850話 スライム退治開始
「反撃の時だな。」
アレクはスライム駆除に向けて準備を進めていた。カイン発案の秘儀孫の手をスキルとして迷宮に作らせ、アレク隊、オリオン王国兵に取得させていた。そして目玉武器としてブルブルバイブ破を開発していた。このふざけた名前は、カインの案である。
ブルブルバイブ破は、魔力を乗せ空気を振動させる装置である。アレクとカインの喧嘩から編み出された武器である。
「アレク、このブルバイ(ブルブルバイブ破)だけど大きくないか。」
「それは仕方ないですよ。ドラゴンが背中に背負って使うんですから。」
「えーーーーーアレク、嫌だよカッコ悪いよーーー。」
「レッド何言っているんだ。カッコいいじゃん。プっ。」
「あーーーカイン今笑った、笑ったよねー。」
「プっ、笑っていないぞ、レッド俺は絶対笑っていないからな。ププッ。」
「ヤダヤダヤーダー。」
「レッド、カッコ悪いとか今は言うなよ。これでスライム駆除できるんだから、仕事が終わったらレッド達ドラゴンにご褒美上げるから。」
「えっご褒美。アレクなにくれるの。」
「欲しい物をやるぞ。希望はあるか。」
「あるよ。ドラゴン用の迷宮作って。」
「えっ、ドラゴン用の迷宮。」
「そう、迷宮は人用ばかりじゃん。ドラゴン専用の迷宮があってもいいでしょう。」
「巨大になりそうだな。あと普通の魔物じゃ相手にもならないな。」ブツブツ。
「レッド、かかっこいいぞ。プッ。」
「・・・・・」
「いいかこのブルブルバイブ破は、かなりの広範囲を攻撃できる。だからこの大きさなんだ。それに魔力の多いドラゴンが使う事で威力倍増だ。」
「「「「・・・・・・・」」」」」ドラゴンたち
ドラゴンたちにはかなり不評であった。人で表すならば背中にポリタンクを背負い、除草剤を散布するおじさんのようである。これがドラゴンに変わっただけである。
「レッド、草の駆除もスライム駆除も同じだからな。ププ。」
「あ”あ”あ”ア”レ”ク”な”に”こ”れ”せ”な”か”が”ブルブルし”て”い”る”ー。」
「あーそれな、その装置が衝撃波を貯めるのにブルブルするんだよ。まだ開発途中だからな。」
後日、このブルブルはもの凄い人気となっていた。マッサージ機の発明へと繋がった。
「よーーし行くぞ。」
「「「「おおおおおおお」」」」
アレク達はスライムの密集地帯へと向かった。
「まだこんなにいるんだな。」
「地平線の向こうまで埋まっているな。アレクこれ全部なんて無理だろう。」
アレクとカインの見た風景は、地上を埋め尽くすスライムであった。遥か地平線の向こうまで埋め尽くされている。
スライム駆除作戦は開始された。
ドラゴンたちによりブルブルバイブ破はかなりの効果を出していた。衝撃波によってスライムの核を破壊していったのだ。順調に進む駆除であったが、スライムたちは、衝撃波を耐えるために合体していったのだ。
「拙いぞ。」
「大きいスライムを狙えー。」
「カイン兄出るぞ。」
「応。」
「あれだけ大きければ炎の纏いで中に入って核を燃やせそうだ。」
「その分酸も強くなっているぞ。」
「やるしかない。俺達二人しか出来る者がいないしな。」
アレクとカインは自身を纏い炎で包み巨大なスライムに突撃する。
「うおおおおガリガリ削られる。」
数千の巨大なスライムたちはドラゴンや兵士に襲い掛かっている。ドラゴンたも魔力を纏い戦っている。だが兵士たちは纏い自体が出来ない為に遠距離からの攻撃に終始している。
「隊長、攻撃が全く効きません。」
「分かっている。それでも攻撃しろ。けん制程度にはなる。」
「はい。」
「魔動破、うてーーーー。」
パコーーーーン。
「巨大スライム2匹消滅。」
「エネルギー充填急げ。」
「艦長、魔動破じゃ効率が悪すぎます。」
「分かっている。だがこれしかスライムを殺せないんだ。」
「艦長、エネルギーが後2発分しかありません。」
「・・・・・」
「合体前のスライムを駆除するぞ。」
「はい隊長。」
「衝撃ハンマーでスライム叩きだー。」
「「「「おーーーーっ。」」」」
ドスン、ドスン、ドスン、ドスン。
「隊長、この衝撃ハンマー重すぎです。」
「よし2班に分けるぞ、10分交代だ。」
重い衝撃ハンマーを使っている隊員達と違い一人ピコピコハンマーを使っている者がいた。
ピコ、ピコ、ピコ、ピコ。
「おっこれいいな、軽いし楽だ。」
このピコピコハンマーは迷宮産の遺物である。ハンマーでたたくとピコっと音を鳴らすのだ。
「うおおおおおお、とりゃーーーー。」
「うりゃぁぁ。」
「アレク、これきりがないぞ。巨大スライムが何だか寄ってきているような気がするんだが。」
「カイン兄もそう思いますか。スライムたちが寄ってきていますよね。」
「あっ合体した。アレク拙くないか。」
「拙いですね。でも今引くわけにはいきませんよ。このまま倒し続けます。」
「うおおおおおお、とりゃーーー。」
戦いは続いていく。アレク達の戦いの場にスライムたちが集結していく。合体していくスライムは強大化していき。魔動破にも耐える程になってしまっていた。
戦いの中
「アレク様、各地でスライムががったして巨大化しています。」
「巨大化させろ。小さいよりましだ。数が減る。」
「キリがない。ローテーションで攻撃するぞ。カイン兄一度下がろう。」
「応、腹減った。」
アレクとカインは艦へと戻ってきた。
「アレク様、まずはこれをお飲みください。」
「これって魔力回復薬だよな。」
「左様です。苦いですが効き目は保証いたします。」
「うっまずっ。」ゴクゴク、オエーーッ。ゴックン。
「アレク大変だな。俺には必要ないけどな。フフフ。」
「カイン兄は神ですからね。必要ないですね。」
「あれ、アレク。神って死ぬのか。」
「・・・どうなんでしょう。神は死なないんじゃないですか。」
「カイン、神も死ぬよー、多分だけど人の死よりも大変だよ。」
「レッド知っているのか。」
「うん。昔聞いたことがあるよ。人は死ぬと輪廻の輪に入って生まれ変わるんだけど、神に成った者は中々死なないんだって、酸とかの中で動けなくなるとそのまま苦しみ続けるよ。」
「死ねないのか。ある意味地獄だな。」
「・・・・・・マジか。」
「昔に神格化した人が何千年も苦しんで苦しんで怨念となった人がいるんだって。」
「あーそれ呪いの始まりだな。本で読んだな。」
「アレクは物知りだね。その呪いは、恨みに思う心に取り付くんだってものすごく祓うのが大変なんだよ。呪いの谷ってあるでしょう。あそこで岩と岩に挟まって動けなくなって数百年、それで地震が起きて埋まって1000年だったかな。好きな人に告白するために人気のない場所に居たんだってその好きな人がその場所に着ていれば助かったのに来なかったからね。」
「告白すらできなかったのか。」
「振られる以前の問題だな。」
「でもその子は、告白されるって知らなかったんだよ。呪いの神となった者が、彼女につたるの忘れていたんだ。告白の練習で一杯一杯で告白本人に伝え忘れたんだって。」
「そいつ馬鹿だな。」
「馬鹿だな。それでよく恨めるな。」
「最初は自分の馬鹿さ加減に根下いたんだけど、誰も助けに来ない事を恨んだんだって。」
「・・・・」
「まだ続きがあって、2000年後に助け出された時に体の肉は腐り骨と皮だけだったんだ。それでも死ねずに生きていいたんだって。元に戻る事が出来なくなったんだってさ。」
「それ嫌だな。」
「スケルトンやゾンビの類だな。」




