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723話 一匹のゴブリン

アレクは、ファースたちの中間報告書を読んでいた。

そこには、オリオン王国より西に進むにつれて魔物が強くなっているとの報告であった。

報告書の内容としては、オリオン王国付近の魔物ゴブリンの戦闘力を1.5隣の国ではオリオン側は同じであったが西側では戦闘力が2となっていた。さらに西へ進むと戦闘力が3となっていたのである。


西側の北寄りと南寄りでも魔物の強さに開きが出ていた。西側の北寄りが一番強くなっているのである。


ファースたちはこれから北部へと調査に向かう事も報告されていた。



「秘書官。」

「はっ。」

「この報告書をカイン王国とレオン王国に届けろ。」


ファースたちの報告にもあったが邪気や戯れの影響も考えられている。アレクの予想も同じであった。

北部では魔物邪気が新たに出現している。その影響で魔物たちが活性化しているのではないかと考えているのであった。


その考えは当たっていた。


魔王と呼ばれている戯れは魔物邪気を作り各地にばらまいていたのだ。






おっす。俺はゴブリンのゴブッチだ。




俺は今必死に逃げている。俺の集落が仲間と思っていた魔物たちに襲われたんだ。オークとオーガの集団だ。

確かにあいつらいつも暴力的だったけど、物々交換をしていたし、集落ごとに繋がりもあったんだ。

何で突然襲ってきたんだ。

まぁそんな事より今は逃げる事が先決だ。


3体のオークが俺を追っている。

ゴブリンは弱いんだ。ゴブリン種族は畑仕事や籠作りなどが得意で狩りはあまり得意じゃないんだな。

まぁ俺は狩りは得意だけど、ゴブリンの中でという事だな。


どう振り切るかだな、あいつらしつこいな。



ゴブッチの進む方向にはオーガが待ち構えていた。



クソー、挟み撃ちかどうする。

俺は逃げる事を止めた。

目の前にはオーガ1体、そして追ってきているオーク3体である。俺の周りを囲むような位置取りをしている。こいつ等戦闘慣れしているな。


「ゴブリンのゴミよ。我らの奴隷と成れ。そうすれば命は助かるぞ。」

「「「ヒャヒャヒャ」」」


「同じ魔物だろう。」


「ヒャヒャヒャ、同じ魔物、違うな強い魔物と弱い魔物だ。同じじゃない。」


「そうかよ、俺達の村を襲って奴隷にするつもりか。」

「オーガの村に下働きが必要だしな。ヒャヒャヒャ。」


「ゴブリンを舐めるなよ。」


「ヒャヒャヒャヒャ、お前お笑いか。ゴブリンを舐める奴なんて居ないぞ。汚いじゃないか。ヒャヒャヒャ。薄汚れたゴブリンなんてなめれるか。」


俺は、相手が舐め切っている事を確認する。顔がにやけそうになる。こいつ等なら勝てる。真正面からではかなわないが不意打ちなら勝てる。だって俺には必殺技があるんだもん。


「じゃぁ俺の攻撃よけるなよ。」


「おー受けてやるぞ。ゴブリン如きの攻撃何か避けたら恥だからな。」


俺の先祖は、フロンティア大陸魔物の楽園だ。そこで先祖のゴブリンは畑仕事やパンケーキ職人として働いていたんだ。パンケーキ何それ、食べて事ないぞ。

まぁ今はパンケーキの事は置いとくとしよう。先祖はそこで秘伝の魔法を編み出したんだ。

普通に弱いゴブリンでも敵に勝つ方法を編み出したんだ。

ただこれにも弱点がある。ゴブリンは魔力が少ない。攻撃魔法を使えるゴブリンがほとんどいないんだ。

でも俺は使える。そして秘伝のファイヤーボールだ。


俺のファイヤーボールは5発しか打てない。一発も無駄にできない。


俺は片手を上にあげファイヤーボールを作り出す。俺のファイヤーボールにオーガとオークが驚いた顔一瞬したが、俺のファイヤーボールの大きさを見ると又顔がにやけだしている。俺のファイヤーボールが小さいんだ。直系10センチぐらいの火の玉だ。こんな火の玉が当たっても分厚い皮のオークやオーガには効かないだろう。その事が分かったからあの顔をしているんだ。馬鹿が俺の必殺技が、こんなわけないだろうが。


「行くぞー。ファイヤーボール。」


俺が叫ぶとオーガとオークは身構えて頭上のファイヤーボールを見ている。だけど頭上のファイヤーボールは動かない。

フッ、これは見せ球だよ。


オーガとオークは突然、自分の体内が燃え出した。


「「「「ぎゃーーーーーー。」」」」


体の中から燃えているのだ。のたうち回るオーガとオーク。そして燃え尽きて死んで往った。


「俺を舐めんなよ。」


俺の必殺技、ファイヤーボールは飛ばない。だって避けられたら終わりじゃん。なら避けられないファイヤーボールを作ろうと俺は考えたんだ。

そして究極のファイヤーボールが出来た。普通のファイヤーボールは相手に向かって飛んでいく。だが俺のファイヤーボールは敵の体内に作りだすんだ。

それなら避けられないだろう。だって魔物はみんな素早いんだもん。簡単に避けちゃうんだ。


でもこの必殺技にも弱点があるんだ。敵が止まっていないとうまくいかない。

それに少し時間もかかるんだ。俺を舐め切っていたから成功したんだ。ゴブリンなめんなよ。いいやなめていて下さい。


それから俺は仲間が捕まっている場所を偵察していく。俺の集落はゴブリン50人だ。30人は殺されている。生き残っているのは戦えないゴブリンたちだ。俺の幼馴染のゴブエッチもいる。ほとんどが女の子たちだ。

クソー、あいつらエッチなことする気か許さん。



俺は夜になるのを待って忍び込む。


「ゴブエッチ。」

「ゴブッチ。」

「みんな逃げるぞ。」


俺はナイフでロープを切っていく。


寝静まるオークたちに気づかれないように静かにみんなで遠ざかる。



「フーッ、オークは馬鹿でよかったな。あいつら舐め切っているから見張りもなかったからな。」


「助けてくれてありがとう。ゴブッチ。」チュッ。



うおおおおおおおお、俺の初キッスだーーーー。←心の声



「たたたた助けるのはあたりまえだぞ。」



俺と俺のゴブエッチと他は、ゴブリンの隠れ家に向っていた。弱いゴブリンは、いくつもの隠れ家作っているんだ。

そこに当分の間隠れて暮らすことになる。

あいつらがいなくなるまで隠れるしかないんだ。俺一人なら何とかなるけど、俺の女(自称)がいるから隠れるしかない。

へへへ、俺の女なんていい響きなんだ。

本当に俺の女なってくれるかな。今日の夜コクって見ようかな、でもでもでももし振られたら俺一生立ち直れないかも。


どうするか、ここはもっと親密になってからだな。


く唇にチューしてからだな。


俺はそれから少し冷静になり、食料調達と他のゴブリンの集落へ向かう事にした。他の集落も襲われているかもしれないからな。


幻の唇チューを目指して俺は駆ける。


見てろよ。ゴブリンの神よ。俺の華麗な走りをもってすれば山の一つや二つかける事は何の問題のないのだ。

俺は翌日にゴブリン集落に着き仲間たちに警戒するように伝えていく。万一の時は逃げて来いとも伝える。


俺は俺の女の為に英雄になるかもしれない。ゴブリン初の英雄かもそんな夢を見ながら俺は一日の疲れを取る為に村の小屋で丸まって寝た。


待っていろ。俺の嫁ーーーー。





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