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793話 生命の泉

「お前らは皇帝の敵じゃな。」

「まぁ敵ですね。如何しますか戦いますか。」

「そんな事はせぬよ。こんなババーでは敵わぬだろう。」

「まぁ俺たちも殺したくはありませんからね。それより皇帝の体はここにあるのですか。」

「あるぞ、きちんと保存されとるぞ。」


お婆さんは、アレク達を皇帝の体が安置されている場所に案内していく。



「此処じゃ。」


そこには大きな棺が置いてあった。


「アレク、これ本当に皇帝か。」

「・・・・・」

「皇帝だな。私は皇帝の姿を知っているからな。」


そこにはすらりとした好青年の姿があった。あの魔力で出来ていた皇帝の姿からは想像も出来ないものであった。


「皇帝若くないか、何十年も帝国を支配していたんだろう。いいおじいさんじゃないのか。」

「アレク、これは高文明の時代には医療が発展していたんだ。細胞の活性化、再生などを使って若返りの分野は飛躍的に伸びていたんだ。人の平均寿命は250歳ぐらいになっていたんだ。」

「はっ250歳、エルフじゃないですか。」

「まぁ似たようなもんだな、それよりも細胞も永遠じゃないんだ。幾度も繰り返していれば劣化していく。皇帝はもう再生できない程劣化しているんだ。外見は若いが300歳を超えるご老人だな。」

「だから保存しているんですか。」

「そうだろうな。皇帝自身が研究していたようなだからな、いつかは復活させるつもりだったんだろうな。さっさと燃やすぞ。」


「待ってくだされ。このババも一緒に燃やしてくれんか。」

「婆さんなんでだ。今ならば帝国も存在していない。外に出ても構わないだろう。」

「いいえこのババはもう外の世界には興味も何もありません。ただもう死にたいのじゃ。あの時の仲間も子も夫もいなくなりましたのじゃ。あの子らの元に行きたいのじゃ。如何か願いをかなえてくれんか。」

「婆さん、死ねないのか。」

「・・・・そうじゃ。このババは永遠の命を持っている。」


それはまだ帝国が地上にあった頃、皇帝は永遠の命を求め研究していた。その時の研究所所長がこのお婆さんであった。永遠の命の研究は多岐に渡っていた。細胞の再生から移植、又は儀式のようなものまで色々と行なっていた。中でも生贄や召喚の儀式は成果を上げていた。


生贄儀式の最中に事故が起きたのだ。それは偶然が重なった事故であった。一人の助手が手順を間違えた。その間違えを誰も気づかなかった。ほんの些細なものであった。

儀式の最終段階で間違いに気づいた助手は、皆に気付かれないように間違いを直そうとしていた。そして生贄の魔法陣を広げてしまったのだ。魔法陣は義式場全体に広がりその場にいるすべての者達を生贄としてしまった。数十人の生贄をささげた、その儀式は儀式を行っていたお婆さんに永遠の命を授けてしまったのだ。

永遠の命と言われているが実は永遠ではない。天界の泉と繋がってしまった事で永遠に近い寿命となったのだ。だが老化は抑える事が出来ない。再生などによって何とか生きていけるだけである。


「泉と繋がったのだな。よし断ち切ってやる。」

「泉とはなんじゃ。」

「婆さん知らないのか、まぁ天界の事等知っている者はいないか。」


アレクスは婆さんやアレク達に天界の泉の事を説明していく。


「へーその泉で魂をいやすのか。」

「簡単に言うとそうだな。魂をいやせるほどの泉だ。肉体ぐらい生かすことは出来る。だがこの世では老化を止める事は出来ないからな、ミイラになっても生きていると言う事だな。」

「それ悲惨だな。物が食べれ無くなっても死ねないと言う事だろう。」

「そうだ、体が動かなくなった者が食べれ無くなっても死なない、死ね事ができないな。それ程泉は生命力を宿しているんだ。」

「どうやって断ち切るんだ。」

「上にアレクスがいるからな。問題ない。」

「あーーそうか上に報告すれば解決してくれると言う事だな。」

「そうだ、泉は上でも重要施設だからなすぐに対応してくれるはずだ。」




そうこの事実は天界で大問題となっていた。


「なにぃぃぃ、生命の泉と下界が繋がっておったじゃと。」

「申し訳ございません。糸より細い、0.0000000001ミリの魔力糸が泉の中に入っておりました。」

「それがアースの住人と繋がっていたと言う事か。」

「はいさようです。」

「緊急会議だーー。全ての責任者を呼べーー、今すぐじゃぁぁぁ。」





「それなら死ななくていいじゃないか。」

「そうなのだがもう体が動かんのだ、疲れたのだ。お主たちならばこの体を灰も残すことなく消すことが出来るじゃろう。」

「まぁ出来るだろうな。だけど少し待ってくれ。今上で協議しているんだ。今婆さんを殺すとその繋がっている線は地上にたれ下がったままになってしまうんだ。その処理をしてからだな。」

「そうなのか、分かったまだ少しだけ生きていよう。じゃが必ずこのババを殺してくれ。」

「ああ分かった必ず殺してやるから安心しろ。」


お婆さんはしわくちゃな顔がさらにしわくちゃになって喜んでいた。アレクは一瞬お婆さんが若く見えてしまった。目を擦ってもう一度見てみるとお婆さんであった。


「ほっ。」


「アレク、皇帝はどうするんだ。もう燃やしてしまうか。」

「アレクス、どうするんだ。」

「そうだな、今はこのままにしておこう。上(天界)の方針が決まったら処理しよう。」


アレク達は一旦、元の場所へと戻る事になった。もちろんお婆さんも一緒である。

カインに背負われたお婆さんは嬉しそうであった。


「婆さん。大丈夫か。」

「大丈夫じゃよ。カイン。」



迷宮核の部屋に戻ったアレク達


「迷宮さん、下にあった・・」

「アレク、知っているよ。この迷宮内の事は全て知っているんだ。説明不要だ。」

「そうか。」

「それより、ここにいつまでいるんだ。」

「そうか、外の奴らに連絡しないとな。カイン兄、レッド達を呼んで来て。」

「そうだな。ドラゴンの魔力供給はもういいのか。」

「いいやまだやっていてもらう。俺たちが出るまではこのままにしておこう。レッドだけ呼んで説明しないとな。」




「おっアレク。上で揉めているようだな。」

「何が揉めているんだ。」

「・・・ん、泉の管理問題だな。」

「そんなの俺たちには関係ないな。」



天界


「生命の泉の管理責任者は誰じゃ。」

「・・・・・おりません。」

「はっ、おらんじゃと各泉には管理者がおるじゃろうが。」

「はい泉には管理者がおります。ですが今回の生命の泉の管理者は亡くなっております。」

「何じゃと天界で死人が出たのか。」

「いいえ天界では死人は出ておりません。休暇中地上でなくなっております。その後に担当者不在となっておりました。」

「なぜ後任を決めんのじゃ。」

「・・・・泉の管理は神級の者になります。神級の者はこの天界に5人しかありません。その4人も各泉の管理をしております。残す神級は議長しかおりません、以前に打診したところ議長は後任を決定しませんでした。」

「・・・・・・・・ワシは拒否したのか、最近ボケて記憶が無くなるのー。」


みんなが議長を白い目で見ていた。

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