802話 神の仕事
「レッドが人間になったぞ。」
「マジか。」
「人だな。」
「みんなどうしたの、僕は人化が出来るようになっただけだよ。だって不便でしょう。お風呂とか、お風呂とかご飯とか。」
「風呂と飯の為か。」
「へへへ、だってご飯は大事だよ。美味しい物を食べると幸せな気持ちになれるからね。お風呂もハァーって気持ちになれるでしょう。」
レッドの言う事は、最もである。美味しいご飯を食べれば、気持ちが落ち着くし豊かな気持ちになれる、お風呂に入れば疲れも取れるし、ゆったりした感じになれる。
「気持ちは分かるけどな、ドラゴンの姿でも同じだろう。」
チチチッ。
「違うよ、アレク。ドラゴンだと羽が邪魔で背中が洗えないんだよ。それにナイフとフォークが上手く使えないんだ。」
アレクはこのドラゴン一度殺してやろうかと思ってしまった。ドラゴンがナイフとフォークを使って飯食うなと思うのであった。
「レッド、お前は神に成ったのか。」
「よくぞ聞いてくれました。エッヘン、それでは発表しまーす。僕は龍神になりましたー。」
「「「普通だな。」」」
「ドラゴンの神だろう。レッド。」
「そうだよカイン、偉いんだよ、凄いんだよ。龍神だよ。」
「でもレッド、ドラゴンの中じゃ一番強いよな、それに長生きだろう。今と何も変わらないじゃないか。」
「あっ、変わらないね。アハハハハ。」
「まぁ後は他のドラゴンたちがレッドを敬うかだな。」
「えっ、それは間違いないよ大丈夫だよ。あれ、何でみんなソッポを向くの。なんでなんで。」
「「「・・・・・」」」」
「アレクそれより戦争はどうするんだ。」
「カイン兄、戦争ってこのタンドラ大陸の事ですか。」
「違うぞ。天界との戦争だ。」
「はぁ?誰が天界と戦争するんですか。」
「あれ、アレクが神に成って天界を支配するんじゃないのか。」
「誰がそんなこと言ったんですか。」
カインはレッドを見る。
「えええっー、僕が悪いの違うよ。噂でアレクが神に成るって町中の噂だもん。それに天界から見放されたって噂だもん。アレクは敵がいないとダメ人間でしょう。だから敵を作るんだもん。」
「お前何言ってんだ。俺が敵がいないとダメ人間だとそれはカイン兄だろうがー。」
「おいアレク、俺がいつダメ人間になったんだ。」
「カイン兄、自分で分かっていないんですか、戦闘狂なことを理解していないんですか。」
「俺が戦闘狂だと、レッド程喧嘩好きじゃないぞ。」
「あーーーーカイン、僕を巻き込まないでよ。僕は平和主義者だよ。他のドラゴンもみんな言っているもん。」
「「「「何処がだーーー。」」」」
「アレクさん、ここは落ち着きましょう。先ずはカインさんは武神となりました。そしてレッドさんは龍神となりました。このアースで4神となったのです。」
「応、そうだった。4神いれば何とかなるか。」
「なりますね、まず生命関係はこの生命の神である。私が担当いたします。スキル関係と人々を導く事は美徳の神に担当してもらいます。カインさんは、眷属を作り戦いに備えてください。」
「戦いに備えるのか。いいないいな。」ウキウキ。
「待ってくれ、戦いに備えるってなんだ。」
「それはですねアレクさん。この惑星アースは天界から見放された星です。今アースは無法地帯となっているのです。外からの侵略に無防備なんです。」
「外からの侵略だとそんな事があり得るのか。」
「ないとも言えません。ですから外敵からの防衛を考えておかなければならないのです。レッドさんも同じです。アース最強の生物である。ドラゴンの頂点に君臨するレッドさんはドラゴン種や魔物たちを纏めてもらいます。」
「僕、ドラゴン種の頂点、頂点いい響きだなー。うへっ。」
「天界や他の神々は星や人には全く興味がありませんから万一に備えです。」
「そうなのか、ならいいが。それより何かこの場所いい気持だな。」
「あっ分かりますか。この迷宮が神域になってきているんですよ。神のいる場所は神域になるんです。」
「神域ってなんだ。魔力とは違うようなだな。」
「違いますね。神域は神の領域です。神域の力が大きくなれば不毛の地も蘇ります。」
「そうなのか、魔力ではあんな広範囲無理だからな。」
「ならこのタンドラ大陸は大丈夫だな。」
「はい、問題ないでしょう。豊かな大地に戻ります。」
「よし、それなら生命の神にタンドラを任せる。頑張ってくれ。」
「はっ、何言っているんですか。神が人を支配する訳ないでしょう。」
「ダメなのか。」
「ダメに決まっているでしょう。人は人、神は神です。」
「誰がこのタンドラを治めるんだよ。」
「「「「アレク(さん)だろう。」」」」
「俺は、やらないぞ。オリオン王国だけで精一杯だからな。」
「アレクさん、それは無責任という物です。過去にこの惑星で幾つもの国が建国されました。望んで王になる者、人に担がれて王にされる者とおりますが、政治力の無い者が国を創っても持ちません。国の形が整うまではアレクさんが治めるべきです。」
「そうだぞアレク。お前がやらなきゃ誰がやるんだ。」
「分かりましたよ、細かい事はマリア姉とイリア姉がやりますから大丈夫でしょう。」
「流石、アレクだな、丸投げだな。アハハハハ。」
「カイン兄にもいっているんです。カイン兄も統治者ですよ。南の地域はカイン王国ですから。」
「えっ俺は忙しいし、そうだ俺は神だからやれないな。」
「カインさん、大丈夫です。カインさんは亜神ですから今は人の領域に居ます。死ぬまで働いてください。」
「アアアレク、この生命の神少し怖いな。」
「カイン兄もそう思いますか。俺も今そう思いました。」
「お二人とも何か言いましたか。」
ブルブルブル。と首を横に振る二人。
「一度マリア姉たちと話し合わないといけないな。」
「それならこの神殿にお呼びしてはどうでしょうか。この神域を理解してもらえれば説明を省けますよ。」
「そうだな下手な言葉はいらないよな。」
アレクは、アース大陸からマリア、イリア、そして両親たちを呼ぶことにした。
「アレク、親父たちも呼ぶのか。」
「呼びますよ。アースに国を持っているんですから。」
「そうだな、だけど何かモヤモヤするんだよな。俺はそこに居てはいけない気がするんだ。」
カインの第六感が教えていた。逃げろカイン。避難しろカインと訴えていたのであった。




