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894話 神の世界

神の世界には最高神といわれる上位の神がいる。その下に役目を持った神たちがいる。美徳の神、貧乏神のようなもの達である。

だが最高神も役目を持っている神たちも基本人々には関心がない。己の作った神域から出る事は無い。


神の世界では、己の格を上げる事が最重要でありそれ以外は全て取るに足らない事なのだ。


神々は知らない事であるが、惑星アースにいる貧乏神はこの宇宙の中で最高神の位であった。


人々から見た神とは信仰の対象であり、心の拠り所として存在していることが多い。人の心は弱い。何かに頼っていなければ壊れてしまうからである。


神は信仰によって力を発揮する事が出来る。多くの事が出来るようになり格もあがりやすくなっていく。だがその為に神自身が行動に移すことはまずない。

下で働く天使に丸投げなのだ。所属の天使に力を与え(貸出)天使が人々の信仰心を集めているのであった。




義の神。


「主様。」

「なにようか。」

「私の格が上がりました。」

「ほう善い行いをしているな。お主は、まだ435年しかたっておらぬだろう。」

「はい、以前格が上がってから435年で格を上げる事が出来ました。これも主様のおかです。」

「フフ、謙遜するでない。お主の力だろうよ。それより本題は何だ。」

「はい、主様の敵となります神がおります。」

「敵となる神か。」

「はい今天界内で争いが発生しております。その争いには神が関係しております。天界は天使の領域です。神が手を出すことは義に反します。」

「義に反するか。よかろう天界を一度掌握しようぞ。その後は新たな天使に渡すとしよう。」



天界は大混乱の中にあった。

牢獄からの神の脱獄で天界は新たな神が生まれ、その神を支持する勢力と不支持の勢力とで争いが起こっていた。その争いは天使たちの神離れであった。

神は基本何もしない。何かをするにも全て天使である。天使は過酷だ。

神の意志を汲み取り動く。動いて失敗すれば左遷である。成功して当り前であった。




天界のあちこちで



「俺達は天使だーーー。神の召使じゃない。」

「いやお前たちは神の召使であり、部下であり、僕だ。」

「だ、だとしても成功報酬は出すべきだろう。これでは天使が報われない。」

「天使が報われてどうするのだ。天使はただ仕事をするだけだ。」

「俺達天使は奴隷じゃない。」

「何を言っているんだ。神に仕える物(者)はすべて神の物だ。」




「大天使長。このままでは天界が3つに別れてしまいます。」

「・・・・・・」

「大天使長、どうかお答えください。」

「・・・・・・」

「大天使長ーーーー。」

「分かっている。義の神に全て任せるのだ。」

「義の神ですか、あの苛烈な義の神が天界にいらっしゃるのですか。」

「来る。」



そして混乱が大混乱となっていった。

義の神に理屈は通用しない。神が敵としたものは全て敵となる。


「大天使長は義の神に付かれるのですね。私も大天使長に従います。」

「私も・・」

「私も。」

「私も従います。」


此処で天界の混乱に拍車をかける出来事が起きる。天使の中で神に昇格する者が出てのだ。義の神が天界に迫った事で神域が出来たのだ。

神域の中で神宣言をした者が神となる。天使の中で神とならんとしている者は多い。神となり神域を持つことは天使の目標の一つである。



「うおおおおおーーー。俺は神に成った。俺の時代がキターーー。」


「神に成れた。俺が神に成ったどーーー。」


「これが天界を支配する。この新たな神が糞(天使)を教育してやる。この教育の神の力を見せてやる。ダハハハハーーー。」


数体の神が誕生したことで、成り立て神たちは、冷静な判断が出来ていなかった。まだ天使の感性で動いてしまっていたのである。


天使は傲慢な者が多い。人の上に立っていると意識がある。天界という存在が特別であるからだ。世界、いいや宇宙中を管理している為に特別意識があるのだ。


「下界の愚かどもに教えてやるぞ。誰が上位のものをかをなー。」


「フフフ、下界の支配もいいな。他の神のいない場所へ行くぞー。」




各々が自らの欲望に目ざめ行動してしまった。



だがそれも義の神が現われるまでの事であった。義の神が天界に現れてからはなり立て神たちは正気に戻る。成り立てでは敵わない事が分かってしまった。


「ゆゆゆ許してくれーー。」

「ダメだ。神の裁きだ。」スパッ。シュッ。



「ヤダヤダーーーたすけ・・」



成り立て神の一人が義の神に吸収されていく。


義の神は天界で成り立て神たちを吸収していく。その光景を見ていた天使たちは震え何も出来なくなっていた。神と天使の力の差をハッキリと認識したのだ。


義の神はこの世界で最高神の一画を担っている。その為に7人の成り立て神を吸収していくことで格が上っていった。一人目を吸収した時は何も変わらなかった。ただ力が強くなっただけである。二人目も同じであった。だが3人目の時には天界の隅々まで意識が広がった。

4人目の時にも意識が広がり天界の外に迄広がり。意識の膨張を抑える事が出来なくなっていた。

それでも5人目、6人目を吸収していき己を抑えるために意識を集中していった。


「なんだこの感覚は、この広がる感覚は何だ。」


「主様、最後の一人です。」



最後の一人の神は義の神から逃げようと天界を離れていた。必死に逃げる神は今どこにいるかも分かっていなかった。


「拙い拙い拙い。どうするどうする。」

「逃げても無駄だ。逃げられないぞ。」


「義の神の僕となる。助けてくれ。頼む。」

「ダメだ。」


義の神は広がる意識を集中させて己を奮い立たせてた。少しでも油断すれば意識が広がり希薄になっていくのであった。だが物凄く気持ちのいい感覚であった。


「俺も神だーー。ただでは死なん。おりゃーーー。」

「無駄だ。」シュッ。


「お前の中で呪ってやるーーーー。いずれ殺す。」


最後の神は義の神に吸収されていった。


「主様・・・・・・」



最高神となっていた義の神は




「やっとわかった。」





義の神はいなくなった。この世界から消えていった。最高神であり義の神は新たな次元でビックバンを引き起こしていた。

新たな世界を造る事こそが神の力である。平行世界、異次元の世界、全ての世界に神はいる。


意識の遠のく義の神は、やっとわかった神とは自然の中に存在するものだと。


「そうか、世界が俺の体なのか。人も木々も土も俺の体の一部なんだ。そうかすべてが俺なのだな。」



意識の無くなっていく義の神は新たに生み出された宇宙を創りだしていた。


新たな世界が生まれた。

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