893話 おかしな話
今、タンドラ大陸は、じわりじわりと神域が広がっている。
この神域は、信者が作り出した物であり、神の創り出した神域とは別物であった。だが神の創り出した神域と効果は変わらない。作物の育ちが早くなり豊かな土地にであることに変わりはないのであった。
「おーーーー、2か月で麦が育つぞー。」
「育たなきゃ、うちは大変だよ、何しろ子供13人だからなぁアハハハー。」
「お前の所は、又生まれたのか。」
「おうよ。今度は3つ子だ。」
神の国の出生率が異常に高めである。神の国では双子、三つ子は当り前であり、4つ子、5つ子当たり前になっていた。
その中でも、獣人達の子だくさんは異常であった。妊娠期間3か月、生まれて歩き回までに一月であった。
「こりゃー食料が足りなくなるぞーー。」
「大丈夫だよ、東側北部に広げる事が出来るみたいだぞ。」
「本当か。なら心配ないな。」
「おいおいそれより、この村を変える計画があるみたいだぞ。」
「ん、畑を広げるのか。」
「それも広げるみたいだけど、何でも訓練をするみたいだ。」
「訓練、俺たちに何の訓練が出来るんだよ、俺達農民だぞ。」
「それよそれー、俺達でもその訓練をすれば天使になれるんだとよ。」
「天使ーーーーーぃ。」
この噂は神の国に瞬く間に広がっていった。
神の国の序列が影響していた。神を頂点に序列があり、今の農民たちは一応最下層という位置付けなのだ。食料に困らなくなり、少し余裕のある生活となると考える事は地位の向上であった。
となりの家より豊かに、隣の村より豊かな生活をと考えるのは普通の事である。
「俺も天使になれるのかな。もし天使になれたらつつつ妻も二人持てるんだよな。」
「何でも新しい身分制度を造るみたいだぞ。」
「どんな身分になるんだ。俺たちは農民(平民)だろう。今更そんなに変わらないだろう。」
「何でも天使の中で領主、騎士、兵士で別れるみたいだ。」
「何だ今とそんなに変わらないな。」
神の国国境
「なぜ入れないんだ。」
「神の国者以外は入れない。商人でも同じだ。入信すれば入国は許可する。」
「・・・・・」
この商人は入国せずに戻っていった。
今神の国へ入国できる者は入信している者だけとなっていた。それは、生活に必要な物を買い集めるためでもあった。神の国住人たちは基本農民か兵士である。商売人は一人もいなかった。外からの行商に頼りかなり歪な国家体制となっている。
信者になって神の国内で商売をしている者達はかなり儲けていた。神の国内では物々交換であり洋服や農機具などは作物と交換である為に商人たちの利益が莫大となっていたのである。
「小麦一袋でこの洋服だな。」
「3袋だな。じゃぁ、3枚だ。」
「まいど。」
「俺は酒だー。家で作ったエールだ。」
「おおおエールですか。これはいいですねー。」
「エールなら小樽で洋服5枚行けますよー。」
神の国では、朝日が昇ると畑に出て作業が始まる。休憩をはさみ日が暮れるまで畑仕事と新たな畑を作る作業を行っている。もくもくと作業するその光景はかなり異常であった。
そして夜は、食事をとった後は子作り作業である。自家製の酒を飲み疲れ知らずであった。
神域では疲れを感じる事が無いのだ。農民たちは神の恵みと思っているが、神の恵みには間違いないが生命力は低下していた。
中央政府
「あらアレク、カイン、レッドどうしたの早いお帰りね。」
「マリア姉、何言っているんだ。もう1年はあっていないだろ。」
「えっアレク、ボケたのかしら貴方昨日出ていったばかりよ。」
「何言っているんだ。マリア姉、なぁカイン兄。」
「そうだぞマリア姉貴、俺たちは神の国をずっと監視していたんだ。もう飽きるぐらいにな。」
「本気で行っているの。」
このかみ合わない会話も数分後には何も無かったように落ち着いてしまっていた。
「そう数日後に又行くのね。」
「ああ神の国の人口は増加しているんだ。このままいけば神の国から出る者も出てくるだろう。」
「そうなる前に対策が必要ね。」
「その辺はマリア姉に任せるよ。」
そして数日後、又アレクたちは監視の為神の国へと向かっていた。
そしてアレク達が見た光景は
「何だこれー、町になっているぞ。」
「この前まで村だっよな。」
「そうだね。300人ぐらいとあと子供300人ぐらいの村だったよね。」
「あっあの子供見覚えあるぞ。翼が左右色違いだった奴だ。」
「そうだね。生まれたばかりだったよね。でもあれ大人だよ。」
「なぁ俺達おかしくないか。」
「「・・・・・・」」
「貧乏神の所に行くぞ。」
「貧乏いるかーー。」
「貧乏じゃないわ。美徳じゃーー。」
「どちらでも同じだ。それより聞きたいことがある。一瞬で人や町の規模は増やせるのか。」
「一瞬でなど無理じゃな。そんな事は神でも出来んな。」
「じゃぁあれは幻なのか。」
アレクは美徳の神に神の国で見た事を伝える。
「不思議じゃな。特に問題ないと思えてくる。」
「普通に栄えたと言う事か。」
「お主のその考えがおかしいのじゃ。ワシも少しおかしくなっとるのー。」
「「・・・・・・」」
「神域強化。」
「ん、何か気持ちが軽くなったな。」
「なったなった。」
「なったねー。」
「今この場所を神域最高密度にしたんじゃ。他の侵入が一切出来ない程強化した。」
「何か変わるのか。」
「変わるな。糸の様に入り込んでいた神の力を追い出した。」
「何、神の力を追い出した。」
「ワシも含めて神の国の影響を受けていた様じゃな。神の国が問題ないと思わせていたのじゃ。」
「そうだな、今考えると問題だらけだ。」
「よいかこの神域を出ると又問題なしと思ってしまうぞ。」
「それ拙いじゃないか。」
「今から修行じゃな。」
「「「はぁ?」」」
アレク、カイン、レッドの3人は、修行に入っていた。
「アレク、これ修行なのか。」
「修行なんでしょう。」
「絶対に修行じゃないね。」
アレク達は刺繍をしていた。チクチクと洋服にビの文字を刺繍している。
「よいか弟子たちよ。ビの文字を気持ちを込めて一針り一針り心を込めて集中しながら・・・くどくど・・・」
「「「・・・・・・」」」
こそっ
「アレク、ビってビンボーのビだよな。」
「そう思いますね。美徳なら美ですからね。」
「だよねー。」
貧乏神でもある美徳の神は、なり立ての美徳の神であったために他の神からの影響を受けていた。だが元が貧乏神であったためにその事に気付き貧乏神の戻ったいたのである。上級最高神に迄格を挙げている貧乏神に影響を与える事の出来る神はこの世界にはいない。




