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87話

アレクは、地図を眺めていた。

オリオン公国、大森林、エルフ王国、ドワーフ国の位置を記した地図だ。


「んーーーん。んーん、んーーん。」


何も思い浮かばない。


アレクは、状況を整理する。


エルフ王国 耕作地帯、大森林と繋がっている。国王がいる。隣国とは小競り合い。貧しい。


ドワーフ国 山が多い、耕作は不向き、鉱山がある、合議制、隣国とは小競り合い、貧しい。


エルフ王国は、国王がいるから団結させられれば、貧しいままだが国としてはやって行けるかもしれない、だがオリオン公国に全く利益がない。

ドワーフ国は、合議制(話し合い)では何も決められない状態だ。話し合いでは独立したばかりの国の運営は無理だ。潰れる国に援助はしない。


オリオン公国に足りない物。資源はある。食料もある。技術力もある。生産力もある。人口も増えている。


「どうにもならないな。」


「無理やり利益を作るか。」


アレクは、オリオン公国、公王と話をした。


「父上、エルフ王国は、価値が出るかもしれません。この地図を見てください。」

アレクはハロルドにオリオン公国は、大森林を領地として宣言をしている。「万一グラムット帝国が大森林に侵攻してきたなら防衛をしなければなりません。そこでエルフです。エルフ王国を防衛の拠点、防衛を担当させます。大森林は広大です、普通の国なら20や30は入るほどの広さがあります。

人口が増えてきているとはいえ全体を見るのは不可能です。魚人、獣人、エルフを使い防衛力を高めましょう。オリオン公国が戦に強いのはグラムット帝国も理解しているでしょう。戦争を嫌っている、仕掛けてこないとも思っているのでしょう。だからグラムット帝国は内乱を利用して小国群を作ったのです。」

アレクはハロルドに、エルフ王国をオリオン公国が取り込む事を提案した。

アレクとハロルドは話し合いを行ない、妥協点を探っていった。


「では、父上、オリオン公国の利益としてエルフが受諾すればいいのですね。」

「そうだな、エルフ王国がオリオン公国となるのならいいだろう。」

「エルフには、自治権と伯爵か侯爵をお願いします。」

「オリオン公国エルフ自治領となるのなら侯爵にしよう。」


翌日


「エルミナさん、お休みになれましたか。」

「はい、ありがとうございます。ぐっすりと眠れました。眠れたのなんて久しぶりです。」

「それはよかったです。」


「早速ですが、昨日の続きです。今のままならオリオン公国は何もしません。」

「分かっています。ですが何とかお願いします。」

「エルフ王国、いや国王は何でもしますか。」

「民の為なら何でもやります。やらせます、やり抜きます。」


アレクは、オリオン公国としての考えを伝えていく。


「まぁ、国としては一段下がったと考えてください。」

「自治権は必ず、守ってもらいます。」

「そこは、保証します。誓約書も用意していますので。」

「民に対して、少し言い方を変える分には問題ありませんか。」

「ええ、問題ありません。」


「分かりました、よろしくお願いいたします。父は必ず承諾します。させます。」

「帰るときに同行しましょう。船でお送りしますよ。エルフ領を見ないとまずいですしね。」

「あの空飛ぶ船ですか。」

「あぁ、そうです空飛ぶ船で帰りましょう。」


「あぁ、少しドワーフ相手に協力をしてくださいね。」



アレクは、ドワーフと話し合いをする。


「お考えは、まとまりましたか。」

「やはり話し合いで決めるのはダメでしょうか。」

「無理ですね。今でもそうでしょう。ここに来た、あなたに決定権さえ無いですよね。」


ガストは何も言えない。


「まず、すべてを一任できる人物を決めてください。そしてその人物にドワーフたちが従うことが出来なくては話になりません。私は、これからエルフの国に行きます。帰りはお送りしましょう。」



ガレオン号にアレク、エルフのテルミナ、ドワーフのガストを乗せてエルフ王国に飛び立った。


ガレオン号はエルフの国とドワーフ国の国堺に着陸していた。


「ガストさん、エルフ王国の用事が終わりましたら、ドワーフ国に行きます。その時に何も決まっていなければ、終わりですよ。わかっていますね。」

「はい、重々解っています。何としてもまとめます。ではまた。」


ガストは足早にドワーフ国に戻っていった。


「テルミナさん、エルフの王都に向かいましょう。」

「・・・・王都と言えるような場所ではないですが・・・」


ガレオン号は、国王のいる場所に降り立った。


アレクは、愕然とする。酷い、酷すぎる。王国民はやせ細り、元気がない、活気もない、国王の居城、いや家も修繕が必要なようだ。


「・・・・・・・・・・・」

「アレクス様、こちらです。」

アレクは無言でついていく。


アレクは、通された部屋で待つ。


テルミナとエルフの王は話し合っているようだ。


一時間以上待たされ、国王とテルミナが現れた。


「お待たせしました、アレクス様。こちらが父です。」

「初めまして、御意を得ますアレクスと申します。」

「そんな堅苦しいのは良いでしょう、私はケートスです。」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「では、早速ですが、話しましょう。テルミナさんからの話は承諾されますか。」

「了承いたします。宜しくお願い致します。」


「よかった。これでエルフは救われますよ。」


「自治権は必ずお守りください、そこだけは譲れません。」

「心配ありません。誓約書も持って来ています。どうぞ。」


オリオン公国とエルフ王国とで誓約書が交わされた。

それはエルフ王国がオリオン公国になった瞬間である。


「オリオン公国は、約束は必ず守ります。」



「では、エルフ領の援助について話しましょう。食料に備蓄はどのくらいありますか。・・・・・・」

「食料はこの地区が足りていません。他には衣料品とうも全体的に不足しています。」

「防衛の拠点をこの位置とこの位置に・・・・・」

「あと、兵士の訓練ですが・・・・・・・」

「・・・・・」


アレクはユリたちに指示を出して各地への支援を開始させる。



「凄いですな。オリオン公国はこんな事が出来るのですか。」

「オリオンの一員になったのですからこれからは一緒に繁栄をしていきましょう。」


アレクは貨物船で各地に食料、衣料品等の足りない物を空輸した。人員・木人・機人を使い、道路整備と家の修繕をを行なったのだ。

急速に変わる街並みをみて、エルフたちは言葉が出ないようだ。エルフの元国王も民に対して布告をだし、オリオン公国の一員になったと伝えたのだ。オリオン公国からの援助を受けた民たちは、もろ手を挙げて歓迎をしていた。

エルフ自治領主も安堵の表情であった。


「ユリ、マック、機人を1体置いていくからあとはお願いできるかな。」

「師匠、任せてください。」「大丈夫ですよ、安心して。」

「僕は、これからドワーフ国に行くから頼むよ。」



「ここも、もう少しかかるだろうからね。帰りに寄るけど何かあったら連絡をお願いね。」



アレクはガレオン号に乗り込み、ドワーフ国に向かうのだった。




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