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785話 最後の切り札

邪気それは、タンドラ大陸において、戯れの部下、家臣という位置付けである。戯れが王としたならば、邪気は貴族という立場である。


邪気の中にも色々な者達がいる。一般的な邪気は怠け者、傲慢、我がままであるが、中には几帳面でまめな者もいる。

その貴重な邪気の一人が、特攻を提案した邪気である。



「俺は、死の騎士団で辛い訓練をしてきた。いつか英雄になって豪邸に住んで出世するんだ。」

「新人夢は捨てろ、出世は無理だぞ。出目が最優先だからな、ガハハハ。」

「そうだぞ、俺たちのように親が騎士でない者は一生平騎士どまりだ。アハハハ。」


「「「「アハハハハ。」」」」


この邪気は、悔しかった。邪気同士でも虐めは存在する。新人であり少し優秀である新人は古株たちにいじめられていたのであった。

新人は最初自分がいじめられている事に全く気付いていなかった。騎士団である優秀な者達がまさかいじめなどという事をするとは思ってもいなかったのである。


虐めに初めて気づいたのは共同食堂であった。食堂での夕食時に自分だけメニューが違っていた。家畜である人間の餌が皿に乗っていたのだ。


「何だこれは、餌ではないか。」


新人は周りの視線を感じた。周りの者達はニヤニヤと新人を眺めている。


「おー新人よー。お前は今日から家畜と同じものを食べるんだよ。これも訓練だな。」

「そうだそうだ。訓練だ。」

「「「「訓練、訓練、訓練、訓練。・・・・」」」」


それからの新人は地獄であった。騎士団を止める事も出来ず。毎日のシゴキに堪えるだけであった。

そして訓練を続ける新人の姿を団長が見つけたのだ。

団長考案の厳しい訓練を黙々とこなす。新人の姿に団長は感動してしまった。

自分考案の厳しい訓練を率先しておこなしていく姿に未来の英雄の姿を見てしまったのである。


「おいそこの騎士、名は。」

「はっ死の騎士団第3部隊、第4小隊 レスイです。」

「レスイかよしお前を我が親衛隊に任ずる。」


団長の一言で新人レイスは親衛隊小隊長へと大出世したのだ。小隊長と言っても一人しかいないのだが、出世は出世である。






「おう、いいか新人よー、団長は見事な戦死をしたんだ。そして親衛隊は解散だ。」

「ガハハハ、団長がいないんだ。親衛隊はもうなしだな。」

「そうだそうだ。」

「くっ。」


レスイにも分かっていた。親衛隊は団長がいてこその親衛隊である。団長がいなければ元の新人に戻るだけである。


「俺は親衛隊だ。一人でもドラゴンに傷を負わす。」


剣を抜き騎馬と共に駆けようとした時、それは起こった。


レッドドラゴンの尻尾が古株たちを直撃したのだ。レッドはただ歩いていただけである。お尻フリフリしていたわけではない。普通に歩いていただけである。少しだけ尻尾を振っていただけである。


「「「「グギャーー。」」」」


ハッと気づいたレスイの目の前にはレッドの尻尾があった。そして直撃は免れたが風圧で遠くに飛ばせれていった。


「あれーーーーー。」


レッドとカインは全く気にすることもなく、都市の中央付近を歩いている。邪気たちをさがしているのだ。邪気たちは逃げ足だけ速かった。


速攻でいなくなっていたのだ。


「レッド邪気たちいないな。」

「うんそうだね、このところ逃げ足だけは上達しているよね。」

「そうだな、逃げの邪気だな。」




大声でしゃべるレッドとカイン、二人のやり取りをに苦々しく聞いているゲルググの姿があった。



「待たせたな、ドラゴン。余の都市を壊した報いを受けろ。」

「えっ誰。」

「きききさま、余の事を知らんのか。余は中央都市の支配者であり、王であるゲルググ様だ。」

「おーーー此処の王か。丁度いい殺そう。」


カインはゲルググに突っ込んでいく。ゲルググは余裕でカインの攻撃をかわしていく。


「おー中々やるな。普通の戯れよりいいかもな。」

「貴様、家畜の分際で余を戯れである余を・・・・・」


屈辱に言葉にならないゲルググであったがそんな事を気にするものはいなかった。


「オラオラオラ、行くぞー、戯れーー。」


カインの攻撃が激しくなっていく。必死になっていくゲルググ。


「ききさま許さん。」


ゲルググはカインの相手をしているが、目的はドラゴンである。カインとの戦闘は見せかけであり、ドラゴンを仕留めるために演技である。

実際必死でカインの攻撃をかわしているが、カインに対して一切の攻撃をしていない。


ジリジリとドラゴンの死角に入っていくゲルググである。カインとレッドは全く気付いていない。



「其処だーーー。」


ゲルググはドラゴンの死角に入った瞬間に隠し持っていた毒をレッドに投げつけた。


バリーーン。


ゲルググの投げつけた毒の瓶はレッドに当たり粉々に割れた。そして毒はレッドに付着していった。


「ガハハハ、我が秘伝のドラゴン殺しの毒だ。どうだ動けまい。苦しいだろう。死にそうだろう。」


ゲルググはしすこしだけ誤解していた。死の騎士団がレッドに傷を負わせたと勘違いしていたのだ。もし少しでもレッドに傷があれば猛毒であるドラゴン殺しで半日ぐらいは寝込んだかもしれない。


だがレッドには傷一つなかったのだ。


「ん、なにこれベトベトするね。 ウオッシュ。」


全く効いていない事に気付いたゲルググは、速攻で逃げ出していた。


(なぜだ何故だ、どうして効かないのだ、余のドラゴン殺しは完ぺきだったはずだ。騎士団は傷を負わせた。余がこの目で見ていたのだ。あのドラゴンは特殊なのか、そうだそうに違いない。それでなければ余がこんなに必死(優雅)逃げる(転進)事等ありえない。)


必至に逃げるゲルググの姿は、まさに腰が抜けて手足を必死に動かしてハイハイしているようであった。


レッドとカインはその姿が余りにもおかしくて笑い死ぬ寸前であった。


「あいたたたた。お腹が痛い。ハハハハ。」

「笑い過ぎて頬が痛い。ハハハハハハハ。」

「く苦しい。あいつ芸人になれるな。ハハハハ。」

「だよね、普通霧になって逃げるよ一応戯れだもんね。ハハハ。」

「ダヨナー。ハハハハハ。」


屈辱のゲルググであった。必死になって逃げた事で何とか生き延びたゲルググである。カインとレッドを目の前にして生き延びた初めての戯れであった。



「て撤退だー。」


ゲルググは用意周到であった。万一の時の為に地下都市(村規模)を建設していたのである。

城に逃げ帰ったゲルググは急いで地下都市に逃げていった。


「レッドついでだから城を壊しておくか。」

「そうだねカイン。」


地下都市の出入り口は城にあった。


ゲルググの自慢のお城は瓦礫となってしまった。


そして地下都市の出入り口も瓦礫の下敷きとなってしまったのだ。





「ゲルググ様、地上の出入り口が塞がれました。」

「なにあのドラゴンそこまで考えていたのか。クソー。計算ずくだったのか。瓦礫の撤去をさせろ、急いで地上を繋げろ。緊急にだ。」

「はっ。」


ゲルググだけは霧になり地上に出る事が出来たが、地下に逃げ込んだ邪気たちは飢えに苦しみ共食いに迄発展してしまった。



「この屈辱は絶対に晴らすぞ。おのれードラゴンめー。」





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