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897話 争い

神の国は魔物の襲撃によって引き起こされた事態で大混乱となっていた。

魔物は村を襲い、人々を襲っていた。自衛手段のない村人たちは逃げまどうばかりであった。

その中で戦える者達は、必死に魔物と戦い多くの者達が傷つき、そして散って往った。


多くの犠牲を出していた神の国であったが、天使たちが反撃に出るとあっという間に魔物を撃退していった。


「「「「うおおおおおおおお」」」」」」


「天使様ーーーー。」

「神のお使いだ。」

「神よーー。」


この騒動で、神の国の妄信はもの凄い事になっている。元々信者しかいない神の国であるが、自分がいかに神を愛しているのか、いかに神の為にお仕えしているのかを熱く語る者が増えていた。

その熱すぎる信仰心は信者である商人にまで影響を与えていた。



ある商人は、大陸中央に仕入れに来ていた。そしてそこでも熱く熱く暑苦しく語っていた。


「神は凄いんだ。魔物を倒して人々を救ってくれるんだ。物凄いんだ。」


「へーーソウナノカ。」


聞いている方はもう耳にタコが出来る程、毎回毎回同じことを聞かされていた。


「そうだ、今中央では神殿を建てているんだ、教会より大きな物らしいぞ。神の国ならばさぞ大きな神殿があるんだろうな。」

「うっ。」


商人は言葉に詰まってしまった。神の国には神殿どころか教会一つ存在していない。


「おいおい、まさかと思うが神の国は教会が無いのか。」

「・・・ない。」

「うそだろう。普通どこにでもあるぞ。

「神の国は国全体が教会なんだ。」


負け惜しみの様に商人は訴えている。



そして大喧嘩へとなってしまった。


当然の様に飲み屋で喧嘩となれば警備兵に捕まる事となる。冷たい牢屋で1日過ごし釈放される。



「あいつら神の国を馬鹿にしやがって。何が教会ないだ。くそーー。」






宗教談義は酒の席で語る者ではない。己の信じる神が違うならば絶対に相容れないものだから。




そして熱狂的な信者たちは神の国と中央や東地域の者達と争いに発展していった。


「うちの村に近づくなー。」

「神を信じなさい。」

「うるせーんだよ。神神ってうざいんだよ。」


国境の村々では信仰心の押し売りが発生していた。



「村長、あいつら毎日うざい。」

「そうだな。あれは酷いな。あやつら暇なのか。」

「村長何とかしてくれ、これじゃ仕事にならないぞ。」



ある村は村に入口にバリケードを作り神の国の信者を入れない様にした。又ある村は、訪れた信者をボコボコにしていた。



国境堺の村々は次第に過激になっていく。信仰の押し売りから村の襲撃へと変わるのであった。


「いいかー、あの村を救ってやるのだ。信仰の無い者達に信仰を授けなければならない。」

「「「「おおおお」」」」

「そうだそうだ。村人に信仰を教えてやるぞー。」


信者たちは国境にある村を襲撃した。

自分たちは正しい。よい事をしている。と思っているのだ。


「神を信じろーーー。」

「バーカバーカ。」

「神を侮辱するなー。」

「お前を侮辱したんだそんな事もわkんねーのか。バーカ。」

「ヌググ。神の裁きをーーーー。」

神の国の農民が鍬を振り回し突撃してくる。それを木の盾と木の棒で応戦している。

真面な武器もない者同士の戦いであるが、過激になっていく。


グサっ。


そして一人の若者が村人を殺してしまった。



もう両者とも後に引けなくなってしまった。


「おりゃー殺せーー。」

「神の裁きをーーー。」

「敵だーー。」

「神の裁きをーーー。」



両者が血みどろの戦いをしている場所へ突然、上空から二人の男が現われた。


ボコ、ボコボコ。


「やめろーーー。」


一人のアレクが大声で叫ぶ。


「此処は中央政府の村だ。お前たちは戦争を仕掛けているのか。」

「うっ、俺たちは信仰を神をたたえる事を教えようと・・・・」

「そんなもの要らん。神の押し売りなんかいるかぁ。」

「神を信じないのか、神は・・・・神は・・・」



トン。


アレクは神神といっている者を手刀で気絶させた。


「こいつを連れて帰れ、信仰は自分の国内でやってくれ。」


「「「「・・・・・・」」」」


争いは収まったが何人か死人が出てしまっていた。襲われた村は怒りが収まらない。



「村長はいるか。」

「はい、私です。」

「お前が村長か、この村は国境に近すぎるいつまた襲撃があるか分からにいったん避難してはどうだ。」

「・・・・・・いいえ、避難は致しません。種付けも始まります。今村を離れる事は村を捨てる事になります。」

「そうだよなーー。やっぱり無理か。」


「アレク、神の国に殴り込みしかないだろう。」

「カイン兄。」

「殴り込みに行くのか俺(村人)も連れて行ってくれー。」


「「無理だろう。」」



アレクとカインは村人たちを落ち着かせ、宥め。過激な行動をとるなと念押ししていた。過激な行動しかとっていない二人に諭されている村人は如何かと思うがやっている二人は真剣であった。


「いいか、お前たち過激なことは考えるな。」

「そうだぞ。俺たちに任せとけ。敵は取ってやるからな。」




翌日、アレクとカインは村を出て国境を越えていく。


「おーあれが神の国の村だな。」

「人が集まってきていますね。」

「向こうも最初からやる気だな。」

「まずは話し合いからですよ。」

「分かっているよ。」


アレクとカインは村の入り口で止まる。


「俺たちは、中央政府の者だ。」


ザワザワ。


「中央政府。隣の国の役人が何の用だ。」

「おいおい、昨日の事をもう忘れたのか。」

「・・・・」

「この国の、この地域の責任者の所まで案内してくれ。」


ザワザワザワ。



「どうする。」

「天使様にお伝えしろ。」



そしてアレク達はこの村から約1日の距離にある町に案内されていた。その町は綺麗な町であった。



「へーーー。綺麗な町だな。」

「領主館ですね。この国で初めて見ますね。」

「天使様のお屋敷だ。偉いんだぞ。この国で12人しかいないんだ。物凄く偉いんだ。神に近い存在なんだぞー。」


案内している村人はアレクとカインに必死に自慢をしている。


お屋敷着くと門には兵士が二人いる。


「タボ村の者です。天使様にお話が行っているはずです。」

「聞いている。少し待つように。」


一人の兵士が屋敷に走っていく。数分すると執事を連れて戻ってくる。


「お待たせいたしました。こちらへ。」


アレクとカインは執事についていく。

屋敷に向かうのは執事とアレク、カインの3人であった。


屋敷の中は見た通りの豪華(悪趣味)さであった。キラキラピカピカのいかにも成金という内装であった。


「目が痛くなるな。」

「ちかちかしてきますね。」


アレク達は大きな部屋に案内された。そこには人輪天使が待っていた。


その天使は、アレク達を見た瞬間、顔が引きつっていた。



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