄蕃を名乗る槍の名士が道場を開いた。飾られた47本の槍と陣太鼓が道場の看板となっている。

2010年ころ学生時代にかいた文章が

mixiに落ちていました。暇だったのでしょう

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