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832話  困惑する霊種たち

「マッカ様、この霊種の二人が話があるそうです。」

「あら昨日の二人ね。楽しいお酒だった様ね。」


霊種の二人は顔を真っ赤にしてしている。普段から種族の存続の為、日々苦労している二人である。それが昨日羽目を外してしまったのだ。溜まりにたまった鬱憤が爆発してしまったのだ。それはもう楽しい酒であった。偏見も見下しもない楽しい宴会である。何をやっても笑ってくれる人など初めて出会った。


「お恥ずかしい。少し酒を飲み過ぎたようです。」

「いいのよ。楽しく飲めればね。それで私にようとは何かしら。」

「はい、実は私ども霊種は、集落を追われ安住の地を探しております。出来ましたらドラゴン様の里の隅にでも場所を貸してもらえればと思いまして。」

「いいわよ。家の山に住んでいいわよ。」

「えっ。」


二人は唖然としてしまった。こんなに簡単に許可を貰えるとは思ってもいなかったのである。


「よろしいのでしょうか。」

「全然いいわよ、うちの山は余っているもの、好きな場所に村を作っていいわよ。でもフーリン領内だから税は治めなさいよ。姫様の領地だからね。」


マッカの許可を取った霊種の二人は、マッカの勧めもあり、カインと姫様に挨拶をするために村を彷徨っていた。


「すいません。カイン様はどちらに居ますか。」

「みてないな。」

「すいません。姫様はどちらに居ますか。」

「今日は一度も見ていないぞ。」


「おーーーい、そこの二人、カイン様を探しているんだろう。あっちの家にいるぞ。」


村人が二人をカインのいる家へ案内してくれた。


「初めまして、私たちは霊種・・・・」

「霊種、珍しいな。初めて見たぞ。」

「私たちは隠れ住んでいます。山奥に集落を作り住んでおります。」

「そうなのか、それでフーリン領に村を作りたいと言う事だな。いいぞ。」


物凄く簡単に許可を得てしまった霊種の二人であった。色々と条件や誓約をつけられると思っていたのである。簡単すぎて気が抜けてしまっていた。


そこへ元気いっぱいな姫様とパープルが現われる。


「おーーー噂の霊種じゃぁ。」


二人は、すぐに姫様だと気づく。


「姫様であらせられますか。」

「そうじゃ。ワラワが姫様じゃぁー。」

「この度、ドラゴン様の山に移住する事となりました。宜しくお願いいたします。」

「おおー、フーリン領の民になるのか、美味しい物がいっぱいあるのじゃ。」





その頃、山から村をうかがっている霊種の者達は、緊張していた。夜が明けてみれば、村の外には軍隊が駐留している。幸いだったのは、軍の反対側にいた事であるだけである。


「レイジ。まだ戻らないのか。」

「あーまだ戻らない。」



レイジは、村へ行った二人が戻らない事で身動きが取れなくなっていた。二人が殺されるか捕らえられていれば、すぐに逃げる事にしていた。それは村の雰囲気で分かると思っていたからである。

だが村の雰囲気は全く変わらない。夜遅くまで酒を飲み騒いでいた。霊種が村へ入った事等無かったような雰囲気であった。


「村の動きはどうだ。軍隊の動きは。」

「レイジ、二つとも何も変わった様子はない。」

「どういうことだ。普通霊種を見つければ騒ぎになるだろう。追い出されるか、山狩りになるかだ。」

「ドラゴン様の影響としか考えられないな。こんな反応のない村は初めてだ。」


身動きの取れないレイジたちは、村を監視していた。そこにフラフラしながら向かってくる人影を見つけたのである。



「長ーーー。」

「オーー、レイジ。」


元気に手を振る二人であった。


「長、もう少し音量を落としてくれ。頭が痛いんだ。」

「フフフ珍しいな。いいや初めてではないか、そんなに酔ったのは。」

「初めてだな。あんなに何も気にしないで飲んだのは初めてだな。」


「「ハハハハハ。」」


二人は大笑いをしている。唖然と様子を見ている霊種たちであった。


それから霊種たちに長が説明していく。


「「「「「「おおおーーーーーーーー」」」」」」


大きな歓声が上がる。




そして約200人者霊種たちが山から現れる。


村へ入ると、村人たちから大歓迎を受けていた。


そして酒抜きの宴会(食事会)が開催されていた。姫様からの歓迎の印であった。






村長宅


「カイン様、一つ宜しいでしょうか。」

「村長どうした。」

「霊種の事ですが、この地方で噂があります。霊種はミスリルと作れると言う噂です。」

「へーあいつらミスリル作れるのか。凄いな。」


村長はカインの反応に驚いてしまった。ミルリルは貴重な金属である。ミスリルがあれば高性能な武器や武具を作り戦力アップできるのである。売っても高値で売れるためにフロンティアの者達は目に色を変えて探しているのである。


「噂ですが、私は真実だと思いなす。」

「別に何方でもいいだろう。俺が作れるわけでもないしな。」

「カカカイン様ミスリルですよ、ミスリル。」

「ミスリルなんてアース大陸に腐るほどあるからな、別に珍しくもないぞ。」

「えっ・・・・・・・・。」


村長、衝撃が強すぎてそのまま気絶してしまった。


「おーーい。村長大丈夫かー。」

「はっ、だだ大丈夫です。みみみミスリルが腐るほどあるのですか。」

「あーあるぞ。アース大陸では迷宮から取れるからな。多分価格もフロンティア大陸の半分以下だろうな。」


村長の目がキラリと光っていた。この村長商人にあこがれていたのだ。



「カイン様、輸入できますか。」

「出来るぞ。レッドか他のドラゴンに運んでもらえばいいだけだしな。」

「ぜぜぜ是非お願いいたします。」


カインは軽く請け負っていた。


そこへ、爺が入ってきた。


「カイン様、メイシス軍が引き上げています。」

「そうか、一部は残ると思っていたんだけどな。」

「カイン様に気を使ったのでしょう。」

「まぁどちらでもいいか、戦争になるんだからな。」

「カイン、いいの本当に戦争を興したら、アレク達に怒られるよ。」

「レッド心配するな。戦争は俺が興すんじゃないぞ。俺たちは攻めれれるんだ。仕方なく撃退するだけだ。それに攻められたら仕返しはしないとまた攻められるからな。」


カインの理論は無茶苦茶である。あきれ顔のじいであったが何も言わなあった。カインは強いのだ。カインがフーリン領を守ってくれるのである。周りの敵を排除出来ればフーリン領は安泰である。ドラゴン景気に乗った今のフーリン領はまさにバブル景気である。



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