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877話 胃袋の中は

レッドとカインは暇していた。のーんびりと空を飛びながら雑談をしている。


「レッドォォ。今日はどうする。」

「カイン、今日は沖の島に行こうよ。あそこはまだ強い魔物がいるからね。」

「強い魔物って言ってもなぁ。みんな逃げ回っているしな、弱い者いじめみたいでいやなんだよな。」

「カイン大丈夫だよ。あそこの魔物はゴーレムでかなり硬いし強いよ、それに馬鹿だし。」




ドッカーーーーン。


レッドの前方で大きな爆音が炸裂した。それは天が裂け何かが裂け目から出てきていた。


「あれ、あれなんだ。」

「人じゃないかなー。」


レッドとカインは近づいていく。


「おーーい大丈夫か。如何したー。」

「フォフォフォ、少し張り切りすぎたかのう。大丈夫じゃ。」

「お前、空飛べるんだな。」


「ん、お主はこのアースの神か。」

「俺が神だってわかるのか。」

「カイン、この人も神だよ。」

「えーーーー、神様なのか、初めて見た。」

「カカイン、初めてじゃないよ。何度も見ているでしょう。」

「えっ、そうだったか。」


「お主は神に成ったばかりじゃな。ならばワシの糧と成れ。」


ドカーーーン。


突然カインの目の前で大爆発が起こる。さすがのカインも爆発に巻き込まれ吹っ飛んでしまった。レッドは何とか耐えたが、すかさず青年の神がレッドに斬りかかっていた。


「フォリャ、ホリャ、どうした蜥蜴よ。」

「とととと蜥蜴じゃない。ドラゴンだーー。」


レッドはブレスを放つ。だが青年の見えない盾に阻まれる。


「うおりゃーーーー。」ボコッ。


カインの強烈な右ストレートであった。


「俺に喧嘩を売ったんだ、とことんやるぞ。オリャァァァァ。」ボコボコボコッ。


カインのラッシュが続く。息を止めてのパンチは強烈だが長くは続かない、普通は1発、鍛えている者でも3,4発で息が上がってしまうのだが、カインは数十発も放っていた。


「ハァーハァー、どうだ。」

「流石、神だけあるのー。」

青年の顔はカインに殴られて腫れあがっている。だが一瞬で元通りに戻っていく。


「そこそこ強いのー。」


大口をたたいている青年の神であるが内心焦っていた。なりたての神となめていたのだ。まだ力を完全に取り戻していない神は、カインに敵わぬことが分かったからである。そしてレッドいうドラゴン神迄いるのである。


「俺のラッシュが・・・・・」

「カイン、強がりだよ。僕でもカインのラッシュは辛いもん。」

「そ、そうか、そうだよな、俺のラッシュは最強だからな。ならもう一度だー。おりゃーーーー。」


カインが突撃したが、青年は最初から逃げ回った。次にラッシュを食らえば動けなくなることが分かっていたからである。その為に逃げる事だけに集中していたのである。だが敵はカインだけではなかった。レッドがいたのである。カインに段々と追い詰められていく青年であった。そこへレッドのブレスが炸裂する。


「ぐぅおおおおおおお。」


「やったね。」


プスプスと黒こげの塊が落下していく。


「レッド死んだのかー。」

「あれぐらいじゃ死なないよ。でも当分は動けないよ。」

「まぁ復活したら又やれるから見逃すか。」

「そうだね。かなり強いから楽しそうだよね。」


黒焦げになった神は海に落下していく。


ドボーーーーン。


神は悔しかった。幾ら力が衰えていると言うっても昨日今日、神となったやつに連続で負けてしまっているのだ。


(わしが弱くなっているだけじゃ、力を取り戻せばあんな奴ら一ひねりじゃ。)


だがこの神の災難は続く。海に落ちた事で巨大な魔物に一飲みにされてしまったのである。神は巨大魔物の胃袋内で数十日をすごすことになる。神は死ぬ事がない。胃袋内で黒焦げのまま、数十日過ごし動けるようになると胃袋に飲み込まれた魚などを拾い食べて数日を過ごしていた。


「昔あった貧乏神の様じゃ、あやつは拾い食いしていたのう。」


黒焦げはかさぶたの様になり、少しづつ治ってきていた。神の力が極端に落ちている事で復活まで時間が掛かっているのであった。


「この星を支配するのにもあのトカゲと人型カインを仕留めなければならないのー、当分は力を取戻すことに集中じゃな。」


それから神は胃袋内で魚を拾い食している。胃袋内は広く、色々な物が見つかっている。船の残骸にスケルトン。そして奥へ進んで行くと一つの町の様になっていた。


「フォフォフォフォ、これは儲けものじゃな。隠れるのに最適じゃわい。」




「おっ新人か。」

「此処は何処じゃな。」

「怪物(魔物)の胃袋だろう。」

「そうじゃった。飲み込まれたんじゃった。」

「まぁここはみんな飲み込まれた者達だ。気楽にやってくれ。」

「そうじゃな。フォフォフォ。」


その町は、1000人ほどの町であった。巨大な胃袋内に町があるのだ。


「魚が今日は安いよー。」

「いつもだろうがー。」

「あらお兄さん、今日の魚は、これよー。ジャァァァーン。」

「ここここれはあの幻の黄金サンマか。」

「そうよ。銀サンマじゃないのよ。黄金サンマよ。」


ゴクリ。


「買う。買うぞ。」


男はゴソゴソとポケットをまさぐる。そしてコインを一枚渡す。


「まいどー。」


この胃袋内でも金は必要であった。ブツブツ交換も可能であるがたまに飲み込まれてくる船などから金も回収できるのである。その為にコインが使われるようになっていた。


神はこの場所で力を取り戻すことにした。ある程度の力を蓄えるまで大人しく、人として生活をしなければならなかった。


「おい、金は持っているのか。」

「ないな。」

「ならは働くか。今日は船の残骸回収だ。」


神である青年は初めての日雇い労働者となった。



(この魔物の腹から出るのも力が必要じゃな。並の神力じゃぁ、腹に傷一つ付けられんな。どうするかこの町の者をすべて殺しても力が足りんな。)


そうこの巨大生物は、性格は大人しく大らかであるが丈夫で巨大なのだ。広い海を海面から深海迄自由に泳ぎ回っている。その全長は250キロメートルと巨大である。



「おいおい、そっちに行くな。溶かされるぞ。」

「何じゃと。溶かされる。」

「そうだ、ここは胃袋の中だぞ。物は溶かされる。俺たちの町の場所はもう胃液が出なくなっているんだ。そこから先は命がけだ。もうそろそろだな。」


ドバーーーー。


突然に胃液の雨が降りだす。


神の数百メートル先で、胃液の雨が降っていた。全ての物を溶かし消化していく様は、気持ち悪かった。




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