86話
ローエム王国王都
アレクは、ローエム王国王都の公爵邸に来ていた。
ルドルフとレオンに機人を持ってきたのだ。
「ルドルフ兄、レオン兄、機人です。」
「「・・・・・・・なんだこれ。」」
「いやだな、機人ですよ。父上か母上から聞いていませんか。」
「いや、話は聞いている。アレクが怒ったとな。」
「・・・それは終わったことです。」
「まあ、内容が内容だ、オリオン家内で納めないとな。」
「そうですよーーー。」
「お前、調子いいなー。末っ子は得だな。」 ぼそっ。
「ほら、機人の話ですよ。ルドルフ兄とレオン兄の髪の毛をください。」
アレクは髪の毛を貰い、機人に登録をさせる。機人は、登録を完了させた。
「レオン兄、何か指示を出してください。ルドルフ兄も。早く早く。」
レオンは、第7騎士団の計画書を作成を指示、ルドルフは、魔法学校の教材作成を指示した。
20分後、「凄いな。」「・・・本当に機械なのか。」
「もう見た目で機械でしょう。」
「そうだけどな、この書類を見ると信じられない。」
「この機人を1体ずつ専用体として置いていきますね。」
アレクは、後ろを向く、コソコソと何かをやっている。僕は帰りますと言って帰ってしまった。
ルドルフとレオンは何かの違和感があった。部屋の中を確認すると先ほどまでいた機人が居なくなっている。その代わりに木人が2体いるだけだった。機人とも木人が入れ替わっているのだ。アレクの仕業だな。何をやりたいんだ。
すると、その木人突然と踊りだした。ルドルフもレオンも、これには後ろに飛び剣を抜き身構えた。
そこにアレクが再登場した、「おお、成功ですね。今のは機人が命令を出してるんですよ。」
アレクは、ルドルフとレオンに説明をしていく。
「機人と木人との間で通信機能を使い、やり取りをさせているんだ」
「でも機人も木人もしゃべれないぞ。」
「あっ、それはですね、信号音です。機人、「ピッ。」この音です。」
「へぇー、それでわかるんだな。」
「機人と機人、機人から木人で理解できますね、人間と機人では無理ですね。」
「それでアレクは、機人と木人を俺たちにくれるのかい。」
「そうです、その代わりに色々と作業をした情報を貰います。それでよければ。」
「まぁ、今更極秘もないしな。それでいこう。」
「俺もそれでいいよ。」
「よかったな機人レオン。機人ルドルフ。」「ピー。」「ピー。」
「まてぇ、アレク。なんだ、その名前は、機人レオンはいい。機人ルドルフはダメだぞ。」
「何言ってるんだよ。機人レオンもダメでしょう。」
「そうですか、いい名前だと思うんですけどねー。」
「「変えろ」」
「うんーーん。しょうがないですね、一応、最初に製作したときは機人23号と24号でした。」
「それでいいんだよ。なぁ、レオン。」
「それでいいよ。」
アレクはブツブツ言いながら機人をいじっている。「これで名前の登録が終わりましたよ。」
「23号、24号頼むぞ。」「ピー。」「ピー。」
アレクは突然現れ、去っていったのだ。
今度は、ガレオン号でオリオン公国の公城まで来ている。
「父上えー。いますかー。」
「アレク、父上えーのえーはやめなさい。お前は伯爵なんだ。」
「はい、すいません。」
「で、用は何だ。」
今のアレク領の事情を説明をしていく。大森林の中に大勢の人たちが隠れ住み、暮らしていたこと。
種族の問題。開発状況等を細かく伝えた。
そして、カリーナ、サリーナも直臣に加えている。6人の直臣たちを準男爵のさせることを説明していく。
「そうか、準男爵の件は分かった。カリーナとサリーナの了解した。」
「ありがとうございます。」
「エルフとドワーフの事を知っている限りの事を聞かせてくれ。」
「エルフとドワーフですか、何かありましたか。」
「ああ、それなんだがな、エルフとドワーフがオリオン公国に救援、援助を求めてきている。」
「あああぁぁ、あいつらダメダメですね。」
「先ほどのアレクの話で、なぜうちに要請が来るのか合点がいった。」
「救援・援助を求めているのは、グラムット帝国から独立した、エルフの国とドワーフの国ですか。」
「そうだ、エルフ王国とドワーフ国だったかな。」
「エルフとドワーフの条件は何ですか。」
「ないんだ。」
「えぇ。」
「だから、ただ、助けてくれと言ってきている。」
「・・・・・・・どうしようもないですね。」
「あの者たちは、少しおかしいのだな。」
「まだいるんですか。いるなら僕が話をしましょうか。」
「おおぉ、そうか、では頼む。」
アレクは、余計な事を言ってしまったと後悔したが遅かった。
「エルフとドワーフとの話をしますが、オリオン公国としての考えを聞かせてください。」
「オリオン公国としては、無償の援助・救援はしない利益が無ければ何もしない。」
「分かりました。当然です。」
アレクは、エルフを呼び出した。
「初めまして、私はエルフ王国、大使エルミナと申します。宜しくお願いします。」
アレクは、驚いた。ボロボロなのだ。洋服もそうだが、雰囲気がボロボロなのだ。
アレクは、エルミナに詳しい話を聞いた。なぜオリオン公国に来たのか。なぜ救援・救助を要請するのか。
エルミナは、最初魚人の調査員から噂を聞き、移住してきたエルフからも話を聞いたあと、もしかしたら助けてもらえるのではと思いここまできてみたのだと。魚人に頼み込み、船で大森林を渡ってきたという。
「そうですか、グラムット帝国を挟んでどうやって来たのか疑問でしたが、川が繋がっているのですね。」
「はい、何とかここまで来ました。」
それからの話は、グラムット帝国からの独立はしたが、独立を目標にしただけで国としての運営等の事が出来ていない。辛うじて耕作地帯であるので何とか作物は取れているがいつまでも続かないようだ。
人間の隣国とは今は小競り合い程度、ドワーフ国とは不干渉となっているようだ。
「私は、昔に滅ぼされたエルフ王国の末裔でした。それで今回の建国で私の父が、王として国を創りました。私は、何としても王国民を救いたい。お願いします。助けてください。」
「・・・エルミナさん、オリオン公国と市では無償の援助はしません。何か見返りはありますか。」
「・・・・・・・・エルフの国には何もありません。・・・・」
アレクはエルミナに国の位置、廻りの状況、作物の種類、人口、産業等の事を詳しく聞いた。
「エルフの国王はどのような考えなのだすか。」
「父は、国王はエルフを貧困から救い、暮らしを楽にさせたいと。」
「そうですか。」
「少し、考えさせてください。明日もう一度話しましょう。滞在先はどちらですか。」
「・・・・あの、この城に今はおります。宿費用がなく、ここに泊まらせていただいています。」
「そうでしたか、失礼いたしました。」
アレクは、城の家臣にエルフの泊っている状況を確認した。賓客の部屋ではなく、空いている部屋を貸しているとの事だった。
アレクは家臣に指示を出し。賓客用へ移すように命じた。賓客用であれば食事の用意もされる。部屋には風呂もある。衣装も置いてある。エルミナに部屋を移るよう話をする。エルミナは恐縮していたが、一国の代表なのだからと説得をしたのだ。
次に、アレクは、ドワーフを呼び出した。
「初めまして、私は、ドワーフ国のガストと言います。」
「初めまして、オリオン公国、伯爵位を賜っております、アレクスです。よろしく。」
ガストとの話も、エルフと同じようなものであった。
ただ、王がいないため、話し合いで物事を決めているようだ。アレクはドワーフにもエルフと同じ質問をした。ドワーフは国を保ちたい自分たちの国を守りたい。というばかりで話が進まなかった。
ドワーフにもエルフと同じように部屋の変更を指示して部屋を移させた。
明日も一度話をする旨を伝える。
「明日、また改めて話しましょう、ですけどオリオン公国は、今のドワーフ国では、何もしません。一晩よく考えてください。明日が最後の話合いと思ってください。では明日また。」