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763話 私は娼婦よ

「これで私は、自由だーーーー。」


一人の女が大声で叫んでいた。

この女は、今刑期を終え自由の身となったからである。


オリオン王国内にある。囚人収容所では軽犯罪者に一定の労働が課される。


男の囚人は重労働、女の囚人は期間娼婦か通常労働である。期間娼婦の場合は刑期が短くなり賃金も少ないが出ることになっている。この為に期間娼婦を選ぶ者達は多い。一般的に金に困って犯罪を犯す者が殆どである。オリオン主要都市以外ではまだまだ貧困層が多く都会に夢を膨らませやってくる者が多くいる。


「私が稼いだこの金で一発勝負してやるわよ。」


この女、金を握ったままギャンブル場へと向かっていた。



そして負けた。



どうすんのよ予定では、金貨10枚になる予定だったのに今夜の宿代もないわ。


そしてこの女の選んだ行き先は、娼館であった。


「今日から働きたいのか。」

「ええ、そうよこれでも元娼婦よ。」

「どこの娼館にいたんだ。」

「‥‥館よ。」


娼館のオーナーは全てわかっていた。この町には囚人娼館があるからだ。


「いいでしょう。雇いますよ、頑張ってお金を稼いでください。」


女は今日泊まる場所を確保したのである。それからは娼婦が天職だと言われるほど働いた。質の良い客と金払いの良い客を多く抱えて日々励んでいた。


そんな商館で働きだして3年の月日が経ちトップ独走状態となっていた。女は給料をすべてを貯めていた。普通に使う金は客が持ってくるのだ。


女は、勘違いをしていた。給料が振込(ギルド預かり)だとは知らなかったのだ。

今までまともに働いたことが無かったために手渡しだと思っていたのである。それに泊まる場所と食事付きであったために金が貰えるとは思っていなかったのだ。

その為に客から小遣いを引っ張っていたのである。




「あれターさん、お久しぶり。どこで浮気していたのかしらー。」

「バカだな、お前だけだよ。俺は仕事で少し離れていたんだ。これ見て見ろよ。こんなに稼いできたぞー。」

「凄い流石ターさんね。今日はスペシャルドリンクで寝かさないわよ。ふふふっ。」

「まかせろ、この溜まりに溜まったこの俺の如意棒で狂わせてやるぞ。ハハハハー。」


客と娼婦の騙し合いである。


それからも順調に仕事に励んでいた。いや自分が楽しんでいた。




「オーナー何かごようですか。」

「おー休みの所すまんな。」


娼館のオーナーは、女にある提案を持ってきた。提案とはこの娼婦街の一つの娼館が店じまいをする事となったのだ。その後釜に女を推薦しようとしているのである。オーナーは女が給料を一銭も使っていない事を知っている。娼婦の中でダントツに金を持っていることを知っているのだ。


オーナーの説明で女は即決していた。


「やるわ。」


女は金がなくとも店をやれると誤解していた。金を持っていないからである。


「そうか、ならばギルドで契約書を作っておくよ。」



女は馬鹿であったが野生の感(ギャンブル除く)と面倒見の良い性格で娼婦たちにも人気があった。嫌われている娼婦にこんな話は絶対に来ないのである。


「姉さん、独立するんですか。」

「そうよ、この先にあるエロエロ館よ。」

「あー、そういえばあそこのオーナー亡くなりましたね。」

「でも姉さんあそこ女の子少ないですよ。」

「そうなのまぁ何とかなるわよ。」



女はギルドで契約を済ませる。ギルドでは大量の金貨が目の前にあった。ごくりと唾を飲み込む。


(なにこのお金、誰のお金よ。初めて見たわ。凄すぎよ。)


実はすべて女の金である。ギルドもオーナーも女が分かっていると思い込んでいるのだ。


「じゃぁ、この金が店の代金だね。そしてこの金は運転資金だ。まぁ店の金という事だな。」

「そう。ここに預けておくわ。」


ここでも女は誤解していた、店の運転資金は元の店が持っていた金と誤解していたのだ、まさか自分の金だとは思わなかったのである。



そして自分の店へと向かった。店の中は元の店とあまり変わらない雰囲気であった。一つ違ったことは店の女や従業員たちが女に向かっていお辞儀をしている事だけであった。



「この店の私が新しいオーナーよ。」


女の言葉は少なめであった。店の事などはっきり言って全く分からないのだ。素人なのである。


だがこの店を元から切り盛りしている者がいた。女は幸運であった。もしこの男がいなければ借金漬けになって安娼婦として一生を終わっていたであろう。


「オーナー、私はこのエロエロ館の店長をしておりました。先代に仕えて40年です。先代の残されたこの娼館を潰すわけには行きません。私に店の経営をやらせてください。絶対に損はさせません。」

「いいわ、経営は任せるわ。」


店長は女の潤沢な資金で、娼館を立て直していった。


女がエッチ大好きな者達を集めてきたのだ。娼婦たちの間で独立する者など今まで一人もいなかったのだ。奴隷を娼婦にする娼館が多い中、このエロエロ館は一人も奴隷がいないのだ。


「姉さん、昨日のお客だけど・・・・」

「そういう時は、握ってやるのよ。おもいっきり棒を握ってやるのよ。男は腑抜けた顔になるわ。」

「さすが姉さん。」

「いい、こびたら負けよ。強気よ。」


この商館は少し変わった趣味の店となっていた。

客より娼婦が強いのだ。娼婦の言う事は絶対であり。客は嬉しそうな顔をして従っているのだ。



女は体のラインがはっきりと分かる服装でいつものように町をさっそうと歩いている。店の宣伝のためである。女は少しだけ店の経営が分かってきた。

金が無ければ何も出来ないという事だ。

店長と昼間頑張って勉強しているのである。

眠い目をこすりながら初めての勉強をしているのであった。

今まで知らなかった事が解かる。それは新鮮であり、衝撃でもあった。

まさかの自分がお金を貯めていたことを知ったのだ。




それから順調に店の経営を行っていた。

そして一つの話が舞い込んできた。


「オーナー、オリオン王国の役人が来ております。」

その役人はこのお店の常連であった。


役人はタンドラ大陸進出のために娼館誘致にきたのである。


女は黙って役人の言葉を聞いていた。



「やるわ。」



店長と娼婦たちを集めて女は話し出す。タンドラへ店を出すわ。店長この店をお願いね。私はタンドラへ行くわ。


女は旅行気分であった。初めての別大陸に行くことで浮かれていたのだ。

そんな事とは知らない店長たちは大忙しで準備に入っていた。



そしてタンドラへ旅立つ。



女は北に出来た村でオリオンのへしたちに憩いの場を提供していった。


女の戦いはまだまだづついていた。

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