824話 夢のセレブ生活
私は、この数日夢のような生活をしている。
高級宿に泊まり、朝、8時に朝食、10時から2時間オリオン王国の調査に協力、昼休みは2時間もある。そして午後2時から5時まで又協力して5時半には、仕事が終わる。
こんな生活では、ダメ人間になりそう。
前は朝5時に出勤して建物の掃除、7時からは各商人たちの対応と夜10時まで働き詰めだった。それが今やセレブ?じゃないけどセレブみたいな生活をしている。
あんな雑談話を覚えているだけでこんな待遇をしてもらえるなんて夢のよう。ウフフフ私はお姫様になったのよ。あっいけないこんな夢のような生活がいつまで続く事なんてありえないのよ。一日2食、銅貨20枚で生活するのよ。いけないいけない。自分を見失いそうだったわ。
早速、この高級宿の朝食よ。なんてったって美味しいのよここのフレンチトースト牛乳と卵に蜂蜜を一杯かけてガブリとする。口の中が幸せになる。あーなんて美味しいのこのスライスしたローストビーフもたまらないわ。見ているだけで涎が、ジョルり。はっ誰も見ていないわよね、はしたないここは高級宿なのよ。
「やぁメリーナさん。おはよう。」
「あっ、管理官さん。おはようございます。」
「今日は、午後から商都のお城で話を聞きますので宜しくお願いします。」
「はい、少し楽しみなんです。お城に入れるなんて嬉しくて少し寝不足です。へへへ。」
「そうですか、いつも通りの話ですから、気楽にね。」
私は、午前中商業ギルドでいつものお話をして、ゆったりした昼を取りながら、護衛の方たちとお城へ向かっている。歩きじゃないのよ。馬車よ馬車。馬車なんて初めて乗ったのよ。お姫様になった気分だわ。
そしてお城の中を歩いている。私の周りに護衛の方たちが4人もいる。私は何者なの、お姫様よ、いいえ一般人ですごめんんさい。頭の中で処理しきれないわ、こんな生活は続かない。これ絶対よ。夢は見ない、妄想は少しだけ。私は一般人、私は一般人・・・・・。
今、お城の偉い人と会っている。みんないい人ばかり、商業ギルドの人とは違う。言葉使いもみんな丁寧でこちらの方が商人のようだ。あっ、こちらはお城の人たちだ。こっちの方がみんな偉いのよね。失敗失敗。
「それで、メリーナさん。どうでしょうか。このオリオンで働いてみませんか。」
「是非、お願いします。」
私は二つ返事で答えた。何とあの高級宿に住めるのです。そしてなんとお家を貰えるのです。お家が出来るまで高級宿で生活できるんです。人がいなければ頬を抓っています。
「メリーナさんには、記録係をお願いします。このオリオン王国は広く、広大です。今このオリオンは役人が全く足りていません。メリーナさんには機人を2体お預けいたします。」
「機人というと、あの伝説に出てくる機人でしょうか。」
「はいそうです。」
何を言っているのこの男は、伝説の機人ですよ。伝説ですよ。オリオン王国って凄いの?まぁ大きな国と分かっていたけど、想像以上だわ。
私に務まるのかしら、心配になってきたわ。
そして私は、大きな部屋に連れて行けれた。何この部屋、大きな机に横に普通の机、そして中央に大きなフカフカソファー、何てお金持ちの部屋なの誰が使うの、又偉い人が出てくるのかしら。
「メリーナ様、この部屋をお使いください。」
「えっ。」
わわわ私の部屋なの、ここはお金持ちの部屋よ。貧乏人の部屋じゃないのよ。こんなソファー汚したら弁償できないわ。使えないわ。
私は今一人ぽつんと部屋の中に立っている。椅子に座れないわ。もし汚したら弁償出来ないと考えてしまう。
コンコン。
「あっはい。」
「あれ、この部屋気に入らなかったかな。」
「いいいいえ、物凄く高そうな部屋です。」
「あーーー、すぐになれるよ。この部屋の者は全て君の私物扱いだから壊しても問題ないよ。」
えーーーー、何言っているの管理官さんは、こんな高級机やソファーが私物になるの売れば一生暮らせるわよ。
「仕事なんだけど、これから色々な人と面会がある。面会する人達は、私たちが話すから君は黙って座っていてくれればいいよ。後で会話を機人に伝えてくれ書き写すからね。」
「あのー、最初から機人では拙いのでしょうか。」
「拙いね。面会者たちは機人がいると何もしゃべらなくなるんだよ。だから君の記憶力に頼るんだ。」
「はい分かりました。」
何、私の記憶力、この管理官さんは知っているのかしら、まぁ記憶が少しいいぐらいの感じよね。
それよりお給料よ。商業ギルドの見習いの20倍よ。それに家付き食事つきよ。
私はとうとうこの高級宿を後にすることになった。さよならセレブ生活、さよなら夢の上げ膳据え膳。
少しだけ悲しいわ。夢の生活だったわ。だけど私はくじけない。家よ我が家よ。
馬車に乗った私は初めての我が家に向かっている。一人だし台所と一部屋もあればうれしいな、宿と違い買い物もしなければいけないけど、自分の家なんて初めてだわ。少しワクワクしてしまっているわ。
私は、段々と気落ちしてきている。ここは商都のお城の周りよね。お城に先に行くのかしら早くお家が見たかったわ。仕事の後のお楽しみでもいいけどね。
馬車は、大きなお屋敷の前で止まった。
えっ誰か来るの。違った。
私の家だった。
えーーーーーーー、何この家、家じゃないわ。お屋敷よ。貴族の家よ。こんな大きな家掃除で休みが潰れるわ。いらないわ。私には一部屋あれば十分よ。
私はお屋敷の中に入っていく、そしてそこにはイケメンな男が立っている。
何このイケメン。
私のドストライクよ。もう死んでもいいわ。このイケメンを見れただけでもう私の人生終わってもいいわ。
「ご当主様、私はご当主様の家宰を務めます。ドウレ・スレーンと申します。」
「・・・」
苗字持ちが何で一般人の家宰何それ、家政婦じゃないの?意味が解らないわ。
イケメンドウレさんは、後ろに控えている料理長、メイド長を紹介している。頭に入ってこないわ、まぁ記憶には残っているけど、頭がボーっとしているのよ。
一般人に苗字持ちは拙いわよ。オリオン王国は常識ないの。
「ご当主様、ご当主様はこれからは女爵となります。」
「えっ。」
私はこの言葉で周りをキョロキョロする。
そして管理官さんがアチャーっという表情をしている。
「ごめんごめん。つたえるの忘れたよ。メリーナ・オリンズ女爵。」
「えーーーーーーーっ、オリンズ??」
そして私は女爵となっていた。