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749話 本体、分体、分体

本体を侵食して奪った。分体は元の能力を向上させていた。

力が漲り、すべてを手に入れたような感覚であった。


「愚かな人間よ、我の糧と成れ。」

分体魔王はアレク攻撃を仕掛けていく。だがアレクも簡単にはやられない。

華麗に攻撃を避けている。


分体とアレクの攻防は、早すぎて人の目では追えないほどであった。


「中々やるな人間。」

「お前本体が無くなっても生きていられるんだな。」

「フン、本体など、しょせん入れ物だ。我の肉体もただの入れ物だ。我は精神体である。入れ物などに興味はない。」


アレクは考えるこの分体を殺しても生きているという事になる。殺すにはどうすれいいのか。戦いながらアレクは考える。


互いに決定的な攻撃を与える事が出来ない状態が続いている。方法共に木津付いているが致命傷ではない。


「しぶといぞ、早く死ね。」

「簡単に死ぬ訳ないだろうが、生まれ立て野郎が。」


アレクと魔王の戦闘によって城内はボロボロになっていく。城内の兵達も魔王の戦いに入る事は出来なかった。本体がいなくなったことで今の魔王は敵か味方か分からなくなっているのである。

実際本体魔王はかなり優秀であり名君であった。

領地は富、発展していたのである。特に西の本拠地は魔王様万歳とあいさつされるほどになっていた。



「待てーーー僕が相手だーーー。」


突然大声を上げて駆けてくる小さな魔王の姿があった。

小さな魔王は幼児体の体型をしている為にトテトテと走る姿が可愛く見えてしまう。

必死に速く走ろうとしている。頭が大きいためにバランスが良くないのだ。


「僕を無視するなーーーーいくぞーーーー。吸収。」


小さな魔王は分体魔王に向かって手のひらをかざしている。

すると分体魔王はシュポッと小さな魔王に吸込まれていく。そして小さな魔王は何やらブツブツと呟いている。

10分ほど独り言をつぶやいた小さな魔王はやっと落ち着いたのかアレクに向かって歩いていく。


「待たせたね。人の子。」

アレクは困惑する。小さな魔王に人の子と言われてもアレクの姿方が大人である。


「おう。」

「人の子よ。魔王はいなくなったぞ。僕がやっつけてやったんだ。感謝しろよ。」

「お前は魔王だろう。」

「僕は魔王であって魔王じゃない。元の魔王は分体魔王に吸収されたからいなくなったんだ。見ていたろう。そして分体魔王は僕が吸収しちゃったからね。エッヘン。」


胸を張って威張って見せる。


「分からないから教えてくれ。本体の魔王は分体を作るために秘奥義を使ったよな。何で分体が本体を攻撃してたんだ。」

「そこから説明しないといけないのかい。んーーーどうしようかな。聞きたい、ねぇ聞きたいの。」


もの凄く話をしたそうな雰囲気が伝わってくる。。


「・・・教えてくれ。」


「でしょう。聞きたいよね。仕方ない離してあげよう。」


小さな魔王の説明では魔王本体は秘奥義を使ったことが無かったという。知識として知っていただけであり結果を知らなかったのである。

この秘奥義は、繊細で少しでも間違うと全く違う結果になってしまうのである。今回は半分成功で半分失敗したのである。成功部分としては分体を作れたこと、失敗は部分は善と悪に別れてしまったことである。この善と悪とは魔王内の善と悪である。

魔王自身の中で善の部分と悪の部分があり。それがきれいに分れてしまったのである。本来は善と悪は両輪のようになって存在している。片方が無くなってもいけないのである。両方存在していなければ生物として生きていけないのである。


この小さな魔王は善の部分で作られていた。そのために悪が体内に存在しないために食事もとる事が出来なかったのである。何故食事もとれなかったのか、それは善の部分しかないからであった。物を食べるという事は殺すという事である。善しか持ち合わせていない者は殺すという行為が出来ないのである。


「でね。僕は死んじゃっていたかもしれないんだ。だけど。分体と本体が戦って本体の一部だね善と悪を抜かした部分、簡単に言うとね。理性部分だね。分体は本来本体に逆らう事が出来ないんだ。悪の化身となっても本体から少しの理性が入っていると逆らう事が出来ないんだ。だけど今回は理性部分が全く入らなかったんだ。それに善の部分も分離されちゃったからね。

でも今回は、戦いの最中で助かったよ。普通の状態であったら僕死んでいたよ。善だからご飯も食べれなかったし。悪に殺されてたね。」


「お前は本体を吸収して善と理性を手に入れたという事かな。」

「理性は生きるための知識だよ。良かった良かった、本当に良かった。ホッ。」

「あっそ、じゃぁ俺は魔王も死んだしか帰るわ。じゃぁな。」


アレクは魔王城から帰えるつもりて歩き出したが、アレクのズボンの裾をつかんで離さない者がいる。小さな魔王である。


「僕も一緒に行くよ。」

「嫌だ。お前はここにいろ、お前の国だろうが。」

「僕じゃ魔王国は統率できないよ。こんなにか弱いんだよ。殺されちゃうよ、死んじゃうよ。」


ウルウルした瞳でアレクを見つめている。


(どこが善だ。小悪魔の間違いだろう)


「いらないな。魔王国が滅んだ方がいいしな。」

「あっそれを言っちゃうんだ。いいよいいよ魔物邪気を元に戻せる方法があるんだけどな。黙っていようかな。」

「邪気を元に戻せるのか。」

「どうしようかな。如何しようかな。」

「じゃぁいいよさいなら。」

「いうよいうよ、待ってよ早い男とせっかちな男は嫌われるよ。」


小さな魔王の能力の中で浄化と構築というスキルがある。浄化で邪気を振り払い。構築で元の姿に戻していくのである。

小さな魔王の能力は攻撃的な物は皆無であるがそれ以外はかなり利用度の高いスキルを持っていた。


「・・・・・後はそうだね。治療や再生だね。」

「おーーあれか魔王が腕をはやしていたスキルか、あれは少し気持ち悪かったな。」

「だよねー。普通は見えない様にやるよね。気づかいが出来ていないよね。僕なら隠れてやっていたね。」

「・・・・・お前本当についてくる気か。」

「当たり前でしょう、一人じゃ生きていけないよ。か弱い魔王なんだから。」

「この国どうすんだよ。」

「それは任せるよ、好きにして。僕が生きていけるように取り計らってよ。後は自由にやっちゃって。」


アレクはこんな事でいいのかと思いながら、小さな魔王に幹部を集めるように指示を出していく。


そうこうしているうちにカインとレッドが部屋に飛び込んできた。


バーン。

「魔王、待たせたなーーー。」


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