889話 脱出2
アレク達が巨大魔物に飲み込まれ脱出した物語は世界中に広がっていた。
アレク王、カイン王とレッドの英雄的(喜劇)な物語として民の娯楽として語られていた。
演劇でも公演され、アレクの一番の見せ場である。う〇この中に突撃するときには、微量の臭いまで嗅がせる演出つきとなっていた。
「俺が何してって言うんだ。」グズグズ。
「陛下、よろしいでしょうか。」
「なんだ。」
「はい巨大魔物の支援物資ですが用意が出来ました。」
「おーそうか、早速送ってくれ。あっそれと脱出組の支援はどうなっている。」
「はい、脱出組500人のうち国へ帰る者が300人です、こちらは艦隊が送り届ける事が決まっております。残りの200人ですがこちらはオリオン王国内で移住となります。移住希望者には開発村への移住となります。」
「新しい開発地は海の近くだな。」
「はい左様です。海関係の仕事をしていた者が多くいますので、オリオン王国としては助かります。」
「そうだな、これからは交易も増えてくる。新たに脱出してくる者もいる。その者達も暮らせるように手配を頼むぞ。」
「お任せください。」
腹の中
巨大魔物に残っている者達にアレクから支援物資が届いた。その中にはアレクからの脱出まで経過も書かれていた。その内容を呼んだガウルは顔が真っ青になっていた。
ガウル率いる脱出者たちは歓声を上げた。不可能とされた外への道があったからである。
「「「「「「「おおおおおおおおおお」」」」」」」」
「よく聞いてくれー。これから町全体で脱出する。もう魔物の腹で暮らすことはないんだ。」
「「「「「「「おおおおおおおおおお」」」」」」」」
それからの町は脱出一色となっていた。
「どんどん外から物資が送られてくるみたいだぞ。」
「応、知っているよ。だってみんなタダで配っているんじゃないか。」
「それよそれ、ただってのがなー、よほどの金持ちが付いているってことだろう。」
「お前知らないのか、この間脱出した人は王様だぞ。」
「エーーーーまじか。」
脱出に湧く町の中で静かに経緯を見守る一団もあった。
「主様、脱出のお話に乗りますか。」
「乗る。そろそろ外へ出ても良いころ合いじゃしな。」
「主様、それでは我らだけで船に乗れるよう手配いたします。」
アレクからの支援物資は、船も含まれていた。マジックバック内に納められて送られてきていたのである。
「おーーー、船だーー。あいついいやつだよな。」
「町長、これで計画が少し早くなりますねー。」
「いや、慎重に行くぞ、失敗が出来ないからな。」
「あっもしかして送られてきた手紙が影響していますか。」
「うっ・・・・」
「大丈夫ですよ町長、町長一人を汚物まみれにはしませんよ。臭くなる時は一緒です。」
町長はここ最近は特に思う事があった。みんなが優しいのだ。特にアレクの手紙を公開してから妙に優しくなっている。
支援物資が届いて町は変わった。魚ばかりだった食生活に肉料理が出るようになっていた。それはこの世界では当たり前の光景であった。肉食であるアースの者達に取って魚料理での毎日はかなりきつかた。
だがここで問題も出てきていた。人数が多すぎて2回に分けなければならなくなっていたのだ。
「船で15隻か、一度で行くには無理か。」
「難しいと思います、アレクさんの資料によると15隻を一度に通れる幅はありません、隊列が長くなりますので二つに分けた方がいいでしょう。」
「そうなると誰を指導者にするかだな。」
「町長は最後までこの場に残って貰わなければなりません。ですから必然的に第2陣となります。」
「第一陣の司令官、もしくは指揮者だな。」
「イメルダさんはどうでしょうか。」
「イメルダだと、あのおばさんか。」
「そうですあのイメルダさんです。」
「まぁあの人にならみんなしただうなー。」
こうして腹の中で脱出準備が整っていった。
第一陣が出航して15日ご第2陣の脱出船の出向となっていた。
「町長、どうしたんですか。」
「いやな、町が静かだと思ってな。」
「当たり前じゃないですか、もう誰もいないんですから。」
「お前なー、そんなこと分っているよ。長い年月駆けて造った町なんだよ。外へ出れる嬉しさ半分悲しさ半分なんだよ。まぁいい出るぞー。」
「了解です。出航ーーー。」
町長は町が見えなくなるまで町を見ていた。誰もいなくなった町には後に飲み込まれてくる者達の為に食糧や生活に必要な物が残されている。
1日目
「うおおおおおお、消化液の雨かーーー。」
2日目
「これが白いニョキニョキかきもいな。」
3日目
「暇だな。」
4日目
「汚物の川だ。きたなっ。」
5日目
「暇だ。」
6日目
「暇だ。」
7日目から14日目
「・・・・・」
15日目
「これがおぶつの壁か。」
「町長、前方に艦隊です。第一陣の船です。」
「なんだと。15日前に出た船だぞ。まさか排便していないのか。」
町長の船団が近づいていく。近づくとバリアの周りにこびりついた汚物が見えてくる。
「町長、俺達の船も外から見るとこんな感じなんですかね。」
「・・こんなに薄汚れてはいないだろう。」
完全防護服を身に着けたイメルダが小舟で町長の胸に近づいてくる。
「梯子を下ろせ。」
「消毒液をかけろー。」
「イメルダさん、どうしてまだ脱出出来ていないんでしょうか。」
「町長、一度肛門まで行ったのですが肛門が塞がっていたためにここまで戻ってきました。」
イメルダはおばさんという齢であったが見た目は綺麗なお姉さんである。そのきれいなお姉さんが肛門肛門と連発している事で周りにいる若者たちの眼がいっていいる。
「「「「ハァー、ハァーハァー。」」」」
「俺あの声で3回はいける。」
「俺なら5回は固い。」
「ハァー、ハァー。いくーーー。」
プーーーン。
「おーーい誰かイカ食ったかーー。」
「「「「・・・・・し知りませーーーん。」」」」
「そそうですか、皆は大丈夫ですか。」
「それは心配ありません、食料も豊富ですからね。」ニコリ。
「排便を待しかありませんな。」
「毎日脱糞しないと便秘になりますわ。」
「・・・・・・」
「「「「ハァー、ハァー。」」」」
そして三日後とうとう巨大魔物の腸が活発に動き出した。
「「「「「地震だ。」」」」
「出れるぞーーーーーー。」
ドバドバドバドバドバドバーーーーーーーー。プシューーーー。ジョォォォーーー。




