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868話 男の話

食糧危機も少し落ち着いてきた。

オリオン王国を始め各国が迅速に支援をしたことで落ち着いてきていたのである。


オリオン商都


「よう、どうだ景気は。」

「ぼちぼちだな。」

「「フフフフハハハ。」」


これはこの二人のいつもの挨拶である。

この二人この商都で商いを行なっている商人である。


「食料も順調に輸送されているからこれで落ち着くだろう。」

「なぁ勝負をかけないか。」

「どうした急に。」

「あのな今は食料問題で他の物が売れずに商人が抱えているだろう。貴族や達も食料を買うために家宝を手放していたりする。今は高級品が最安値だ。今しかないだろう。」

「俺達がのし上がれるチャンスと言う事だな。」

「そうだ。大商人になれるチャンスだ。」

「かなり難しいな、急激に高級品が売れる事は無い。後数年は様子見で高級品の購入は控えるだろうよ。」

「そうかな、オリオン王国の民は景気が持ち直せばすぐに食いつくと思うんだけどな。」

「オリオン王国の民は高給取りが多いからな。」



この商都では、毎日今日が勝負だ、明日に駆けろだの色々と商人たちが暗躍しているのである。




どいつもこいつもバカばかりだな。俺様がこの地に来たからには俺様が商都の帝王になってやるぜ。

フフフ待っていろよ。


一人の男が食糧危機がチャンスと思い田舎から出てきていた。

男は大量の食料を持ち込み少なくない金を手にしていた。この金で商人として飛躍を狙っているのであった。


まずは商都役場に行く。商都郊外で土地を借りるためである。


「ようこそオリオン商都へ。」

「土地を借りたいんだ。」

「借りるですか。」

「そうだ商都の外でいいんだ。まぁ近い場所だとありがたいな。」


役場の者は困っていた。土地の売買はたまにある、だが土地の賃貸は基本行なっていないのである。


「土地を貸すことは行なっておりません。売買ならば可能です。」

「た高いだろう。」

「いいえ基本は街道から離れていれば登録料のみです。その場所はこちらの地図で色が白い場所となります。」

「えっ、ただなのか。」

「そうです。基本は都市、町、村や農地以外は登録料のみです。あっ税金は毎年かかりますよ。開発村のようなものです。成功すれば自分の物、失敗すればすべて失うのです。」


「買う。」


良し、この土地だ。俺の物になれば・・・


男は狙っている場所があった。丁度白い場所であったことで簡単に手に入れることが出来たのだ。



早速、男は馬車に大量の荷物を載せて目的の土地に向かっていった。


そこは何の変哲もない土地であった。普通にところどころに木が生えている。森というには木が少なく、普通の土地であった。


フフフこれが俺の土地かぁ、ここにある物はすべて俺の物だーーー。


そうこの土地には光る物体がいたのである。

この光る物体は妖精の元であった。まだ意識が芽生えていないためにただ漂うだけである。どうしてこの場所で漂っているのかは分からないが、光は一つではなく無数に漂っているのである。


男はそれが解かっていた。アースに妖精はいないが、架空の物として本では登場している。農作物を短期間で実らせ木を成長させたりと本の中では万能であった。

男も本の中の事をすべて信用している訳ではなかったが、夢が広がりいつしか妖精は万能となっていた。


くくく、これで光が妖精になって俺の物なるのだ。笑いが止まらないくくく。


男の選んだ土地は他の場所に比べ実りの良い場所であった。最初は小さな畑も次第に大きくなり麦や野菜と多種な物も作れるようになっていた。住まいのテントも小屋となり生活環境も整っていった。


男が移住して2年、まだ妖精は生まれていない。



必死に男は働いた。毎年の税金を払うために、この土地を守るために働いていた。そしてスラムの貧しい家から嫁さんを貰い。幾人かの小作人を雇い。総勢8人の村(集落)として頑張っていた。

この集落でも作物はかなりの評判が良く通常より少し高値で取引されるほどになっていた。



俺以外は光が見えないのか。不思議だ。あんなに光か輝いているのにみんな分からないという。

まぁそれの方が俺には都合がいいけどな。光の事が解かると妖精の事が解かってしまうからな。フフフ俺の土地で妖精が生まれれば一気に大領主なんて事になるだろうな。今は個人経営の農家だけど、そのうち豪農になって小作人100人をしたがえて、この土地の100倍を買ってやるぞ。登録料だけだけどな。


男はこの夢以外はかなりまともであった。

嫁を貰い大事な家族として仲良くくらし子供まで生まれていた。小屋から普通の家屋となり。小川からも水を引き込んで生活が楽になっていた。


オッ光は少し大きくなったか、いや光が強くなっているな。


毎日観察している男は妖精が成長していると思っている。光がこの場所にある限り男は必至で働くのであった。




そして月日は流れ・・・・・・



20年がたっていた。


もう村となっていた。

この村の作物はブランド化に成功していた。村の人口も250人となり子供も3人儲けていた。


だがまだ妖精は誕生していなかった。


なんか光が早く動き回るようになったよな。

村にへの方にはいかないけど、畑や小川には行くよな。これはもしかして水の妖精と土の妖精なのか、家の妖精なんて聞いたことがないしな。


男は妖精の話を誰にも語った事がない。


男は毎日の光を見る事で仕事のやる気が出てくるのだ。村の開発という過酷な作業である。普通は貴族や国などが人と金を出し大事業として行う物である。それを個人で行っておること自体、本当はもの凄い事であった。

だが男には全く関心のない事であった。男の目的はあくまで妖精であるのだ。村の開発などただの副産物だったのだ。


男は年を取り引退をする。この村を作って30年もうすぐお迎えがくる年になっていた。それでも男は毎日は村を見回りしていた。光が村中を漂っているのだ。男にしか可視出来ないこの光を見るためであった。


「おー光子、今日は機嫌がいいな。そっちはマサコか、マリネも元気がいいな。うんうんみんな元気じゃな。」


男は光に勝手に名前を付けていた光も男に反応して飛び回っていた。


だが周りの村人と家族は男がボケたと思っている。独り言をしゃべり村を徘徊しているのだから。



男は寿命で亡くなった。まだ妖精は誕生していない。



そして男が無くなって70年後、一つの光が人型に変わっていた。それは10センチにも満たない小さな女の子であった。男が光子となずけた妖精であった。

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