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809話 ドラゴン一家

拝啓


アレク・オリオン様、お元気ですか。

私こと、カインはフロンティア大陸にて忙しく働いております。毎日毎日オリオン王国(カイン王国)の為に情報を仕入れ(食べ物)オリオン王国の発展の為に尽くしております。そこで一つ問題が発生いたしました。

何と、群雄割拠のこのフロンティア大陸の中でオリオンと同盟を結びたいと言う領地が現われたのです。このカイン、オリオン王国発展の為に、同盟締結を模索しております。

同盟希望のフーリン領は、治安が良く、商売も盛んな地域です。後々はアース大陸にもオーク屋が店を出すでしょう・・・・・・・・省略。


あっ同盟締結において、一つ姫様にプレゼントを渡したいと思います。迷宮でチョコチョコっと小型の可愛いドラゴンを1体送ってください。


貴方の頼れる兄とよき友レッドからの最初から数えて100回目ぐらいのお願いです。


いつも頼れる兄。カイン。





「何だこの手紙は。」

「カイン様からの近況報告です。」

「お願いばかりだぞ。」

「知りません。」

「可愛いドラゴンなんだこれー。」

「情報によりますと、カイン様はフーリン領にて姫領主といい関係になっております。」

「なに本当か、カイン兄ぃ。大丈夫か側室10人じゃ足りないのか。」

「その事は分かりませんが、カイン様はフーリン領をオリオン王国に組み込むようです。」

「何やっているんだ。そんな余裕はオリオンにはないぞ。すぐに止めろ。止めさせろ。」

「無理です。ドラゴンでフーリン領を守らせるつもりなのではと思います。」

「ドラゴンで守らせるか、それは分かるが、かわいいドラゴンとはなんだ。」

「姫様の希望との事です。」

「・・・・・」



この秘書官、カインと面識があった。カインの頼みを聞いた形となったのだ。

秘書官としては、オリオンに不利益がないことでの協力である。後々にはオリオン王国躍進の起点になると考えての事である。その時秘書官の英断が評価されるのであろう。多分である。



「そう言えば、レッドの孫が生まれたな。」

「はい、この間クロ様が仰っておりました。」

「レッドの孫を連れて行けばいいだろう。」

「では、親とお孫さんを一度この城にお呼びいたします。」

「そうだな手配してくれ。」



数日後


「アレク様、お呼びにより参上いたしました。」

「よく来てくれた。マッサオとマッカとその子は」

「パープルです。」

「パープルかいい名前だな。」




すやすやと眠るパープルは、夢の中で巨大な敵と戦っていた。




「アッサオとマッカに頼みがあるんだ。子と共にフロンティア大陸のレッドの所に行ってもらえないか。」


「父の所ですか、カイン様と一緒にフロンティアへ食べ歩きの旅をしているとの事ですが。」

「食べ歩きではない。調査だ。まぁ食べ物の調査が9割だろうがな。」

「フロンティアで何か問題が出たのでしょうか。」

「いいや、レッドとカインが仲良くしている領地があってな。そこの防衛を頼みたい。まぁ休暇だと思ってくれ。数年で後退させるから。」

「分かりました。寝床と美味しい物と山一つで受けましょう。」

「それは大丈夫だ、レッドが手配しているはずだしな。」

「アレク様、だから信用できないのです。アレク様が手配しなければいきません。」

「もしかしてレッドって信用無いのか。」

「あれをご存じですよね、信用できますか。」

「レッドは信頼できるぞ、戦いで逃げたりしないからな。」

「戦いでは信頼できるでしょう。で・す・が普段の生活では全く信用できません。母がどんなに苦労したか・・・・・・くどくど・・・。」


「わ分かった。マッカ、そのぐらいにしておけ。子供が起きるぞ。」」

「あっこれは失礼を。」

「マッサオはフロンティアに行く事は問題ないか。」

「問題ないです。山一つ貰えるのであれば、そこで農家をやりたいですな。」

「農家やりたいのか。変わっているなー。」

「そうでしょうか、今ドラゴン内で流行っているんです。自分の土地を持ってスローライフが今一番熱いんです。」

マッサオは語っていた。アレクには理解できない事であったが、スローライフにかける意気込みだけは伝わっていた。


「がんばれよ。」




こうしてドラゴン一家のフロンティアへの旅が始まったのだ。



浮遊島へ戻ったマッサオ一家は引越しの為にご近所への挨拶などを行なっていた。



「マッサオ。俺も連れて行ってくれ。」

「無理ーーー。」

「そこを何とか親父を一緒に説得してくれ。頼む。」

「俺が殺されるぞ。そんな事したら。」

「むむむっ。」

「マックロ自分で説得して後で来いよ。その時は歓迎するから。」

「フロンティアは、広いんだよな、俺にも山一つぐらいあるよな。」

「マックロ情報は流してやる。だがその前に嫁さん探せ。そうでないと誰も許可出さないぞ。」

「ヌグググッ。クソー。やっぱり嫁かーー。」

「当たり前だろう。このままじゃ独り身だぞ。」

「俺はドラゴンの嫁は要らないんだ。何で分かってくれないんだ。」

「なら人と結婚するのか。かなり無理があるぞ。」

「いいや竜人と結婚する。」

「はぁぁぁぁ?それこそ無理だろう。竜人なんて居ないだろう。」

「いるんだ。フロンティア大陸にいるんだ。」

「まさか、本当なのか。人とドラゴンの子孫・・・・」

「本当だ。フロンティア大陸からの商人の情報だ。フロンティアではかなりの勢力を持っているようだ。」

「分かったよ。連れて行ってやる。その代り連れていくだけだ。俺にも家族があるからな。」

「嗚呼、それで構わない。親父には置手紙を置いていく。」




とうとう旅立ちの日



「「「「いってらっしゃーい。」」」」


「みんな元気でなー。お土産持ってくるからなー。」


アレクの手配による高速艦を先頭にドラゴンの夫婦と子供が飛んでいる。隠れるように追ってきているドラゴンがいるが誰も気にしていなかった。



「はぁいい旅だな。」

「そうね。坊やもすやすや眠っているし。」

「ホントいい子だよな、ぐずらないし、食べるか寝ているだもんなー。他の子はもっと大変みたいだぞ。」

「そうなのよね。この子、たまに夢でも見ているんでしょうか、トー、ヤーとか言っているのよ。」

「アハハハハ、それは将来有望だな。レッド義父のようになるかもな。」

「それは絶対嫌だわ。この子は学者さんになってほしいわ。」

「子供は自由にさせてやろう。なぁマッカ。」

「そうねマッサオ。分かっているわ。ウフフフ。」





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