774話 ゾンビドラゴン
北の大地そこに今、アレク軍と戯れ率いる邪気軍が対峙していた。
アレク軍5000と邪気軍2万である。
だがアレク軍には、ドラゴン2体とカインがいる。
「なぁアレク。今回の戦闘は俺をメインでやるぞ。」
「カイン兄、それは無理です。うちのアレク隊が張り切っていますからね。」
「なー頼むよ。アレク俺も張り切ってきたんだ。俺が突っ込んで後からきてくれよ。」
「カイン兄、ドラゴン2体て突っ込んだらはっきり言って勝負になりませんよ。一瞬でけりが着きますよ。ですけど今回は敵を殲滅します。逃がさないように戦わなければいけないんですよ。」
「大丈夫だよ、アレク。レッドが逃がさないように見ているから。」
「えーーーそりゃないよカイン。僕も戦いたいよ。」
アレクは頭を抱えたくなっていた。脳筋コンビが騒いでいるのだ。アレクの応援を口実に戦いに来ているのである。
一方邪気軍では、戯れであるデスは無言でアレク軍を睨んでいた。
「デス様、用意が整いました。」
「そうか、あやつらに恐怖という物を教えてやろう。」
邪気軍に秘策あり。
デスの指示で腐った山が動き出す。それは数千年前に死んだドラゴンであった。このタンドラ大陸にで死んだドラゴンを掘り起こしていたのだ。
ゾンビとなったドラゴンは死臭と共に咆哮をあげる。グオオオオオオオォォォ。
「いけーゾンビドラゴン。」
死臭をまき散らしながらアレク軍に一歩一歩近づいていく。
「あれもしかしてドラゴンじゃないか。レッド知っている奴か。」
「ううん知らないよ。多分大昔に死んだドラゴンなんじゃないかな。僕より大きいから1万年は生きていたと思うよ。」
「マジか、レッドの2倍はありそうだな。ゾンビって噛まれたら拙いんだよな。」
「そうだよ。かまれると伝染してゾンビになっちゃうね。」
「よし遠距離攻撃で仕留めるぞ。レッドとブルーは空からブレス攻撃してくれ絶対に近づくなよ。」
「「おーーー」」
「アレク俺は。」
「カイン兄は見てるだけです。」
「えーーーいやよ。」
「だってカイン兄は攻撃方法がないでしょう。遠距離攻撃できるんですか。」
「うっ。」
「アレク隊、魔砲用意。」
「はっ。」
「撃ちまくれーー。」
ゴーン、ドーン、ドーンドーン。
アレク軍はゾンビドラゴンへ向かって魔砲を撃ちまくっていた。ゾンビドラゴンに魔砲は当たるがまったく効いていない。
「死んでいるから痛みの感じないのか。」
「アレク様、後退させませんと兵では太刀打ちできません。」
「後退するぞ。だが町より遠ざかるように後退だ。」
「はっ。」
アレクはゾンビドラゴンを誘導するように後退させていく。町に被害が出ないようにするためである。
「アレク。レッドの攻撃も効かないぞどうするんだ。」
「カイン兄、今考え中です。」
アレクはゾンビドラゴンを仕留める方法を探している。そこへ、邪気軍から新たなゾンビたちが放たれたのだ。
「いいぞいいぞ。虫けらどもこれで我の天下だ。ガハハハハ。邪気ゾンビを前進させろ。」
デスの次の手は邪気ゾンビを放つことであった。後退するアレク軍に向かってゾンビを放ったのだ。デスは邪気ゾンビを使いアレク軍を取り込む作戦であった。一噛みでゾンビになってしまうのだ。
「アレク様、邪気のゾンビです。」
「くっ、各隊応戦、ゾンビドラゴンは無視しろ、邪気のゾンビに集中攻撃しろ。」
アレク軍は、邪気ゾンビに攻撃を集中させていく。
「ダメです、接触します。」
痛みを感じない邪気ゾンビはゆっくりであるが確実にアレク隊に迫っていた。そして一番後方に追いついたのだ。
「ギャーー、か噛まれたー。」
一人の兵士が邪気ゾンビに噛まれた。周りの兵士たちもどうする事も出来ない。そこへカインが飛び込んでくる。かまれた兵の右腕を斬り落としたのだ。
スパッ。
「噛まれた場所をすぐに斬り落とせ。後で再生するぞ。」
「「「「おおおおおおお」」」」
カインの一言で崩壊の危機を脱した。兵士たちはゾンビになる恐怖に押しつぶされていたのであった。
カインは拳ではなく剣で戦っていた。直接触る事が出来ないためになれない剣で戦っているのである。それでも戦闘狂のカインである。剣もかなりの腕前であった。
「おりゃおりゃおりゃー。もっとこいやー。」
次第に乗ってくるカイン。それにつられて兵士たちも邪気ゾンビに向かっていく。中々死なない邪気ゾンビであるが、腕と足と首を切り離せば動く事は出来なくなる。
「ダルマにしてやれー。」
「「「「おおおおおおおおおーーーーー」」」」」
「デス様、邪気ゾンビが・・・・」
「フン、想定内だ。」
デスは、何やら呪文を唱え始める。そして待機している邪気に呪文が降り注ぐ。
「「「「ギャーーーーー」」」」」
デスの呪文を浴びた邪気たちは悲鳴を挙げている。
そして、無表情となっていく。
「我が死兵隊よ、進めーー。」
「「「・・・・・・・・」」」
デス死兵隊約5000は無言で進んでいく。
残りの15000の兵も死兵隊の後方に付いて行く。
「ガハハハハ、これでわれの勝利だ。」
デスは勝利を確信していた。ゾンビドラゴンだけでも確実に勝てると思っているが、念のための策であった邪気ゾンビと死兵隊迄投入したのだ。
これで勝てなければ、誰も勝つことが出来ないだろう。
「レッド、ゾンビドラゴンの四股を斬り落とせー。」
「了解。」
レッドとブルーはブレスでゾンビドラゴンの手足を狙う。ブルーに放った氷のブレスでドラゴンの腐った羽が凍り付く。そこへレッドの高熱の炎が襲い掛かる。急激な温度変化によってドラゴンの羽は粉々に砕けていく。
「「おーーー」」
「行くよーブルー。」
「おー。」
レッドとブルーはゾンビドラゴンに向かってブレスを放っていく。手足をもぎ取れてゾンビドラゴンは倒れた。
ドスーーーン。
「「「「おおおおおおおおおーーーーー」」」」」
だがゾンビドラゴンの生命力?はその程度では死ぬ事はなかった。
「アレク、再生しているよ。」
ゾンビドラゴンは自己再生しているのだ。酸化した手足が再生していく。
「再生能力もあるのか、流石ドラゴンだな。死んでも厄介だな。」
「アレクー、どうするの。」
「待ってろ今考えている。」
「アレクゾンビドラゴンが普通のドラゴンになっていくよ。」
それは腐った死肉が無くなり再生しているのであった。再生していく手足は普通の手足であった。
「これ拙くないか。」




